サークル「とらいあんぐる!」さんの同人音声作品(全年齢向け)。
今回紹介する作品は、高校卒業と同時に離れ離れになってしまった男女が
大人になって久しぶりに再会し夏の夜を楽しく過ごします。
童心にかえって花火を楽しんだり、耳かきや添い寝をしながらお互いの気持ちを確かめ合うなど
二人が失われた時を取り戻し新しい関係へと発展していく様子を甘いタッチで描いてます。
花火、風鈴、かき氷といった季節にちなんだ効果音や環境音が数多く登場するのも魅力です。
初恋同士の新しい思い出づくり
「ねぇ ねぇってば おーい あっ やっぱり君だ」
夏実は明るくてホッとする声のお姉さん。
ある夏の日、数年ぶりに地元へ帰り花火大会を見に来た主人公に声をかけると
人混みが嫌で帰ろうとする彼を自宅に招待し二人だけで見ようと言います。
本作品は小さい頃から仲良くしていた男女が大学進学に伴い離れ離れになり
数年後に再会した時の様子を彼の視点で楽しみます。
二人は以前からお互い初恋相手だったのですが、仲が良すぎたせいか恋人同士になれませんでした。
そんな想いが今回の出来事を通じて少しずつ強くなる様子を綿密に描いてます。
「え、いいの? やった! そうこなくっちゃ やっぱり花火は一人よりも 誰かと一緒に見たほうが楽しいよね」
「だってさ 一度君とこうやって 一緒に楽しい時間を過ごしたら もう君がいない夏なんて耐えられないよ」
物語の最初と最後で彼女の言葉や態度が随分変わりますから
シーンごとにどんな気持ちでいるかがなんとなく伝わってきます。
幼馴染なだけあって言葉遣いも砕けておりスキンシップも積極的に取るあまあまな関係です。
でもその中にある程度の遠慮も見られ、大人になった彼とどう付き合っていいか戸惑ってる気持ちが窺えます。
相思相愛なのにしばらく会ってなかったせいでなかなかくっつけいない微妙な距離感がもどかしくて面白いです。
もうひとつの魅力は最中に流れる効果音や環境音。
音声開始直後にはお祭りの会場らしいガヤ音や太鼓の音が聞こえ
彼女の家に移った後も花火、風鈴、虫の声など夏の夜にまつわる様々な音が登場します。
中でも花火は打ち上げ以外に家でやるタイプのものもあって本当に多彩です。
二人の出会いをさらに盛り上げる触媒としての役割を十分に果たしてます。
徐々に近づいていく心と体
「手持ち花火でイタズラ」は手持ち花火、ネズミ花火、線香花火といった家庭的なものを楽しみ
「打上花火とかき氷」は本番の打ち上げ花火を鑑賞しながらかき氷を一緒に食べます。
「あっ! その花火私が使おうと思ってたのに え? いつ言ったって… 心の中で予約してたんだってば」
初恋の人と偶然出会えて余程嬉しかったのでしょう。
彼女は大人よりも子供っぽい会話をしながら花火を無邪気に楽しみます。
しかしそんな中にも友達相手とは明らかに違う仕草が見られ、彼に特別な感情を抱いてるのがわかります。
花火の音も質感や鳴るタイミングがリアルですし、それに火をつける音やバケツを置く音まで入っていて芸が細かいです。
「はい あーん どう? 美味しい? そうでしょ? ほら 次は君が食べさせてよ」
続く打ち上げ花火のシーンでは恋人っぽさが一段階上がります。
かき氷を食べさせ合う、頭を撫で合う、手を繋ぐ、抱き合うなどスキンシップに力を入れており
彼も彼女のそんなアプローチにまんざらでもない反応を示します。
二人とも恋愛経験が皆無ということで、恥ずかしがりながらもお互いの距離を縮めようとする姿が初々しいです。
効果音のほうは打ち上げ花火は「どーん」と軽く響く音が一定の間隔で鳴り始め
しばらくするとそれが短くなったり小刻みに連続で鳴るなど変化をつけてます。
かき氷を作る音、スプーンで掬う音、食べる音まで入ってるのが印象的でした。
主人公が食べる時だけ至近距離からやや響く咀嚼音を鳴らして彼女と一緒にいる雰囲気を上手に作り上げてます。
続く3パート49分間は花火を見終えた直後のお話。
花火見物の余韻に浸りながら彼女が右耳→左耳の順に膝枕で耳かきし
最後にこの場限りの恋人同士になり添い寝でイチャイチャします。
使用する器具は耳かき棒のみで右耳は開始前、左耳は終了直前に軽い息吹きが入ります。
耳かき棒は「ずりっ すしゅっ」という若干粗さのある乾いた音が使われており
ペースやストロークを小まめに変えながらゆっくり優しく掻き出すように動きます。
1分程度吐息を漏らしながら無言で手を動かしてから会話を挟むのを繰り返すので
先ほどの花火シーンに比べて随分静かになった感じがするでしょう。
彼女が好きな梵天が入ってないのは残念ですが、キャラに合った柔らかくて比較的高品質な耳かきです。
「なんかついほっぺた触っちゃう ぷにぷにで柔らかいんだもん で…こうやって顔をぐいーっと近づけると ほら どう? 鼻と鼻がくっつきそう」
最中のやり取りは引き続きあまあま。
彼のことを素直にカッコイイと褒めたり、自分から鼻がくっつくほど顔を近づける大胆な行動を取ります。
お祭りは参加してる最中は楽しいですが終わると急に寂しくなるものです。
彼女もこの時間を楽しむ一方でもうすぐ終わりを迎えることに名残惜しさを感じてます。
前半の花火は夏らしく華やかに、後半の耳かきは静かで落ち着いた雰囲気を持たせて彼女の心情を表現してます。
一番最後の「恋人ごっこ~添い寝」はヨガマットの上で二人一緒にごろごろします。
名前通りもう恋人と言ってもおかしくないやり取りばかりで聴いてるこっちがニヤニヤしてしまいます。
最後に二人がくっつくのか、それとも幼馴染の関係を続けるのかは聴いてのお楽しみとさせてください。
このように、夏らしいサービスに登場人物の内面を組み込んだ純愛ストーリーが繰り広げられてます。
シチュ重視の作品
大学に入ってから故郷をずっと離れていた男性が現実世界に疲れを感じてそこへ戻り
昔ずっと仲良くしていた女性と再び出会って幸せなひと時を過ごします。
そして以前よりも立派になった相手に戸惑いながらも少しずつ関係を修復し
最後のほうにはほぼ恋人同士と言っていいほどのあまあまなやり取りを見せます。
お互いに初恋相手だった男女が色んなやり取りを経て仲良くなっていく展開
二人の周りを彩るリアルで豊富な効果音と環境音、前半と後半で雰囲気を大きく切り替える作り。
友達以上恋人未満の彼らがその一線を越えようとする様子に夏らしさを交えて進めます。
「一応言っておくけど 私がこーんなにべたべたするのは 君の前だけだからね」
音声を聴いた限りではおそらく彼よりも彼女のほうが想いが強かったのだと思います。
自宅に招待するところから始まり自分から積極的にスキンシップを取ったり
かき氷を食べさせてあげるなど嬉しい気持ちを言葉と行動でわかりやすく示します。
男性の側から体を密着させるのは色々と難しいからこうしたのかもしれませんね。
それでいてキスをなかなかしないあたりに会えなかった年月の重さを感じます。
傍から見てて「もうちょっとだ、頑張れ!」と応援したくなるむず痒いカップルです。
サービスはセリフに比べると存在感が薄いですがどれも十分以上の品質を持ってます。
特に花火はパートごとに内容を切り替えそれぞれに合った音をタイミングよく鳴らします。
そして花火が賑やかだからこそ、その後から始まる耳かきや添い寝の静かさが引き立ってます。
ストーリー、キャラ、音など作品を構成する色んな要素がバランス良く優れてる総合力の高い作品です。
おまけは53種類の効果音です。
CV:浅見ゆいさん
総時間 1:48:07(本編…1:16:25 おまけ…31:42)
オススメ度
■■■■■■■■■□ 9点
体験版はこちらにあります
追記
2018年2月15日まで50%OFFの450円で販売されてます。
その場合の点数は10点です。