サークル「桃色CODE」さんの同人音声作品(R-15指定)。
今回紹介する作品は、素朴で頑張り屋な店員さんが
すっかり常連になってるお客を昼から夜にかけてもてなします。
最初の散髪は様々な音を使い分けてのんびりと
続くお鍋は他の店員も交えて賑やかに、といったように
シーンによってセリフと音のバランスを切り替え違った癒しを与えてくれます。
総時間が3時間近くあるため前編(お昼~夜)、後編(寝る前)の2回に分けてお送りします。
寒い季節を暖かく
「はい 道草屋でございます」
すずなは素朴で可愛い声の女の子。
2月初めに予約の電話をかけてきた主人公に新年の挨拶をすると
宿泊の日数、日取り、到着時間を確認してからアレをするか尋ねます。
本作品は年が明けて春に近づきつつある季節を舞台に
彼女が160分ほどを使ってお店に宿泊中の彼に色んなお世話をします。
昼、夜、寝る前と全編を3つのシーンに分け
それぞれでやることや登場人物を切り替えながら会話と音でバランスよく癒します。
今回は寒い時期のお話ということで自然に関する音はあまりなく
ストーブ、その上で沸き立つヤカン、鍋などの生活音が中心になってます。
過去作に引き続き音のレベルが極めて高く、目を瞑って聴けばその場にいるような感覚が味わえます。
「寒くないように 冬の間は暖かいところで切りますから ご安心ください」
すずなと言えば道草屋の中で唯一散髪ができる店員さんです。
今作でも一番最初の昼の部でおよそ1時間もかけて丁寧に行い
その様子をほぼ音だけで伝える凝った演出がされてます。
散髪だけにここまで時間を割いてる音声作品はなかなかないです。
過去3作では野外だったのが初めて専用の部屋を用意し
これまでやってきたことに新たな要素を加えてパワーアップさせてます。
ASMR(音フェチ)成分の強いサービスですから、聴いてるうちに眠くなる人が続出するでしょう。
そして散髪が静かだからこそ、その次にあるお鍋が一層賑やかに感じます。
音を中心に据えた散髪
元は倉庫だった土間に置かれた専用の椅子に腰掛け
カット、すきバサミ、クラシックシェービング、シャンプーなどを慣れた手つきで行います。
「バーバーすずなにようこそ! 冬限定の屋内店舗です」
彼女は彼以外の人々にも日常的に散髪をしており
店主の芹にテナントを与えられるほどまで腕を上げました。
その成果を披露しようとどのサービスもとても熱心に取り組みます。
作品を重ねるごとに店員たちが少しずつ成長していくのが道草屋の魅力です。
時間に余裕があるのを活かして全体的にのんびり進め
霧吹きは「ぷしゅー」という噴出音、カットはシャクシャクと小気味良い金属音
すきバサミはそれよりもやや低く力強い音を適度な間隔で鳴らします。
頭全体をケアしてるのがわかるように音の位置が小まめに切り替わるのが良いですね。
音だけで何をしてるかが簡単にイメージできるから頭を空っぽにして聴くことができます。
「産毛より 硬い髭のほうが 手応えがあって楽しいです」
このシーンで最も個性的なのは中盤に登場するクラシックシェービング。
温めたタオルを顔にかけて毛穴を広げ、その間に彼女はクリームを泡立てて準備します。
そして左→右の順に「じじじじー」という泡混じりの音をゆっくりスライドさせます。
刃物を肌に直接当ててるのですずなも黙々と手を動かします。
頬と顎で効果音のざらつきに違いがあるのが印象的でした。
男性は大人になったら多少なりとも髭が生えますから、当然顎を剃る時はそれにぶつかって音が粗くなります。
こういう細かな部分にまでこだわるからこそすごくリアルに感じるわけです。
質量ともに優れた文句なしの散髪と言えます。
「社務所でお守りも売ってますし お餅つきもやってますし いつもあれくらい人がいたら 神様も寂しくなさそうで いいですけど」
最中の会話は正月のこと、この部屋や使ってる器具のことなどが中心。
音を無理なく楽しんでもらえるよう多少話したらしばらくは無言になり吐息だけを漏らします。
環境音はストーブとそこに置かれてるヤカンだけなので静かに感じました。
時間がいつもよりゆっくり流れてるような落ち着いた空気が漂ってます。
酒に酔った店主たちと
夕食を食べお風呂から上がった主人公が部屋に戻る途中で店主の芹とばったり出会い
彼女に誘われてすずなやすずしろが待つ鍋パーティーに参加します。
芹「いや去年あの子が種をもらってきたんですけどね 植えるにはちょーっと時期遅れてるけど ま、いけるいけるって軽い気持ちで蒔いちゃったんですよ」
芹は登場した時点でお酒を飲んでおりかなりのハイテンション。
お鍋に入れた白菜のことや一緒に出すおせち料理のことなどをガンガンしゃべります。
それに対しすずなは配膳役を務めてるのでセリフの量はあまりありません。
ヒロインよりも他の登場人物の会話量を増やして賑やかさを出してます。
こういう演出を敢えてする作品は初めて聴きました。
芹「酒は飲んでも飲まれるな!」
すずしろ「飲まれてるじゃないですか」
芹とそれ以外の掛け合いが軽妙でテンポが良いです。
芹がボケて、すずなとすずしろがそれにツッコむ構図が出来上がっており
先ほどの散髪とはまるで違う会話主体の物語が楽しめます。
芹が突然言い出した「いい子ポイント」という概念も面白味を引き立ててます。
最近の道草屋は主人公が入浴してるところへ偶然出くわしそのまま体を洗ったり
帰宅する際バスに乗り遅れた彼をお店に戻して再度もてなすなど
サービス以外の店員たちにも光を当てることが多いです。
普段見せない彼女たちの素の表情や反応を見せることでキャラの魅力を引き出すのが狙いでしょう。
本作品でもお酒を飲んだ店員と、それを介抱する店員を用意してサービスっぽさを打ち消してます。
最中の音は鍋がぐつぐつ煮える音、部屋に置かれてるストーブの音
主人公が料理を食べた時の咀嚼音など食事に関するものが控えめに鳴ります。
雰囲気作りに役立ってるのは間違いないですけど、このシーンはやはり会話が主役かなと。
総合力の高さが売りの道草屋シリーズらしいバランスに配慮した組み合わせ方をしています。
後編へ続く…。
「【皆でお鍋】道草屋-すずな6-新装開店バーバーすずな、他【散髪シャンプー】(後編)」
CV:すずな…藤堂れんげさん すずしろ…御崎ひよりさん 芹…雁庵うずめさん
総時間 2:41:21(ご予約電話…3:07 お昼…1:03:50 夜…39:58 寝る前…54:26)
体験版はこちらにあります
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