サークル「Re:Volte」さんの催眠音声作品(全年齢向け)。
今回紹介する作品は、東方シリーズに登場するキャラ「赤蛮奇(せきばんき)」が
久しぶりに再会した男性を自宅へ招き会話と催眠で寝かしつけます。
物語が進むにつれて2人の関係や彼女が彼と別れた理由がわかるドラマ仕立てになっており
催眠はシリーズの過去作と同じくリラックスできる技法と彼女の能力を組み合わせ
そこに今までなかった要素を組み込み少しずつ癒しと眠気を与えます。
別れの前の束の間の再会
「ん? おや? 君は確か 随分と久しぶりだね」
赤蛮奇は穏やかな声の女の子。
久しぶりに再会した主人公に懐かしそうな表情で挨拶すると
彼が安眠できないことを知りひとまず自宅へ招待します。
本作品は昔は彼とよく遊んでたけどある事情で離れることになった彼女が
自宅を引き払う前日に偶然出会い、そこで40分程度の催眠をかけて寝かしつけます。
彼女は妖怪なので年月が経っても当時とまったく同じ容姿をしており
すっかり成長した彼を「坊」と呼びながら体を撫でたり優しい言葉をかけて甘やかします。
彼女は原作だとろくろ首をモチーフにしたキャラで
首を飛ばしたり増やす変わった能力を持ってます。
作中でそういう描写はありませんが、代わりに日本のろくろ首ではお馴染みのイメージが登場します。
あくまで癒しが目的ですからホラーが余程苦手な人でもない限り問題なく聴けるでしょう。
また冒頭でも書いたように音声の開始時点では彼女のことや彼との関係は一切わかりません。
それが催眠をかけていく中で少しずつ明らかになります。
従来のシリーズ作品よりもドラマ性を重視してる印象を受けました。
彼女が彼をどう思ってるかもつづられており、終盤でしんみりする人がいると思います。
失った関係を取り戻しながら
赤蛮奇に膝枕されたまま目を瞑り、まずは深呼吸で心身を軽く落ち着けます。
そして次の「06 絡」ではあるものを全身に巻き付けて温もりと安心感を与えます。
「体から 力が抜けていく 抜けていく どんどん 力が抜けていく」
深呼吸は呼吸音を鳴らしながらリラックスする暗示を入れる定番のものですが
その際に声をふたつに分け、それぞれを分担して進めます。
催眠音声で人気の双子っぽいアプローチですね。
この後も終盤に同様のことをするシーンが出てきます。
「うんうん 君は今も昔も 可愛いね」
これらの合間に彼女が彼を甘やかすのもポイント。
彼女は彼と別れる際に何も告げられなかったことを気にかけており
偶然の再会を喜びながらあの頃と同じように接します。
ただ催眠をかけるのではなく、当時の思い出を取り戻すことも見据えてリードします。
「きゅーきゅー 快楽に抗えない きゅーきゅー 君の体を締め付ける快楽に 君は考えるのを止めてしまう」
何かを巻き付けるシーンは「きゅー きゅー」を文頭に置いてリズムを取りながら
温かさ、心地よさ、意識が薄れる感覚を与えて催眠状態を深めます。
セリフの内容から深化を意図してるのでしょう。
その後控えめな音量で音楽を流すなど、サークルさんとキャラの個性を活かして安眠できる環境を整えます。
最後の「07 宵闇」は彼を眠らせるパート(約16分)。
ひとつの提灯をふたりで持って暗い階段をゆっくり下りていきます。
右「かつん かつん 君の手を 握っているよ 下りていく 下りていく」
左「きゅーきゅーと 君の体を優しく締め付ける」
右は階段を下りる様子、左は体を優しく包み込まれる様子と
ここでも声をふたつに分けて異なるイメージをほぼ同時に投げかけてました。
階段を下りるイメージは催眠音声だとよく使われるので
催眠慣れしてる人ほど体が沈んだり意識が薄れるのを感じるでしょう。
カウントは数えず擬声語と実況を組み合わせてゆっくりのんびり進めます。
このように、イメージを多めに盛り込みながら着実に癒す素朴な催眠が繰り広げられてます。
ちょっぴり切ない作品
赤蛮奇はもう二度と会えないと思ってた主人公の悩みを解決しようと
すっかり荷物を片付けた自宅へ案内してから昔のことを話し
さらに膝枕のまま安眠できる催眠をかけます。
そしてこれらの中に彼女の優しさや2人の関係を匂わせるセリフを込めて純粋な癒しも与えます。
東方シリーズに登場するキャラが能力を使って催眠をかけるシリーズお馴染みのシチュ
深呼吸と、イメージを交えた2種類の深化で眠らせる癒し一色の催眠
これらの最中に彼女や2人の関係にも触れる作り。
従来の東方入眠抄よりもややストーリー性を重視した作品に仕上がってます。
「ねぇ 私も あの頃のように 君が好きだよ」
中でも3番目は催眠と直接関係ないように見えて
聴き手の興味や集中力を向上させる重要な役割を果たします。
わからないことがあれば知りたくなるのが人間の本能なので
それを少しずつ明らかにすることで「この先何があるのかな」と聴きたくなる心境へ持っていきます。
切ない系のお話なのでそういうのが好きな人のほうが向いてます。
催眠については深呼吸した後はほぼイメージを中心に据えてました。
一部で双子っぽいアプローチも登場するなど
これだけ数多く制作されてもなお試行錯誤するサークルさんの向上心が窺えます。
おまけは「~ひらけ、ばんきっき~」とBGM2曲です。
CV:鷹澄真咲さん
総時間 1:01:50(本編…39:59 おまけ…21:51)
オススメ度
■■■■■■■■□□ 8点
体験版はこちらにあります
追記
作品自体の点数は7点。
62分で440円とコスパが良いので+1してあります。