サークル「e-kimochi」さんの催眠音声作品。

今回紹介する作品は、異世界を支配してる穏やかな物腰の魔王が
勇者として召喚された男性に人生最高の瞬間を追体験させます。

60回分の絶頂感を事前に与えて最後に爆発させる時間停止をテーマにしたエッチが行われており
催眠は基本的な技法を行使しながら物語をわかりやすく教え
その後は10回ごとに絶頂する聖女の喘ぎ声を挟んで最後の瞬間への期待と興奮を高めます。
異世界ならではの体験をあなたに
魔王ティアマトに催眠をかけられ過去のエッチを追体験するお話。

「勇者様 とうとうここまで辿り着きましたね」
聖女は明るくて澄んだ声のお姉さん。
主人公と2人で魔王のいる最上階まで到着すると
これまでの出来事を軽く振り返ってから最終決戦に臨みます。

本作品は異世界の魔王として人間たちと戦ってる彼女が
それを阻止するために召喚された彼におよそ110分間の変わったエッチをプレゼントします。
現実世界でも流行ってる異世界モノにあたるわけですが
物語の舞台となるのは日本で、時間も彼らが出会い戦った後のことになります。

ストーリー性のある作品なので最初に概要を説明すると
彼は異世界の人間たちによって勇者として召喚され
神の血を引く聖女と共に旅をして様々な魔物を打ち破りました。
そしてようやく魔王の領域まで辿り着き、そこで2人揃って完膚なきまでに敗北します。

魔王「聖女と言っても 所詮は愚かな人間ね あなたたちは何も知らない 私が 時間を止められることも」
というのも魔王には時間を止める能力が備わってるため
たとえ能力の高い人間であってもまともに勝負することができません。
衣服を脱がされ、そのまま2人でSEXさせられる屈辱的な末路を辿ります。
このへんは冒頭で全部教えてくれますから覚えておく必要はありません。

時止めと聞くと例のスタンド使いあたりをイメージする人がいると思います。
でも彼女の場合は世界全体ではなく対象の時を自在に止められます。
コールドスリープを任意に引き起こせると言ったほうがわかりやすいかもしれません。
作中では彼の上半身だけ時を止め、下半身はピストンさせる変わった描写も出てきます。

そしてこの能力がタイトルの「61回分絶頂」へと繋がります。
彼が実際に絶頂するのは最後の1回のみです。
残りの60回は時を止めた状態で行い、それらすべてを61回目に凝縮する流れで進めます。
確かに時が止まってたら感じたり射精するのは不可能ですからね。
絶頂シーンが61回あるのとは違うことにご注意ください。
リラックス重視のドラマ性がある催眠
催眠はおよそ44分間。
戦いが終わり日本へ戻ってきた主人公のところへ魔王が訪れ
諸々の事情を話してからその時の様子や感覚を再び彼に味わわせます。

「異世界で勇者と呼ばれることに 憧れる気持ちもあるでしょうけど できれば 辛い思いや苦しい思いはしたくないでしょ?」
彼女は彼に再び邪魔されるのを危惧してるのでしょう。
だから勇者になることのデメリットを教えたり
苦しい思い出ではなく気持ちいい思い出だけを与えて奮い立つ気力を奪います。
別の世界にいる時点で手は出せませんから、優しい言葉とサービスを使って手懐けるわけです。

彼女がかける催眠にもその気持ちが強く表れてます。
3セット単位で深呼吸するのを数回繰り返した後に
左右の足、脹脛、太もも、背中、左右の腕と下から上へ流す感じに脱力します。

「吸ってー 吐いてー 力が抜けていく 吸ってー 吐いてー 緩んでいく」
そして脱力もパーツごとに3セットずつ深呼吸を繰り返します。
本作品の催眠パートは深呼吸をかなりの回数こなしますから
これだけでもある程度の脱力感や眠気を実感するでしょう。
脱力シーンに18分もかけてたりと、魔王のイメージとは随分違う穏やかな誘導をします。
全編を通じて彼女が気だるげに話すのも催眠に合ってて良いです。

体が脱力できた後は心の脱力。
カウントを数回に分けて数えながら深化の暗示を入れて催眠状態を深め
それと同時に聖女の声も流して自分が異世界に近づきつつあることを実感させます。

「数字が小さくなると あなたの意識は 無意識の底へ向かって ゆっくりと沈んでいく」
魔王討伐の直前に聖女が言ったセリフが再び流れたり
聖女が眠りの魔法をかける様子に合わせて深化を促すなど
独特な世界観や設定を持つ本作品の強みを活かしたリードをしてくれます。

催眠の技術自体は非常にシンプルなので、それ以外の部分が個性になってるなと。
途中から魔王の声にエフェクトをかけて世界が移動したことを遠回しに教えてくれます。

ストーリーを語りながらエッチの追体験を準備する癒し重視の催眠です。
異世界で過去に起こった出来事の記憶を呼び起こすことを目的に
深呼吸から入ってそれを交えた分割弛緩法、カウントを絡めた深化と
催眠音声では定番の技法を行使し、その中に物語を挟んで没入感を高めます。

ドラマ性のある作品ですからそこに力を入れるのは正しいです。
ですが深呼吸やカウントと共に入れる暗示の量がかなり少なく
残念ながら催眠特有の感覚を味わいにくくなってます。
私が聴いた時もそれなりにリラックスできたところで終わりました。

深呼吸や脱力をするのは結局のところ暗示を入れやすくするためなので
暗示をもっと厚く入れたほうがスムーズに誘導できたと思います。
進め方が丁寧だっただけにもったいないです。
以上のことからイマイチな催眠と私は見てます。
聖女が乱れイキ狂う姿を見ながら
エッチシーンは33分間。
プレイは聖女とのSEX(体位不明)、時間を止めるです。

SEX、聖女の絶頂、時間を止める際に効果音が鳴ります(鳴らないバージョンは入ってません)。
セルフはありません。

「これは あなたが実際に体験したこと 過去の事実は変えられない」
催眠を使って主人公の忘れた記憶を復活させた魔王は
そこで何が起きたか、どんな快感を味わったかをゆっくり語り始めます。

エッチは特に何かするのではなく彼女のお話を聞きます。
前半の17分間は30回目の絶頂を迎えるまでのシーン。
バックでピストン音が鳴り響き、10カウント単位で聖女がイキ声を漏らします。

「11回目 12回目 13 14 15 もう一度 快感が蓄積されていく 彼女の中にも もちろんあなたの中にも」
彼と聖女は時を止められたままSEXするため、本人たちには何が起きてるかわかりません。
だからそれを近くで見てた魔王が実況する流れで進めます。
また10回絶頂を迎えるごとに聖女だけ時止めを少し解除するシーンがあり
その時は回数を重ねるほど大きくて激しい喘ぎ声を漏らします。

長めのカウントを数えてドライ絶頂させる様子を
本作品なりのやり方で描いたプレイといった感じです。
実況重視で進めてるせいで肝心の感度上げたり気持ちよくする暗示が少なく
結果的に魔王と同じくSEXの様子を第三者視点で観察する形になってます。

後半の16分間は残る31回の絶頂を迎えるシーン。
60回目までは前半と同じくカウントを数えながらプレイや聖女の様子を描き
最後の1回だけは軽い追い込み暗示を入れて60回分の絶頂感を彼に叩きつけます。

「上半身は時間を止められたまま 快感の総量だけが蓄積され 積み上がっていく」
上半身だけ時を止められてる感覚がイマイチわかりにくかったり
最後の絶頂シーンでする追い込みが弱かったりと
本作品の鍵になる要素なのに作り込みが甘い印象を受けました。

こういう非現実的なプレイは聴き手にどう上手く伝えるかで
イメージ力や快感の度合いが随分変わります。
実況はしっかりしてるのだけど、その参加者になりきらせるにはもうひと工夫ほしいです。
下半身の時は動かしてるようですから、例えば60回目の絶頂を迎えるまでは股間の快感をガンガン上げていき
61回目でそれを頭に移動させる形で進めてれば流れをそのまま追うことができます。

このように、暗示よりも実況を主軸に据えた独特なエッチが繰り広げられてます。
発想は素晴らしいのだが
催眠音声よりも催眠を盛り込んだエッチなボイスドラマと呼ぶのがしっくりくる作品です。

魔王は世界征服の障害となる勇者を穏便なやり方で無力化しようと
彼がいる現実世界までわざわざ出向いて穏やかに語りかけ
まずは催眠を使ってリラックスさせながら彼が過去に味わった記憶を鮮明にします。
そしてエッチはそれをなぞる中に聖女の乱れる様子を挟んで60回分の絶頂感を蓄積させます。

異世界を支配する魔王が変わった手段で勇者を骨抜きにするややM向けのシチュ
深呼吸や脱力を入念にやりながらストーリーを語るドラマ仕立ての催眠
10回ごとに聖女の時を動かしてそのイキっぷりを楽しむ魔王ならではのエッチ。
一般的な催眠音声よりもドラマ性を上げてそれを活かしたサービスをします。

中でもエッチは時止めの能力を持ってるキャラだからできる個性的なプレイに仕上がってます。
魔王にとって2人のSEXには特別な意味があるようですけど
今回は事後のお話なのでそのへんにはあまり触れず快感に焦点を当ててます。

ですが全編を通じて暗示が弱い点がどうしても気になりました。
深呼吸と脱力を組み合わせてるのなら入れるタイミングが取りやすいですから
もっと体の重さや催眠が深まる感覚を入念に伝えていれば随分違ったでしょう。
エッチも暗示を駆使して聴き手をSEXの参加者にするアプローチがもっと欲しいです。

制作歴の浅いサークルさんがよくやる「暗示を軽んじる」傾向が思い切り出てしまってます。
「発想力に表現力が追い付いてない」というのが本作品に対する率直な感想です。
アイデアがすごく面白いだけに上手く形にできてないのが残念でなりません。

絶頂シーンは1回。
くちゅ音それなり、淫語と(聖女の)喘ぎ声そこそこ、ちゅぱ音はありません。

以上を踏まえて今回はこちらの点数とさせていただきました。
おまけは「聖女の主観で聴く、ほんの一瞬の物語」です。

CV:聖女…綾音まこさん 魔王…白流くじらさん
総時間 2:10:54(本編…1:54:56 おまけ…15:58)

オススメ度
■■■■■□□□□□ 5点


体験版はこちらにあります

追記
2020年11月2日まで30%OFFの847円で販売されてます。
その場合の点数は6点です。