えっちでかわいくてさびしがりやな妖狐

サークル「めがみそふと」さんの同人音声作品。

先日開催されたコミックマーケット86に合わせて発売されたこちらの作品は
気品を感じる妖狐の女の子がちょっぴり意地悪をしながら愛してくれます。
サークルさんの過去作と同様にストーリーやキャラづくりが非常にしっかりしており
2人の心の距離が少しずつ近づいていく様子が手に取るようにわかります。

最初は素っ気ないように感じる彼女にだんだんと親しみを覚え
終盤になると抱きしめたくなるようなたまらない可愛さを感じるようになるでしょう。
そして彼女に感情移入しているからこそエッチでより大きな興奮と満足感が得られるわけです。



主人公に課された奉仕の内容とは?
漫画家志望の妖狐「ナナ狐(ななこ)」の漫画製作を手伝うお話。

「部室に来るのも久しぶりね まったく あの子には面倒事を押し付けられたものだわ」
ナナ狐は落ち着いた気品溢れる声の女の子。
主人公が「善行部」の部室の前に立っていたところを彼女が発見し
中でその理由を問い詰めるところから物語は始まります。

お話の簡単なあらすじを説明しますと、主人公はテストで赤点を取り
罰として善行部で1か月間活動をするよう命じられます。
しかし善行部の部長であるコン狐は謹慎中のため目立った部活動ができません。
そこで代わりにナナ狐が現在製作している漫画を読んで
エロ漫画として抜けるかの感想を言ったり体を取材されることになります。

「和名類聚抄(わみょうるいじょしゅう) 平安時代の文献から既にそういうものとして私達は存在しているの」
ナナ狐は妖狐の中でも希少な部類に属する黒狐なだけあって気位が高く
主人公が言うことを聞かないときは術を使って屈服させたりします。
おそらく最初の段階では近づきがたい雰囲気を感じるでしょう。
声質も手伝ってかなりクールなキャラという印象を受けました。

「えぇ 本当に好きよ エロ漫画 だから あなたの言葉はちゃんと受け止めるわ」
しかし彼女はエロ漫画の製作に対して本当に真剣に取り組んでおり
主人公がハッキリ「抜けない」と言うとそれを怒ったりせず素直に意見を求め
それを参考に作品を作り直すといった妖狐らしからぬ一面も見せてくれます。

そして彼と意見を交換したり体を重ねるうちに自然と恋に落ちていく。
気高い彼女が不器用ながらも少しずつ心を開いていき
深い絆で結ばれていく様子が非常にわかりやすく、そして面白く綴られています。


「そもそもなぜ妖狐が学園で部活動をしているのか?」といった根本的な部分についても
作中できちんと説明されており、キャラだけでなく物語の背景についても
聴き手が違和感なく楽しめるように考えながら作られています。
正統派ボイスドラマの製作者として定評のあるサークルさんですから
聴いているうちに自然と物語の世界に引き込まれていくのを感じることでしょう。



取材目的から愛情表現の手段へ
エッチシーンは7パートあり、合計で100分30秒ほど。
プレイは手コキ、素股、フェラ、オナホ、キス、SEX(騎乗位)です。
手コキ、素股、オナホ、SEXの際にリアルなくちゅ音が流れます。

「喜びなさい 早速あなたが役立つ時が来たようね 助手さん」
最初に描いた漫画を主人公に全否定されたナナ狐は
次なる作品を描くための資料として彼におちんちんを見せるように言います。

エッチは男の体に興味津々な彼女が彼を術で金縛り状態にし
その生態を観察するようなスタイルで思うさま弄びます。
また全体的にハードで、6パート中4パートで連続射精をさせられるシーンがあります。

序盤のナナ狐は主人公を単なる研究材料としてしか思っておらず
おちんちんを見ても性的興奮ではなく感心するような仕草を見せます。

「これが男の子のおちんちん なるほど こういう形になっているのね」
「これが精子 白くてネバネバしてるわ 匂いは…イカ臭いってのは本当なのね」

彼に包茎設定がされているおかげで包皮を剥くシーンがあるのもポイント。
女性に皮を剥かれてその内側まで調べられるシチュにはゾクゾクするものがあります。
射精後に精液の感触・匂い・味をまじまじと観察されるシーンもたまりません。
そういった細かい表現を積み重ねて聴き手の興奮を少しずつ高めていくわけです。

「ほらっ ぬぷぬぷと入っていくわ おちんちんがぐにぐにと奥まで進んでる」
弄ばれている感覚がもっと味わえるのはやはり8話のオナホコキでしょう。
彼女はネットで購入した高級オナホを使って抜かずの3連続射精へと追い込みます。
これだけだと延々としごき続けて搾り取るようなイメージを抱くでしょうけど
1回目は普通に、2回目はにぎにぎしながら、3回目は回転させながらといったように
毎回責め方を変え、その都度くちゅ音も変えているところが素晴らしいです。

もう少し具体的に言うと初回は「ぴちゅ ぴち」とお馴染みの音
2回目は「ずちゅ ぬちゅ」と粘液質たっぷりの音、3回目はその中間くらいの水音を鳴らします。
オナホコキ自体が音声作品ではあまり見かけないのもありますが
ここまでこだわったプレイを聴かせてくれる作品はそうそうありません。
ペースも適度に変化しますし、かなり抜けるシーンと言えるでしょう。

「ほら もういじめないから 泣かないの」
しかし3発目を出した直後、ナナ狐は今までにはなかった労わりのセリフをかけてくれます。
やり取りやプレイを重ねるにつれて彼女のデレを感じるセリフがだんだんと多くなり
彼のことを単なる研究材料ではなくパートナーとして
あるいは異性として意識し始めている彼女の心の変化が伝わってきます。
つまり後になればなるほどより愛のあるプレイが繰り広げられるわけです。

「安心して この前みたいにいじめたりしないわ」
その変化を最も強く感じ取れるのが13話のフェラシーン。
ここでは漫画を描きすぎて疲れたナナ狐が同じく3連続で搾り取って栄養補給をします。
プレイ自体はハードな部類に属するのですが、以前の強引に奪い取るようなスタイルとは異なり
主人公の体調を考えて時折ペースを落としながら気持ちよく出せるように刺激を与えます。
思いやりを感じる分、気持ちよさに加えて幸福感や満足感も得られるでしょう。

肝心の舐めっぷりについてもレベルが高く、1回目は亀頭を中心に舌を這わせながら
2回目はピストンフェラ、3回目はバキュームフェラとちゅぱ音に明らかな違いを持たせています。
特に最後のバキュームフェラの「ずぴぴぴぴっ しゅりっ」という音には
股間ごと持っていかれるような強いパワーとエロスを感じました。

「いいじゃない あなたと別れるのが 寂しかったのよ」
「私を あなたの女にして」

2人が初めて1つになるSEXシーンも大きな山場の一つです。
ここまでくるともうナナ狐は主人公にベタ惚れな様子で
男が聞いたら喜ぶようなセリフを随所に交えながら激しく彼を求めます。

出会った当初のクールな印象が強烈だからこそ
終盤のデレた彼女の仕草がとても愛おしく感じられます。
様々な過程の末に結ばれることで快感はより大きなものとなり
抜いた後で「あぁ 聴いてよかったなぁ」という
音声作品における一番の醍醐味を味わえるわけです。

このように、プレイに至る背景までも大事にした重厚なエッチが繰り広げられます。



心揺さぶられる作品
ストーリー・キャラ・エッチとすべての部分が魅力的な作品です。

ボイスドラマとして大切な物語の部分に十分すぎるほどの時間が取られており
総時間の半分近くに及ぶ2人の非エロのやり取りを通じて
ナナ狐のこと、善行部のこと、漫画製作のことについても綿密に描いています。
総時間が長い関係で今回紹介できなかった部分が他にも数多くあり
そこでは彼女がデレに至るまでの様々なエピソードが登場します。

物語のターニングポイントとなるのはオナホコキのパート。
これ以降はナナ狐の口調が一気に柔らかくなり
彼女が彼を単なる道具ではなく正式なパートナーとして認めたのが窺えます。
体にかなりの負担がかかるプレイを受けても一切不平を漏らさず
責め苦に耐え抜いた彼を頼もしく思ったのかもしれません。
それを表すかのように、この後彼女は何度も積極的なアプローチをしてきます。

「ありがとう 話を聞いてくれて嬉しかったわ」
個人的には10話の河川敷でデートをした時に言う上のセリフが最も印象的でした。
思い入れのある場所でちょっとした決意を述べた後に出る何気ないセリフなのですが
妖狐っぽさがすっかり抜けた普通の女の子に近い口調で
彼女の中で何かが吹っ切れたのがなんとなく伝わってきます。

こういった一つ一つのセリフに感銘を受けるのは
やはりボイスドラマとしての完成度が高いからなのだと思います。
3時間超の時間に見合った様々な感動や興奮を与えてくれる作品です。

「待って 行かないで お願い…だから」
「馬鹿 寂しいに…決まってるじゃない」

ナナ狐についてはやっぱりデレた後の仕草がたまらなく魅力的です。
序盤から凛と振る舞う中にも一抹の寂しさを抱えていたのですが
主人公というかけがえのない存在を得てそれが一気に噴出します。

人づきあいが苦手で「嫌いじゃない」と回りくどい表現をよくするキャラですが
大事なところでは素直に感謝を述べていて好感が持てます。
能力を鼻にかけるようなタイプでもありませんし、単に不器用なだけでしょう。

今回は恋人になったところで終わりを迎えます。
この後もっともっとお互いを知ればまた違った顔を見せてくれるのかもしれません。
そのへんは続編に期待したいです。

エッチは非エロ部分の長さを補って余りあるほどにしっかりしていて
個々のプレイだけでなくシーンによっても目まぐるしい変化を見せます。
同一のプレイの中でもきちんと変化が感じられるのが実にいいですね。
プレイ中は無駄なセリフを極力削ってエッチな声や音のボリュームを増やしてますし
十分に抜けるレベルのエロさを持っています。

「回想シーン」というエッチシーンだけを盛り込んだファイルも存在します。
とりあえず1回通しで聴いて、その後お好きなシーンで抜くのが正しい使い方かなと。
淫語・ちゅぱ音・くちゅ音多め、喘ぎ声そこそこです。

唯一残念だった部分を述べさせていただきますと
エッチシーンでもうちょっとナナ狐が乱れるシーンが欲しかったところです。

回を重ねるごとに雰囲気は穏やかになっていくものの
ナナ狐が主人公を責める基本スタイルは変わりません。
デレた彼女を大いに乱れさせるシーンが1つくらいはあってもよかったのではないでしょうか。
立場逆転の要素にもなりますし、普段がクールだからこそ
2人きりの時だけに見せるもう1つの顔としての演出にもなります。

ややMをメインターゲットとしたハイレベルなボイスドラマです。
時間に対して1200円と非常に高いコスパも魅力的。
サークルさんのファンはもちろん、作品を未経験の方も
少しでも興味が湧いたのなら是非手に取ってナナ狐との幸せな時間をお過ごしください。

おまけはナナ狐とコン狐のやり取りです。

CV:ナナ狐…ちゆさん コン狐…藍沢夏癒さん(おまけにのみ登場)
総時間 本編…3:02:40 おまけ…8:56


オススメ度
■■■■■■■■■□ 9点


体験版はこちらにあります