まどろみと夢の間さんで配布されてる無料の催眠音声作品(女性向け、全年齢向け)。

今回紹介する作品は、のんびりと話す穏やかな声のお兄さんが
海に住む生物「クラゲ」にちなんだ催眠で安らかな眠りに導きます。

海に漂う感覚やクラゲの泳ぐ様子を擬声語で巧みに表現し眠らせてくれるのが特徴で
「ゆらゆら」「ふんわり」などの柔らかさを感じる言葉の数々を聴いていると
自然と頭の中がぼんやりしたり、体の感覚がなくなったような心地いい気分が湧いてきます。
海に浮かぶクラゲのように
お兄さんに安眠できる催眠をかけてもらうお話。

「こんばんわ。眠れないみたいだね?」
お兄さんは穏やかで温かい声の男性。
うまく寝つけないでいる主人公に声をかけると
彼女が安眠できるようにクラゲの話を始めます。

本作品はサークルTuberose Kissさんが公開されてる台本を望さんが音声化されたもので
タイトルにもなっているクラゲになりきるイメージをしながらのんびり眠りにつきます。

男性声なので女性向けとさせていただいてますが、全年齢向けですし性差を感じる描写は特にありません。
ですから内容に興味を持ったのなら男性でも普通に聴けると思います。
彼のぼんやりした声やのんびりした口調に多くの人が眠気を感じるでしょうね。
活動を開始されたばかりの読み手さんのはずですが、暗示の意味や意図を汲み取った演技をされてます。

催眠はほぼ全編にあたる17分間。
仰向けに横になり、まずはテーマのクラゲが海で泳ぐ姿をイメージします。

「ゆらゆらと揺れて… すぅーっと進んで… またゆらゆらと揺れて…」
本格的な催眠を始める前の下準備的なシーンなのですが
クラゲが海中でのんびり泳ぐ様子を擬声語を使って見事に表現しています。
この後も「ゆらゆら」「じんわり」など柔らかい印象の言葉を暗示に組み込んで徐々にリラックスさせてくれます。
私の場合はこの段階で結構眠くなってました。

お次は聴き手がクラゲになりきる手始めとして、自分が水中に浮かんでる様子をイメージし
そのまま全身をパーツごとに脱力して心と体の両方をじっくりほぐします。

「右ひじ…ゆらゆらと海に漂う… 二の腕…海の中に溶けだしていく… 右腕がすぅーっと海と混ざりあう…」
「海の中に溶け出して…海の水と混ざり合って… やがて意識も海と混ざり合う…」

脱力は腕、足、胴体、顔、頭などを末端から中枢にかけてのんびり行います。
「力が抜ける」ではなく「海の中に溶けて混ざり合う」と暗示を入れるのが実にいいですね。
物語の舞台となる海の中にいる感覚を言葉で上手に伝えてくれます。

私が聴いた時もずーんとくる重さではなく、手足の存在がなくなったような感覚のぼやけを強く感じました。
そしてこれはクラゲの容姿や特徴にとてもマッチしています。
生命の生まれ故郷である海に帰り一体化する展開にも安らぎを感じます。

「ゆら…ゆら… ゆら…ゆら… 深い意識の底へ… ゆら…ゆら… ゆら…ゆら… 眠りの世界へ…」
そして最後はクラゲになりきって海中をのんびり泳ぎます。
「ゆらゆら」をセリフの初めに置いてリズムを取りながら
後になるほどペースを緩め、語気を弱くして優しく語り掛けてくれます。
暗示で無理矢理眠らせるのではなく、聴き手のイメージ力を膨らませて自然な眠りに導きます。

このように、クラゲや海といった自然物を利用した大らかな催眠が繰り広げられています。
コンパクトな安眠作品
短時間ながらもちゃんと眠れるし十分な個性も持ってる作品です。

お兄さんは主人公の不安やストレスをできるだけ解消し、眠りやすい環境を整えようと
クラゲが海をのんびり泳ぐイメージを中心に据え
その中に催眠の技術やテーマに相応しい表現の暗示を適度に忍び込ませます。

彼の話すペースがゆったりしていることやセリフそのものの柔らかさが相まって
聴いてる最中は時間の流れが緩やかになったような感覚を覚えます。
事前にクラゲのイメージをさせてから変えていく丁寧な誘導も実に良いです。
私が眠くなったくらいですから、女性が聴いたらかなりの安眠効果が見込めるのではないでしょうか。

「ゆら…ゆら… 海に漂う… ゆら…ゆら… ゆれる…」
個人的に最も感銘を受けたのがセリフの表現です。
擬声語を意識的に多く盛り込み、水中に漂う心地いい感覚を引き出すように言葉をかけます。
このような言葉選びは実力のある人だからこそできることです。
大人ならダイビングは未経験でも海やプールで泳いだことがあると思います。
誰にでも通用する素材を使って催眠を施してるのも見事です。

清涼感を感じながら眠れる作品です。
無料ですから興味を持った方は是非お試しください。

CV:望さん
総時間 18:00

まどろみと夢の間
http://yam-kaw.hatenablog.com/entry/2016/09/19/162225