サークル「桃色CODE」さんの同人音声作品(R-15指定)。

今回紹介する作品は、道草屋の女将をしてる気さくで世話好きなお姉さんが
何度も利用してくれてる客を家庭的なサービスでもてなします。

道草屋にいる気分に浸らせながら言葉と音でバランスよく癒すのが特徴で
3つのシーンに分けてそれぞれで違う効果音や環境音を鳴らしながら
何気ない会話をしたり、彼女が得意とする小話をして作品の世界に引き込みます。
過去作にはなかった演出もあるのでシリーズをよく聴いてる人ほど心が温まるでしょう。
寒い日に紡ぐ暖かい物語
冬や夏に道草屋で芹とのんびり過ごすお話。

「はいもしもし 道草屋でございます」
芹は明るくて上品な声のお姉さん。
予約の電話を入れた主人公に新年の挨拶をすると
宿泊日とサービスの内容を確認してから軽く雑談します。

本作品は道草屋シリーズが始まった頃から登場してる彼女の第8作。
1月の寒い時期に宿泊する常連客を彼女が1人でもてなします。
「1-ふたりごはん」は夕食を食べたりお酒を飲む
「2-おばあちゃんの縁側」は夏の日に縁側で耳かきをする
「3-寝起きのおこた」は歯を磨いてから落語を披露する、とシーンによって内容が大きく変わります。

「はいあーんっ お口に合います?」
そして彼女は序盤から店員と友人の中間くらいの距離感で彼に接します。
夕飯を食べる時は彼にしゃぶしゃぶを食べさせてあげるし
その後も何気ない雑談をして堅苦しさを取り除きます。

正月に実家へ帰省し家族と寛いでるような雰囲気でもてなしますから
音声を聴いてるうちにホッとしたり心地よさを感じる人が結構いると思います。
会話も聞き流しても問題ないくらいの軽い話題が中心です。

道草屋シリーズと言えば効果音や環境音も忘れてはいけません。
時計の振り子が揺れる音、鍋がぐつぐつ煮える音、耳かきや歯ブラシの音など
多種多様かつリアルな音を上手に組み合わせてその場にいる気分に浸らせてくれます。

また今作では至るところでテレビを流すようになってまして
バックで声や音楽を控えめな音量で流し、より家庭的な空気を作ります。
専門店でテレビをつけることはそうそうないですから、やはり家にいる感覚を重視してるのだと思います。

もうひとつ、道草屋では初の試みと言える要素が存在します。
タイトルにもなってる「2-おばあちゃんの縁側」がそれにあたりまして
過去作とは結構違う世界観を持たせながらゆっくり耳かきします。
新キャラも登場しますし、長く続いてるシリーズだからこそさらに掘り下げようとする意図が見られます。
音、会話、雰囲気で癒すサービス
最初の「1-ふたりごはん(約72分)」は2人きりの夕食を楽しむシーン。
こたつに入ってテレビを流しながらしゃぶしゃぶを食べたりお酒を飲んで寛ぎます。

「あぁ~ 2杯目にビール この無法さ 世が世ならしょっ引かれますね」
「わぁすごい雲近い はぁ~ もう岩場とか歩いてると 見てるだけでハラハラしますね」

しゃぶしゃぶを食べながら大好きなお酒を適度に飲んだり
テレビに映ってる映像を見て素直な感想を漏らすなど
店員のイメージを多少崩して近さと親しみを表します。
会話の内容も自分のこと、他の店員のこと、温泉のことなどほのぼのしたものばかりです。

しばらくしゃべってから無言になるのを繰り返すので音と会話をバランスよく楽しめます。
飲み続けるほど彼女の態度が緩くなるのも状況に合ってて良いです。
優しくて、世話好きで、子供っぽいところもある彼女の魅力がぎっしり詰まってます。

ちなみにこのシーンだけ咀嚼音の有無を選択できます。
私は有りのほうがリアルで好きですけど、こういう音が苦手な人は無しのほうが安心して聴けます。

続く「2-おばあちゃんの縁側(約38分)」でするのは耳かき。
季節がいきなり夏に変わり、道草屋の縁側で彼女が耳かき棒だけを使ってお掃除します。

耳かき棒は「じじっ」という乾いてて丸みを帯びた音が使われており
右耳→左耳の順で奥から手前へゆっくり掻き出すように動きます。
普段の道草屋なら耳かき棒の後に消毒液つきの綿棒を使うのですが
ここではそれらとの違いを出すために敢えて内容をシンプルにしてます。

そしてここでは「みち」という女の子と芹が掛け合うスタイルで進めます。
彼女が何者か、どうしてここにいるのかは聴いてのお楽しみとさせてください。
しかし道草屋ではまず出てこない設定になってて別の魅力があります。
サークルさんがわざわざここをタイトルにされたのもそのへんが影響してるのでしょう。

耳かきだけをがっつりやるのではなく、2人の会話を楽しみながらするバランス型の作りです。
蝉の声、ラムネの栓を開ける音、濡れたタオルを絞る音など季節を感じる音も色々出てきます。

最後の「3-寝起きのおこた(約56分)」も音と会話を楽しむシーン。
彼女に歯ブラシをしてもらってから「皿屋敷」という題名の落語を聞きます。

「むかーしな あの青山のお屋敷に お菊って子が奉公に来てたんだ」
芹と言えば怪談を得意としてるキャラですが、今回はライトなお話を選んで聴きやすくしてます。
過去作のように雰囲気に合った音を鳴らすアシスタントがいないから、というのもありそうです。
内容は伏せますが、ホラーが苦手な人でもこれなら普通に聴けると思います。
彼女なりのやり方で元気を与えるシーンもあったりと、彼を励ますことを見据えてあれこれお世話します。

実際に聴いた感想ですが、道草屋の過去作よりも内容に磨きがかかっており
さらに世界観を広げたり掘り下げる演出もあって大変満足しました。
芹が持つ様々な魅力を維持しつつ、普段よりも家庭的な物語にして仲の良さを表現します。

キャラが良く、音が良く、サービスが良く、雰囲気も良い。
各要素がここまで高い水準で揃えられてる作品はそうそうありません。

同人音声業界で圧倒的な人気と実績を誇る道草屋の底力を感じました。

ただしこの作品は道草屋シリーズをある程度聴いてこそ、その良さを十全に味わえると思います。
いきなりこれを聴いてもたぶん違和感を抱くのではないかなと。
少なくとも「道草屋-芹-そんな冬の日」は聴いておいたほうがいいと思います。
大衆性が高い道草屋では珍しくやや玄人向けの内容です。
素朴で懐かしい作品
ふたつの季節と設定を用意し様々な癒しを提供する抜群に優れた作品です。

芹は遠路はるばる道草屋へやって来た主人公に楽しんでもらおうと
まずは2人だけの夕食会を開いてテレビを流しながら一緒に食べたり色んなことを話します。
そしてその後は夏の日の耳かき、冬に戻って歯ブラシ&落語と内容を大きく変えて安らげる空間を作ります。

母親のような優しさと子供っぽさを合わせ持つ女性が長時間に渡る健全なご奉仕をするシチュ
シーンごとにサービスを変えてそれに合ったリアルな音を鳴らすASMR色の強い作り
何気ない会話とさり気ない気配りで音とは別の癒しを与える彼女のキャラ。
総合力の高さに定評がある道草屋の持ち味が今作でも存分に発揮されてます。

「はーいじゃあお口拭きまちゅねー うふふ」
中でも3番目は彼を友達あたりの存在と認識してる描写がいくつも出てきます。
お店のサービスなのでやるべきことはちゃんとやりますけど
それ以外は多少崩して堅苦しさやよそよそしさを取り除きます。
これだけ長く続いてるシリーズなら2人の関係が最初の頃から変わるのは当たり前だと思います。

音についてはやはりテレビが素晴らしいです。
天気予報、ドキュメンタリー、アニメ、音楽など色んなジャンルが出てきます。
常に流すのではなく状況に合わせて消したり番組を変える工夫がされてます。
他の音も軒並み高品質で「本当によくできてるなぁ」と感心しっぱなしでした。

以上を踏まえてサークルさんでは29本目の満点とさせていただきました。

CV:芹…雁庵うずめさん みち…三月さん(「2-おばあちゃんの縁側」のみ登場)
総時間 2:52:23

オススメ度
■■■■■■■■■■ 10点


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