同人音声の部屋

同人音声および催眠音声(トランス/暗示ボイス)について、平均3000文字程度のオリジナルレビューを掲載しているサイトです

タグ:月花うさぎ

   ● 瞬間催眠リフレ
   ● 看取られ音声


瞬間催眠リフレ

サークル「オミ・オクル」さんの催眠音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、声も態度もあまあまなお姉さんが
現実世界で頑張ってる人を癒すコンパクトな催眠をかけます。

忙しくて時間があまり取れない人をターゲットにした作りになっており
最初の催眠導入は23分、その先のリフレパートは5~10分と時間をできるだけ切り詰め
その中でタイトルの「瞬間催眠」を成立させるための準備を整えてから
状況に合ったイメージを駆使して短時間のリフレッシュを促します。
瞬間催眠で短時間の癒しを
ミオが催眠をかけてから4つのシチュで癒すお話。

「こんにちは、はじめましての人は、はじめまして」
ミオは甘くておおらかな声の女性。
主人公に挨拶し、作品の概要を説明すると
まずは催眠を知らない人にそれが何かわかりやすく教えます。

本作品は仕事や勉強が忙しくて時間に余裕がない人をリフレッシュさせることを目的に
彼女がおよそ50分に渡ってそれに沿った癒しの催眠を施します。
起床時、寝る前、気持ちを切り替えたい時、集中したい時と
日常生活でよくあるシーンを選び、プラスに働く暗示を入れてそれを応援します。

ちなみに彼女は今年7月に発売された「看取られ音声」にも登場してます。
あちらでは死にゆく人を看取る役をしてましたが
今作ではそういう要素は一切入れずにひたすら癒します。

最大の特徴はタイトルにもなってる瞬間催眠
文字通り瞬時に催眠状態へ誘導することを意味し、これに向けて一歩ずつ丁寧に進めます。

「さすがの私も、初めての人を一瞬で催眠状態にするのは難しいんですよね」
彼女もいきなり瞬間催眠をかけるのは難しいことをよく理解してるので
まずはオーソドックスな誘導を行い、その中に一瞬で落ちられるトリガーを仕込んでおきます。
そして4つの音声でそれを発動してから癒す流れで進めます。

一般的な催眠音声だと導入から解除までを繋げて聴くようになってますが
本作品は初回だけ催眠導入パートを聴き、2回目以降は各シチュのパートをいきなり聴くことを想定してます。
これなら10分もあれば聴けるので、作品のコンセプトである「スキマ時間を使った癒し」に合致します。
サークルさんが新ジャンルとおっしゃられてる通りこういう作品は非常に珍しいです。

「私の言葉が、貴方の心のどこかで、溶けずに残っていて、癒せたら、とても嬉しい、みたいな」
これらを行うミオはふんわりした女性。
全編を通じてのんびりした口調で優しく語りかけます。
ホッとする声質をしてるので声を聞いてるだけで眠くなるかもしれません。
催眠も暗示をガンガン入れたりせず適度な余裕を持たせて安らげる雰囲気を作ります。
イメージを活用した催眠
一番最初の「Track1:導入音声」はおよそ23分間。
最初の5分を使って作品のコンセプトや催眠とは何かを軽く説明してから
楽な姿勢で深呼吸したり部屋の中の一点を見つめて心身の緊張をほぐします。

「身体の余分な力がどんどん抜けていきます。それに合わせて心もいつの間にか、ふわふわと軽くなっていることに、気付いていませんか?」
深呼吸の時は「吸ってー 吐いてー」の掛け声を挟みながら脱力感を伝え
凝視してる時は瞼の重さを感じさせるなど
ミオは普段通りの柔らかな態度で早速癒しを提供します。

技術自体は古典催眠ですけど、セリフの表現をかなり和らげてありました。
彼女の声も相まって割と早い段階から意識がぼんやりしてきます。
まだ始まったばかりなので瞬間催眠は無理に入れず、深化しやすくする方針で進めます。

お次は自分の心の中にある部屋をイメージし
そこに彼女と2人で移動しながら催眠状態をさらに深めます。

「好きな色の壁。お気に入りの家具。部屋の温度は、ちょうどいいくらい」
壁、内装、室温など部屋のイメージを鮮明にする要素をいくつか挙げ
さらに彼女が座るための椅子も用意して寛げる空間を作ります。
本作品は催眠パート、リフレパートいずれもイメージを有効活用しており
それらが持つ印象を通じて癒しの感覚をわかりやすく伝えます。
簡単な素材ばかりなのでよほど苦手な人でもない限りは大丈夫だと思います。

十分にリラックスさせてから深化に移る手堅い催眠です。
聴き手をミオがいる2人だけの部屋まで案内するのを目的に
パートの前半は深呼吸や凝視法といった脱力を重視した技法
後半は作品固有のイメージを交えた深化とシーンごとにやることを変えてスムーズに導きます。

本レビューでは敢えて伏せましたが、瞬間催眠を成立させるための仕込みもこの中で行ってます。
被暗示性が高めの人ならそれに合わせて感覚が変化するのを実感できるのではないかなと。
暗示の表現、分量、入れ方も良いですし催眠初挑戦のサークルさんとは思えないほど安定してます。

Track2以降は本題のリフレ(約25分)。
朝起きた時、一日の終わり、気持ちを切り替える時、集中する時を想定し
彼女が5~10分をかけてそれに合った癒しの言葉を投げかけます。
内容が完全に独立してますから繋げて聴く必要はありません。

「ほうら、ちょっとずつ、身体が暖かくなっていくのがわかりますか? 濡れていた洗濯物が乾くように、あなたの身体から、どんどん眠気が抜けていく」
そしてここでも彼女はイメージを使って感覚を伝えようとします。
朝起きた時は主人公を洗濯物に例えて温かさと爽快感を与え
逆に寝る時は自然が豊かな場所を彼女と散歩しながらゆっくりカウントを数えます。

瞬間催眠は冒頭の1分30秒ほどで行い、あとは時間いっぱい癒します。
どのパートも最後に解除の動作が入りますし本当にコンパクトです。

「緊張してもいい、不安でもいい。それらを、ちゃんと自覚した上で、大きく構える」
個人的に印象に残ったのは最後のTrack5。
なかなか集中できない彼を応援してから解消するコツを伝授します。
こういう場合は何か他のことが気になってるでしょうし
それをなかったことにするのではなく、共存できるように働きかけます。

このように、テーマの瞬間催眠を盛り込んで心をケアする実用性の高い催眠が繰り広げられてます。
ホッとする作品
短時間で実の詰まったサービスをしてくれる癒し系作品です。

ミオは現実世界で頑張ってる主人公の心を少しでも軽くしようと
まずは20分程度の催眠をかけて瞬間催眠に向けた準備を整えます。
そしてリフレパートは瞬間催眠の後にイメージと組み合わせて癒しの暗示を入れます。

おおらかなお姉さんが瞬間催眠リフレに適したリードをするノーマル向けのシチュ
技術を使って2人だけで過ごせる特別な部屋へ案内する催眠パート
時間をできるだけ切り詰めサクッと癒すリフレパート。
総時間の短さが弱点ではなく強みとなるように作品を組み立ててます。

中でも2番目は目的意識を持った誘導をされてて驚きました。
催眠音声を初めて作ったサークルさんだとなんとなく催眠をかけるケースもあるので
作品独自の要素を盛り込みきちんとこなせる時点で十分凄いと言えます。
ミオ役をやられてる月花うさぎさんの声もすごく眠くなるタイプでこの作品に合ってます。

瞬間催眠については人によって上手くいくかどうかに多少の差が出ると思います。
その場合はもう一度催眠パートを聴いて無意識に教えてあげるのがいいでしょう。
催眠パートとリフレパートを繋げても35分程度なので十分短いです。

手軽に、気軽に聴ける作品を求めてる人には特におすすめします。

CV:月花うさぎさん
総時間 48:40

オススメ度
■■■■■■■■□□ 8点


体験版はこちらにあります

看取られ音声

サークル「オミ・オクル」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介するサークルさんの処女作は、それぞれに異なる事情を持つ女性たちが
間もなく死のうとしてる相手を自分なりのやり方で見送ります。

自分の最期を看取られる様子だけを描いてるのが大きな特徴で
ある人は純粋に悲しむ、またある人は誓いを立てたうえで戦いに赴くなど
主人公の死を受け入れたうえで苦しみや悲しみが和らぐよう真剣に働きかけてくれます。
人生の最期に最高のご褒美を
4人の女性に看取られるお話。

「あらあら これは…助からないかな」
ミオは甘くておおらかな声の女性。
事故に遭い生死の境をさまよってる主人公に話しかけると
もう助からないと判断し、新しい世界へ案内します。

本作品は自分が看取られる気分を疑似体験してもらうことを目的に
彼女たちが50分程度に渡って色んなことを話します。
正体不明の女性、我が子同然の弟子、苦難を乗り越えてきた戦友、そしてロリ吸血鬼と
パートごとに異なるキャラが登場し、それぞれの背景に合ったやり方で彼らの最期を見届けます。
お話が完全に独立してますからどのパートから聴いても大丈夫です。

主人公の死が確定してる時点で湿っぽい作品だと思う人もいるでしょうが
4パートあるうちで泣き出すキャラは1人と少なく
それ以外は彼の死を受け入れたうえで悲しみを和らげたり自分の気持ちを素直に伝えます。

残り僅かな人生に悔いを残させないよう思いやるのが本作品の基本スタイルです。
癒し要素が結構充実してますから、他人の愛に飢えてる人が聴くと良い刺激になるでしょう。
状況が状況なのでどのキャラもふざけたりせず真っ直ぐ向き合います。
耳かきやマッサージを一切せず話術で癒やす作りも独特で面白いです。
変化に富んだ看取り
一番最初のTrack01は挿し絵に描かれてる女性が看取るパート(約15分)。
致命傷を負って意識がなくなりつつある主人公の心に直接語りかけ
今の状況や自分のことを教えてから色んな手段で甘やかします。

「私の声が聞こえるってことは 残念だけど 君はもう助からないんだ」
「私の手が触れると 痛さも怖さも 何もかもうすーくなっていって どんどんゆったりとした気分になっていくね」

間もなく死を迎えることをはっきり伝えたうえで
全身をパーツごとに触れて痛みと苦しみを取り除き
さらに頭を撫でる、深呼吸する、ぎゅっと手を握るなど
一般的な癒し系作品でもよくやることを順に行い彼の心と体を安らげます。

もうすぐ死ぬことが確定した場合、やはり恐怖や不安が湧いてくるでしょうから
それを和らげることに最も力を入れながら進めます。
そして死んだ後に何が待ち構えてるかもちゃんと教えて気を楽にします。
彼女の声も相まって非常に穏やかな空気が漂ってました。

続く2パート24分間は親しい女性に看取られるシチュ。
Track02は捨て子だったところを拾われ育てられた冒険者志望の女の子
Track03は侵略してきた異星人と一緒に戦ったクールな子と最期の時間を過ごします。

「え…嘘 あっ い、いやぁぁぁ!」
「ほら だから 起き上がって早く よくできたなって言ってくださいよ」

前者は家族同然の関係だったため最もストレートに感情を出します。
彼が死にそうなことに驚き、悲しみ、受け入れられずに心細そうな表情を見せます。
それでも何とかしようと頑張る姿に涙ぐむ人もいるんじゃないでしょうか。
大事にされてることが強く実感できて胸のあたりが熱くなります。

「君がいたおかげで あの時のボクは 辛い訓練を乗り越えることができた」
それに対して後者は淡々とした様子でぽつりぽつりと語ります。
訓練生時代に出会い色んな場面で励まされてきたことを感謝し
さらにこれまで自分の胸に秘めてきた思いを余すことなく伝えて彼の気持ちに応えます。
普段が少年っぽいキャラだからこそ、女性らしいことを言われた時は一層心に響きます。

実はこのパートは割と複雑な背景がありまして
それらを知ればなぜ彼女がここまで冷静でいられるかがわかるようになってます。
彼女にも彼の気持ちがわかるからこそ、ひとつひとつの言葉に重みを感じました。

最後のTrack04は逆に最も明るいお話(約14分)。
人生に嫌気がさしてた主人公が偶然ロリ吸血鬼と出会い
それから1年の時を経てようやく彼女の生贄になります。

彼の体が至って健康なことや、自分から彼女に血を吸われることを懇願した事情があるため
前の3パートとは随分違うカラッとした雰囲気になってます。
彼女も彼を苦しめないよう2種類の薬を与える思いやりを見せます。
「こういう死を迎えられるのもひとつの幸せなのかなぁ」と考えさせられるものがありました。

ちなみに本作品の吸血鬼は血を吸うだけでなく肉を食べる設定もあるのでご注意ください。
このパートでやるのは会話だけで、それらを実際にするシーンは完全に省略されてます。

このように、主人公が死ぬ結末を固定したうえで色んなことをする珍しいサービスが繰り広げられてます。
斬新な切り口の作品
同人音声では滅多に見かけないシチュを題材にしたボイスドラマです。

4人の女性は間もなく死ぬ、もしくはこれから死にゆく男性に安らぎを与えようと
自分たちを取り巻く事情を説明しながら最大限の思いやりを示します。
そしてある者は泣き、ある者は思いをはっきり伝えて幸福感を与えます。

「看取られ」に特化したサービスをする非常に珍しい設定
パートごとに異なるキャラと背景を用意し幅広く働きかける展開
心のケアに力を入れたセリフの数々。
暗く重くなりがちなシチュをできるだけ明るく軽く描いてます。

全年齢向けはこのところ新作の数が目に見えて増えてますが
それでもこういうタイプの作品は初めて聴きました。
主人公が死ぬ時点で癒しに繋げるのが難しくなるからでしょう。
ですが本作品はその難題をきちんと解決してます。

「あなたは またその足で 新しい道を歩いていける」
死を終わりではなく変化や始まりに位置づけてるのが大きいです。
生きてる者にとって死後の世界がどうなってるかはわかりません。
だからこそプラスにもマイナスにも捉えることができます。

また彼らがこれまでやってきたことを称賛して価値ある生を送れたことも示します。
「まったくの無駄だった」より「あなたと会えて幸せだった」と言われたほうが当然嬉しいわけで
そういう死の中にあるポジティブな要素を細かく拾ってお話にしてます。
やってる事はシンプルですけど、セリフの表現や内容に光るものを感じました。

扱いが難しい素材を上手に料理してる優れた癒し系作品です。

CV:月花うさぎさん
総時間 52:50

オススメ度
■■■■■■■■■□ 9点


体験版はこちらにあります

追記
2019年9月17日まで20%OFFの691円で販売されてます。

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