同人音声の部屋

同人音声および催眠音声(トランス/暗示ボイス)について、平均3000文字程度のオリジナルレビューを掲載しているサイトです

タグ:七瀬真結

   ● ぐっすり眠れる耳かきボイス 雨降る樹海と人さらい
   ● ASMRヒーラーズ~癒しの音で寝かしつけバトル~
   ● ぐっすり眠れる耳かきボイスω
   ● ぐっすり眠れる耳かきボイスβ-2
   ● ぐっすり眠れる耳かきボイスθ
   ● ぐっすり眠れる耳かきボイスβ




サークル「チームランドセル」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、現実世界に絶望しこれから死のうとしてた女の子が
男性に助けられ樹海や別の場所でのんびり耳かきします。

雨音をバックで流しながら音重視の耳かきするのが特徴で
使用する器具は毒針1本に絞り込み、それと雨音を組み合わせて癒しの空間を作り
そこに彼女との会話を適度に挟んで心のほうも温めます。

聴き手に希望を与える感じにストーリーを組み立ててますから
仕事や勉強で疲れを感じてる人が聴くといい気分転換になるでしょう。
すべてを洗い流す雨に打たれて
ふたつのシチュで少女に耳かきしてもらうお話。

「ん… 私の眠りを妨げるのは誰ですか?」
少女は明るくて穏やかな声の女の子。
身投げしようとしてたところを主人公に見つかり眠らされると
樹海の中で目覚めてその理由を尋ねます。

本作品は自宅や学校でいじめられて生きる気力を失った彼女が
似た境遇にある彼に助けられたお礼におよそ130分間の耳かきをします。
物語の前半は樹海、後半は別の場所と大きくふたつのシーンに分け
その両方でリアルな雨音を流しながらゆっくりじっくりお世話します。

製品版のおまけに樹海の写真が入ってるところを見ると
サークルさんが実際に出かけて録音されたのでしょう。
シーンによって勢いを変えながら比較的優しい水音を流し続けます。
ほぼ全編で雨が降り続けますからこれを聴いてるだけでもかなり癒されるでしょう。
現実世界に絶望してる彼女の心情を音で表現してるようにも思えます。

「案外悪くない? 良かった ならもっといじくってあげますよ この毒針で お兄さんの耳の中を」
また耳かきは「ぐっすり眠れる耳かきボイスβ」などで使われた毒針を採用してます。
「ずすっ」という乾いてて丸みを帯びた音になっており
奥から手前へ掻き出したり耳の壁をなぞるように動きます。

先端に綿を巻いてあるからでしょうけど
耳かきと綿棒の中間あたりに位置する音と動きをしてました。
不意に刺してきたりはしないのでスリルはほとんどありません。
彼女がこれを使う理由にも触れられてますし、個性を出すための工夫なのだと思います。

基本的には耳かき音、雨音、彼女の吐息を組み合わせたASMR色の強い作りです。
そして所々で会話を挟み、その内容によって違うBGMも流れます。
前半は切なさを感じる落ち着いた曲調、後半は温かみのある穏やかな曲調です。

「そういえば これから死ぬのに 私ったら どうして耳かきなんかしてるんですかね」
ヒロインを務める少女は実年齢よりも大人びた印象の女性。
声は割と可愛いですけど嫌なことが色々あったせいで冷めてます。
しかしやり残したこともあるらしく、これから死ぬことを受け入れられずにいる様子が窺えます。

後半に入ると人間味のある態度を見せるシーンがありますし
音重視でありながらキャラも立ってる作品と言えます。
雨音、耳かき、彼女との会話で心の中にある悪いものを洗い流そうとしてるように感じました。
静かで穏やかな耳かき
最初の70分間は樹海でする耳かき。
「2.毒針と少女」は右耳、「3.遠ざかる意識」は左耳を綺麗にします。
そして合間に耳のマッサージも軽く挟んで音に変化をつけます。

「お兄さん 私の膝はあったかいですか? ゆっくり寝てくださいね」
少女は身投げを止めてくれた主人公に多少は感謝してるようで
今まで一度もしたことがなかった耳かきを志願します。
そして膝枕でゆっくり手を動かしながら自分のことをぽつりぽつりと語ります。
バックで流れ続ける雨音も相まって終始静かな雰囲気です。

無言の時間がそれなりにありますけど、常に何らかの音が鳴ってますし
話さない時は代わりに吐息を漏らすので味気ない感じはしません。
自分と同じく生きることを諦めた彼に出会って安らいでるように見て取れます。
耳かき棒の代わりに使ってる毒針のことを話すなど、彼女のことが少しずつわかるように進めます。

音に強いサークルさんなだけあって効果音、環境音ともにレベルが高いです。
雨音はアスファルトではなく葉っぱに当たってるので質感が優しく
耳かきも毒針が持つ鋭さを綿で上手に和らげてます。
耳をマッサージする時はコリコリした弾力のある音を鳴らし
それに合わせて声や音が軽くこもる細かな演出がされてます。

続く55分間は別のシチュでする耳かき。
身投げを主人公に助けられたところまでは一緒ですが
その後少女が目覚めた場所を変えて同じく毒針でお世話します。
雨音の聞こえ方ももちろん変わります。

「お兄さん 大丈夫だよ 私がついてるよ」
ここでの彼女は樹海の時よりも優しい表情を見せます。
何らかの理由で追い詰められてる主人公を励ましたり
良い意味で彼女らしくない反応をするシーンが随所にあります。

耳かきは左耳→右耳→左耳の順にするシンプルなやつなので
彼女のセリフや仕草のほうが個性的と言えます。
実際に聴いてみると樹海パートよりも温かみを感じるでしょう。

このように、音を中心に据えつつ会話でも癒す落ち着いたサービスが繰り広げられてます。
心が洗われる作品
現実世界で嫌なことがあった時などに聴くと効果的な作品です。

少女は自殺しようとした自分を助けてくれた主人公に恩返ししようと
密かに持ってた毒針に綿を巻いて左右の耳をじっくりお世話します。
そしてバックで雨音を流したり会話を挟んで落ち着ける雰囲気を作ります。

虐待されてた少女が男性と出会い樹海で耳かきする変わったシチュ
効果音、環境音、BGMを組み合わせてお届けする癒しのパワーが強い耳かき
達観してるように見えて女の子らしさも持ってる彼女の二面性を持ったキャラ。
ASMR系だけどキャラも引き立つように作品を組み立ててます。

中でも音は本作品の大部分を占める要素なだけあって力を入れてます。
雨音ひとつを取ってもシーンによって鳴り方が変わりますし
耳かきも単調さが出ないように動かし方を変えたり会話を織り交ぜて進めます。
やることは至ってシンプルですけど、作り込みがしっかりしてて現実逃避しながら聴けます。

「私もできるかな? 〇〇」
あとは後半シーンの彼女のセリフや仕草も印象的でした。
窮地を乗り越えたことで良い方向での変化が生まれてるのがわかります。
主人公に会って多少なりとも心が軽くなったのかもしれませんね。

耳かき重視のASMR作品が好きな人、心の洗濯をしたい人には特におすすめします。
おまけはオリジナル音楽、雨音、吐息を組み合わせた音声7本です。

CV:少女…浅見ゆいさん ??…七瀬真結さん
総時間 7:42:51(本編…2:11:45 おまけ…5:31:06)

オススメ度
■■■■■■■■□□ 8点


体験版はこちらにあります

追記
2021年2月26日まで20%OFFの968円で販売されてます。



サークル「ディーブルスト」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、様々な音を駆使して癒す変わったお店を舞台に
合計5人の店員さんが対戦形式でASMR色の強いサービスを提供します。

パートごとに声優さんが交代し、それに合わせて施術内容もガラリと変わるのが特徴で
知育玩具で遊ぶ、デート気分で海辺を散歩するなどそれぞれに異なるテーマを持たせ
そのすべてで優しくてリアルな音を鳴らしたり囁き声で話しかけて癒しと眠気を与えます。
王道から変わり種まで種類が豊富ですから、ASMRを普段よく聴く人も新鮮な気分で楽しめるでしょう。
リアルな音を駆使した癒される勝負
果穂、美夜、珠理、音葉、伊織が一対一で心地いい音を鳴らすお話。

「Cure Soundsへようこそ! いつもお越しくださり、ありがとうございます♪」
果穂は明るくて可愛い声の女の子。
来店した主人公に元気よく挨拶すると
ASMRヒーラーズの手紙を受け取りその内容を説明します。

本作品はお店の常連になるほどここへ頻繁に通ってる彼が
日頃の感謝として彼女たちからおよそ100分間の健全なサービスを受けます。
「施術中に寝落ちしたら負け、無事耐えたら勝ち」というルールを定め
1人あたり15分~30分の時間を割いてゆっくりじっくりもてなします。
登場人物が多いことや複数人でお世話するシーンがないことからセリフの色は全員青で表記します。

果穂「Cure Soundsでは音による癒しを感じて頂くサービスを行なっております あくまで音による施術なので、店員が直接触れるような事はありません」
最大の魅力はASMR系のサービスが充実してること。
セリフよりも音や擬声語を主役に置き、パートごとに違うテーマを持たせて多種多様な音を鳴らします。
ASMRと聞くと耳かきやマッサージを思い浮かべる人がいるでしょうけど
このお店はお客の体に直接触れるサービスは一切やりません。
横になった彼にイヤホンを装着し、店員は別室からマイクで話しかけながら音を鳴らします。

木製のおもちゃをいじる音、波の音、複数の足音、布の擦れる音など
定番の音から本作品でしか見かけない音まで本当に幅広いです。
ディーブルストさんはずっと前から音に強いサークルさんとして有名ですから
ひとつひとつの音も質が高く、音声を聴けば聴くほど癒しと安らぎを感じます。

施術中は囁き声で話すようにしてるおかげで静かな印象を受けました。
常連に対する感謝の気持ちを伝えながら全力で寝かせようとします。
前半の2パートは音重視、後半は声重視と同じASMRでも方向性を変えてます。

合計5人の声優さんが登場するのも本作品の魅力です。
どの方もサービスの趣旨に合った演技をされてて終始穏やかな空気が漂ってます。
店員らしくストレートにお世話する人もいれば、恋人に近い態度で接する人もいました。
音に比べれば存在感は控えめですけど、癒しの雰囲気を作るのに貢献してるのも事実です。

ちなみに同じシリーズで当サイトにレビューがある作品は以下の2本です。
【立体音響】Cure Sounds-音葉【特典音声あり】」(R-15 2月4日まで60%OFF)
【立体音響】Cure Sounds-響花」(R-18 2月4日まで75%OFF)
どれも内容が独立してますからこれらを聴かずに本作品を聴いても大丈夫です。
眠気を誘う音の数々
一番最初のTrack1(約11分)は対戦に向けた準備。
受付をしてた果穂が主人公を出迎え、軽い説明を挟んでから施術室へ案内します。
そして横になった彼に目隠しとヘッドホンを装着し、声のチェックや素朴な音を鳴らします。

「これは…紙コップです 普段何気なく使っているものでも、こんな感じでゾクゾクしちゃう…♪」
ここで登場するASMRは紙コップのタッピング。
最初は指、次は鉛筆を使って4分ほど音を鳴らします。
日常生活でもよく聴くものですが、乾いた音が左右へスライドしながら鳴るおかげで心地いいです。
音を鳴らしてる間はできるだけしゃべらないようにするのも本作品らしいなと。

続く2パートは音で癒すことを目指したサービス。
Track2(約30分)は美夜が知育玩具で遊ぶ音を鳴らし
Track3(約22分)は珠理と海へデートに行く様子を疑似体験します。

「あ、気づかなかったけど、お豆さんの形に違いがあるんだ これはまん丸で…これは三角っぽい? なるほど…これは掴みにくそう…」
美夜は元保母さんなだけあって遊び始めたら止まらない性格をしており
実況を挟みながら独り言を呟いて何をしてるか彼に伝えます。
最初に出てくる色んな種類の豆を箸でつまむ遊びは滑らかな物音
次のタングラムという名のパズルは「かちかち」と木が優しくぶつかる音が鳴ります。

本作品で最も長い時間を割いてることもあり、素朴な音を存分に楽しむことができます。
彼女の優しい声や子供っぽい性格も相まって多くの人が癒しを感じるでしょう。
私もこういう音を鳴らす音声作品は初めて聴きました。

「こうやってただ、ずーっと波打ち際を見てるだけで癒されるなぁ… 君もそばで一緒に見てようよ」
2番手の珠理は雰囲気がガラリと変わります。
パートのほぼ全部で波が穏やかに打ち寄せる音が流れ
彼女自身も店員より恋人に近い距離感で彼と接します。
手を繋ぎながら海に足を浸して散歩する、岩場まで駆けっこするなどイチャラブ感を強調してます。

2人が歩く場所によって足音が変わること
海から近づいたり遠ざかったりするのに合わせて環境音の聞こえ方が変わるのが素晴らしいです。
海辺にいる時はすぐ近くを鳥が鳴きながら通り過ぎる音も入ってますし
サークルさんが音の質感だけでなく鳴らし方にもこだわってるのがわかります。
効果音と環境音が合わさると単体の時より癒しのパワーも強いです。

終盤の2パートは声を使ったASMRが登場します。
Track4(約16分)は音葉のオノマトペ
Track5(約19分)は伊織の囁き&すきすき連呼と引き続き担当者を変えてお世話します。

「ずるっ、ずるっ、ずる…ずるるっ かしゃ、かしゃ、かしゃ、かしゃ」
音葉は「とことこ」「ちりちり」「つるつる」といったセリフを言うシーンが多く
どれも30秒程度の短い間隔で切り替えて耳に微弱な振動を送ります。
パート後半からはクイズ形式に変わったりして面白いです。
また一部で声が左右に分離し残響させながら言う珍しいサービスも登場します。

「別に臭くなんてないよー むしろ~…アタシは少しくらい男らしい匂いがする方が好き」
最後の伊織はTrack3に近いスタイルで声に寄せてます。
現役JKなことを活かして序盤から声を密着させ
思わせぶりなことを言ったりストレートに眠らせるセリフを投げかけます。
布の擦れる音や匂いを嗅ぐ音も入ってるのでバランス型と言うのが妥当かもしれません。
「好き」を連呼するのも相まって、本作品の中で一番素朴で甘いサービスに仕上がってます。

このように、テーマのASMRは統一したうえでまったく違うことをする幅広いサービスが繰り広げられてます。
癒し効果抜群の作品
ASMRの魅力が凝縮されてる優れた作品です。

美夜、珠理、音葉、伊織はASMRヒーラーズに挑戦する主人公を寝落ちさせようと
それぞれに趣向を凝らした音のサービスをして癒しを与えます。
そして前半は音重視、後半は声重視とスタイルを変えて幅広くお届けします。

対戦形式で店員たちから色んな施術を受けるノーマル向けのシチュ
セリフよりも音の割合を高めに設定し、パートごとに違う音を鳴らすASMR色の強いサービス
定番のものからマイナーなものまで数多く取り揃え、そのすべてが高品質な音にこだわった作り。
サークルさんが得意とされてる分野を今までとは違う視点で形にしてます。

中でも2番目は音はもちろん、テーマも被ってる部分がまったくなくて
どのパートも新鮮な気分で聴くことができます。
声優さんが毎回交代する展開もそう言える要因のひとつです。
耳かきやマッサージをわざと避けてるおかげで音自体の個性も強めですし
音声作品で人気のASMRをディーブルストさんらしいやり方できちんと表現してます。

音についても全体的にハイレベルで大変癒されました。
どの音も耳に優しいからずっと聴いててもうるささを感じません。
店員たちのセリフを囁き主体にしてるおかげで両者が上手く共存できてます。

ASMRを題材にした作品が好きなら誰にでもおすすめします。
おまけはPRボイスとフリートークです。

CV:果穂…犬塚いちごさん 美夜…七瀬真結さん 珠理…みやぢさん 音葉…浅見ゆいさん 伊織…結崎有理さん
総時間 1:59:55(本編…1:39:23 おまけ…20:32)

オススメ度
■■■■■■■■■□ 9点


体験版はこちらにあります

追記
後日ダウンロード数に応じて新キャラが無料で追加されるそうです。

2021年2月2日まで20%OFFの880円で販売されてます。
その場合の点数は10点です。

ぐっすり眠れる耳かきボイスω

サークル「チームランドセル」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、忘れ物がある人にそのことを教えてくれる不思議な駅を舞台に
駅員さんが菓子職人志望の女性と会話や耳かきを楽しみます。

ストーリーとサークルさんの特徴を上手く融合させたドラマ性のある耳かきが行われており
女性が抱えてる悩みに関する物語を通じてまずは心を温め
それからセリフをほとんど挟まず効果音と吐息だけを鳴らしてさらなる癒しを与えます。
人と思いの集まる場所で
夢の中で駅員と耳かきや添い寝をするお話。

駅員「今日も平和ですねー」
改札ペンギン「むきゅー」
駅員は素朴で可愛い声の女の子。
普段よりも利用者の少ない駅でお供のペンギンと一緒に行き交う人々を眺めてると
改札でうろうろしてる女性に話しかけ、何か忘れ物がないか確認します。

本作品は忘れ物や心残りがある人を見つける能力を持つ彼女が
菓子職人を目指してる女性と駅で出会い、悩みの解決と耳かきをします。
全年齢向け作品の場合、大抵は主人公を男性もしくは性別不明に設定するのですが
チームランドセルさんは百合好きなサークルさんなので敢えて女性にしてあります。

ストーリーを簡単に説明しますと、この女性の母親は街一番の菓子職人をしており
彼女も同じ道を歩み技術を学びたいと思ってました。
しかし数年前病気で他界したため現在は独学で少しでも近づこうと頑張ってます。
そして彼女が駅を訪れたこの日は丁度母親の命日にあたります。

駅員「時をここまで遡るのは珍しいです 私の見立てでは5年くらいでしょうか」
耳かきがメインの作品ですけどドラマ性もそれなりに備わってます。
駅員が持つ特殊能力を使って過去へ遡るシーンもあったりと設定が色々凝ってます。
菓子職人を目指す女性も普通に話すので主人公の心情が捉えやすいです。

もうひとつの大きな特徴は作中で流れる音。
シーンごとの雰囲気に合ったアンビエントBGMが流れ、さらに駅らしく汽車の音も適度に鳴ります。
音と音楽の両方で癒す作りになってますから音単体の時よりも落ち着く感じがするでしょう。
耳かき音や彼女たちの吐息を妨げないようやや音量を下げてあるのも良いです。

一番最初の「序章」は女性の悩みを解決するパート。
彼女と駅員が出会い、母親がまだいた頃に戻ってお菓子作りや耳かきの様子を眺めます。

駅員「お母さんの胸の中で 甘えるあなた とても幸せそうですね」
「ぷすぷす」というアップルパイが焼ける音、ボウルに入った生地をかき混ぜる音
「ぷす しゅくっ」という綿棒の柔らかい音など早速色んな音が登場して物語を盛り上げます。
そしてそれらを通じて女性が一体何を忘れていたのか思い出させます。

詳細は聴いてのお楽しみにさせていただくとして、心温まるお話でした。
耳かきの前に物語を挟むことで聴き手を作品世界へ引き込むことにも成功してます。
様々な癒しの音に包まれて
メインのサービスにあたる耳かきは2パート59分間。
忘れ物が無事見つかり安心した女性が元の世界へ戻る前に耳かきをリクエストします。
そして一通り終わった後は立場を逆転させ、今度は駅員の耳を綺麗にします。
どちらも膝枕の状態で左耳→右耳の順に綿棒でお掃除し、仕上げに数回息吹きします。

会話重視だった序章パートから一転してセリフが極端に減り
最中は耳かき音、2人の吐息、アンビエントBGM、汽車の音だけが流れ続けます。
タイトル通り安眠を強く意識した耳かきですね。
耳かき棒だとそれに合わないから優しい質感の綿棒を選んだのでしょう。

実況を特に挟まないので耳かきの様子はややわかりにくいですが
軸を持って回転させる、耳の壁を優しく撫でる、奥まで差し込んで短いストロークでお世話するなど
効果音の質、量、動きにこだわっていてとても癒やされます。
音同士の連携も取れていて2人がいる夢の世界がリアルに形作られてました。

駅員と女性の違いを強いて挙げるとするなら進め方です。
前者は4分程度の間隔で左右の耳を切り替えながらお世話し
後者はパートをほぼ半々に分けて片方ずつ固めてお掃除します。

そうやって心の芯からスッキリできた後、添い寝を挟んで元の世界へ戻ります。
お菓子の話をするついでに耳を軽く舐めるシーンがあるもののエッチに感じるほどではありません。
シーンの中盤以降は本作品の主題歌も流れて穏やかに締めくくります。

このように、セリフと音の配分を大きく切り替える温かな物語が繰り広げられてます。
ホッとする作品
胸のあたりにぽかぽかしたものを感じながら眠れる作品です。

駅員は母親と同じく菓子職人を志す女性の探しものを見つけようと
彼女を過去の世界へ案内し、母親との思い出を振り返りながらそれを思い出させます。
そして無事解決できた後は長めの耳かきを交互にやって純粋な癒しを楽しみます。

変わった駅員と女性の物語を交えて耳かきするドラマ性を含んだ作り
話す時とそうでない時をハッキリ分けて会話と音の両方を楽しんでもらう演出
百合、アンビエントBGM、交互に耳かきするスタイルなどサークルさん独自の要素。
元々持ってた良い部分を継承しつつ、新しいタイプの音フェチ系耳かき音声を作り上げてます。

駅員「皆の笑顔が見れて 私も幸せいっぱいです」
特に1番目の要素は耳かき音声だと不足しがちな部分なので個性を出すのに役立ってます。
駅員は変わった属性や特殊能力を持ってるものの性格は至って善良です。
駅という多くの人々が訪れ、旅立っていく場所を穏やかに見守り続けます。
彼女とコンビを組んでる改札ペンギンにもマスコット的な可愛さを感じました。

耳かきはリアリティよりも長く多く音を鳴らすことを重視してます。
本作品のコンセプトが安眠にあるからこういうふうにしたのでしょう。
垂れ流し気味ではありますがかなり癒やされるのも事実です。

風変わりな音フェチ系耳かき音声を探してる人には特におすすめします。
おまけは主題歌、改札ペンギンの耳かきボイスです。

CV:駅員…藍月なくるさん 改札ペンギン…秋野かえでさん
お菓子職人を目指す女性…七瀬真結さん ナレーター…美吹ゆうささん
総時間 2:04:19(本編…1:32:44 おまけ…31:35)

オススメ度
■■■■■■■■■□ 9点


体験版はこちらにあります

ぐっすり眠れる耳かきボイスβ-2

サークル「チームランドセル」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、三途の川の橋渡しをしてるクールな死神が
自分の領域に迷い込んできた女性と耳かきしながら色んなことを話します。

サークルさん最大の武器とも言えるアンビエントBGMはもちろん
彼女のキャラ、耳かき音、環境音など作品を構成する色んな要素が高い水準を誇ります。
物語の前半と後半で彼女の属性やお話の内容が大きく変わるのも魅力です。
音と言葉が紡ぐ癒しの物語
死神のユリに耳かきしたりされるお話。

「気がついた? 私の名前はユリ この小舟で橋渡しをしている」
ユリは淡々と話す優しい声の女の子。
どういうわけか霧に覆われた不気味な世界に迷い込んだ主人公に声をかけると
記憶を失ってる彼女にここがどこか教えてあげます。

本作品は今年8月に発売されたサークルさんの代表作「ぐっすり眠れる耳かきボイスβ」の続編。
何らかの事情で生きたまま三途の川に舞い降りた主人公を現世へ送り返そうと
彼女がおよそ80分に渡って2種類の耳かきをします。
シリーズものですが総時間のほとんどが耳かきですし、前作とは主人公が違うので今作からでも問題ありません。
ちなみに主人公はSなお嬢様キャラ、つまり女性に設定されてます。

チームランドセルさんと言えばアンビエントBGMを取り入れた耳かきで有名なサークルさんです。
本作品もその例に漏れず、音声開始1秒の時点から色んなタイプのBGMが流れます。
場所が生と死の狭間ということで全体的にダウナーな曲調ですが
ホラー作品によくある背筋が凍るものではなく、ミステリー作品で流れる不穏なものが中心です。

また不穏なだけでは安眠できないだろうということで
二人の会話や心理状態に合わせて癒しを感じる曲も適度に流れます。
簡単に言うと若干おどろおどろしい雰囲気の癒し系BGMです。
3分程度の間隔で曲が変わっていきますから最後まで飽きずに聴けるでしょう。

それ以外の要素もアンビエントBGMに引けを取らない品質を誇ります。
メインのサービスにあたる耳かきは音質と動きの両方がリアルで変化に富んでますし
作品の大部分で川の流れる音、水面が揺れる音、焚き火の音といった環境音も流れます。
音量や割合のバランスも取れており作品世界が音だけで見事に表現されてます。

「私は見る人によって性格が変わるの あなたが見て 好ましい性格に」
もちろん耳かきや会話をするユリの存在も忘れてはいけません。
彼女には相手に合わせて自分の性格を変化させる能力があるらしく
耳かきの前半と後半で態度やセリフが大きく変わります。

具体的には前半がドM、後半はSに振る舞います。
といっても全年齢向けですからそこまで行き過ぎた描写はありません。
彼女の魅力を引き立てるための演出あたりに留まってます。

シーンによって小まめに変化するアンビエントBGM、効果音、環境音
ユリの特性を盛り込んだ落差のあるセリフ。
音声作品を構成する色んな要素に個性があり、尚且つどれもハイレベルな総合力の高い作品です。
両方の立場を楽しめる落ち着いた耳かき
6分程度のドラマパートの後に始まる「ドM耳かき」はユリが耳かきされてる様子を楽しむパート(約38分)。
彼女の媚びた言葉にS心をくすぐられた主人公が押し倒し
最初はうつ伏せに、しばらくすると仰向けにさせたまま特殊な器具で耳をお世話します。

「言っておくけど いくら私でも刺さったら 間違いなく死…あっ あ…入ってく」
本作品の耳かきで使う器具は一般的な耳かき棒ではなく、ユリが持つ「地獄蜂の毒針」と呼ばれる武器の一種。
彼女によるとそれに刺されたら死神ですらあっさり死ぬほどの威力があるそうです。
三途の川で耳かき棒や綿棒を取り出したら逆に不自然だからこうしたのでしょう。
効果音自体は至って普通の耳かき音です。

毒針耳かきは「かりかり くしゅっ」と細く硬さのある音が使われており
ゆっくり掻き出したり耳の壁を擦るなどを短い間隔で切り替えながら動きます。
作中には「~を掃除しますね」などの耳かきに関するセリフは一切なく、すべてを音だけで表現してます。
力がかなり抑えられてますから長時間聴いても耳や頭が痛くなることはないでしょう。

「あなたみたいな美少女に そんな汚いものを見る目で見られるなんて…いい」
最中のユリは主人公の性的嗜好をくすぐる言葉を囁き声で適度に投げかけます。
死神の力を使って常に耳元から話しかけるので普段の耳かきとまったく同じスタイルです。
パートの前半はあまり話さず吐息をメインに、後半は会話量を多めにすることで
アンビエントBGM、効果音、環境音といったセリフ以外の部分もバランス良く楽しめるようになってます。

続く「ドS耳かき」は攻守が逆転しユリが主人公を責めるパート(約35分)。
前のパートの最後で主人公が根っからのドSではないと見抜いた彼女が
ドMからSへ属性を一気にシフトさせてスリリングな耳かきをします。

「やっぱり こっちのほうがゾクゾクする 命を握る感覚」
前項で説明したように彼女は相手の心に同調して自分の性格を変化させます。
だからSの心が弱まった主人公を死神らしいセリフを織り交ぜて積極的にお世話します。
耳かき自体は普通にやってセリフでSっ気を出す感じです。
前作を聴いてる人はこっちのほうがユリらしいと思うのではないでしょうか。

「もしかしたらとても辛いことかもしれない 楽しいことかもしれない けれど それをまっすぐ受け入れて 自ら望んで火を灯し続ける限り 必ず あなたの熱を求めて 人は集まってくる」
しかし彼女は死神ですからまだ死ぬ予定のない人間を無理矢理死後の世界へ送る気はありません。
人の命を火や薪に例え、人生をより良く生きるためのアドバイスもします。
このシーンでは環境音が川の音からパチパチと火が燃える音へと変化し別の癒しを与えてくれます。
最初はSらしく振る舞い、中盤以降は優しく接することで前のパートとは違う彼女の魅力を引き出してます。

このパートは会話量が結構多いので「安眠できるか?」と言われれば少し首を捻りますが
癒しのパワーは強くキャラも立っていて音声としての面白さを十分過ぎるほど持ってます。
同じ耳かきでも前半と後半で随分違う印象を抱くでしょう。

このように、各要素のバランスや方向性に変化をつけた珍しい耳かきが繰り広げられてます。
不穏だけど落ち着ける作品
安眠、癒し、勇気といった心にプラスに働く成分を送り込んでくれる作品です。

ユリは生きたまま生死の狭間に飛ばされてきた主人公を無事現世へ送り返そうと
相手が望むサービスや性格でもてなしながら色んなことを話します。
そして耳かきの様子はもちろん、周りの状況や二人の心理状態をBGMや音でリアルに表現します。

サークルさんの専売特許とも言える多彩かつ高品質なアンビエントBGM
それに効果音と環境音を違和感なく盛り込んだ完成度の高い作り
ユリの特性を色濃く反映させた構成とセリフの方向性。
耳かき音声だからといってそれだけを突き詰めるのではなく、作品全体のバランスを大事にしながら物語を進めます。

「もし あなたが自信をなくしたら また 来るといいわ」
中でもユリは死神らしさを出しつつ主人公を元気づける重要な役割を果たします。
このところの耳かき音声はセリフよりも効果音に力を入れたASMRが多くなってますが
本作品は耳かきよりもキャラやBGMといった他の要素の存在感を大きくしてます。

アンビエントBGMは総時間が前作の2倍以上になったのを受けて曲の種類が増えてます。
癒し→不穏→癒し、みたいにどちらかへ傾かないよう流す順番を考えてますし
二人の気持ちに曲調を合わせるなど、垂れ流すのとは明らかに違う使い方がされてます。
環境音も同時に流れるおかげで現実世界のノイズが遮断され、異世界に降り立った気分が味わいやすいです。

耳かきは特製の毒針だけを使う至ってシンプルなものです。
音や動きは多彩ですが色んなタイプの音を聴きたい人には物足りなく感じるかもしれません。
アンビエントBGMや環境音も一緒に楽しんでほしいから敢えてこうしたのだと思います。

前作の正統進化と呼ぶのが相応しい個性溢れる作品です。

CV:七瀬真結さん
総時間 1:20:12

オススメ度
■■■■■■■■■□ 9点


体験版はこちらにあります

追記
2017年12月31日まで20%OFFの560円で販売されてます。
その場合の点数は10点です。

ぐっすり眠れる耳かきボイスθ

サークル「チームランドセル」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、1歳違いで友人よりもずっと深い関係にある二人の女の子が
散髪や耳かきをしたり一緒のベッドで寝て幸せなひと時を過ごします。

アンビエントBGMと効果音を組み合わせた独特なサービスが行われており
シーンによって曲調を切り替えながらリアルな音を鳴らして臨場感と癒しを与えます。
最中に交わされる百合成分強めの会話も大きな魅力です。
癒しの音楽に包まれて
水那(みな)と心陽(こはる)がイチャイチャするお話。

「あ、はるちゃん 起きちゃった?」
水那は素朴で甘い声のお姉さん。
親しい間柄にある心陽を起こさないようにお店で髪を切ってると
目覚めた彼女に百合っぽいことを言って軽くからかいます。

本作品は大きく2つのパートに分かれており
水那Partは親が美容師で自分もそれを目指し専門学校に通ってる水那が
間もなく大学受験を迎える1歳下の心陽に散髪と耳かきをします。
もうひとつの心陽Partはそのまま水那の家にお泊りし、一緒のベッドで会話してから眠りにつきます。
パートごとに話し手が切り替わる作りになってるので二人が掛け合うことはありません。

「ぐっすり眠れる耳かきボイス」の名の通り安眠効果が強く
特に多くのシーンで流れ続けるアンビエントBGMが大きく貢献しています。
前作「ぐっすり眠れる耳かきボイスβ」では舞台が三途の川ということでおどろおどろしさを感じるものだったのですが
今作では物語に合わせてゆったりした温かみを感じるものに揃えてます。
音声作品でこの要素を使ってるサークルさんはほとんどいませんし、間違いなく最大の個性と言えます。

本作品の良さはもちろんそれだけではありません。
散髪シーンでは「ざしゅっ」という小気味いいハサミの音が位置や距離を小まめに変えながら鳴り
耳かきも使用する器具の質感に合った音と動きをします。

アンビエントBGMと効果音のバランスに気を遣った親和性の高いサービスをしていてレベルが高いです。
二人がしゃべらず音だけが流れる時間もそれなりに取られてますから
音フェチ(ASMR)系の作品が好きな人も十分に楽しめます。

水那「私の前で寝てるはるちゃんを見てるとね 可愛いから ちょっと悪戯したくなっちゃう」
心陽「嬉しかったなぁ 好きな人に髪を切ってもらうのって こんなに幸せなんだって思ったよ」
もうひとつ、最中に交わされる百合会話も大きな魅力です。
全年齢向けなのでそこまで踏み込んだことは言わないものの
お互いのことを「好き」と言ったり、体を密着させた際に恥ずかしがるなど
相手を友達よりも恋愛対象と認識してるふうに見える描写がいくつも登場します。

しばらく話し、しばらく黙るのを繰り返す流れなのでASMRと共存できてますし
何よりセリフの内容がどれも甘くて聴いてるこっちがムズムズしてきます。
明らかに相思相愛なんだけど最後の一線を踏み出せずにいる感じですね。
付き合いはそれほど長くないそうですが、セリフの端々から絆の強さが自然と伝わってきていい雰囲気ができてます。

シーンに合わせて変化するアンビエントBGM、音と動きの両方にこだわった効果音、そしてイチャラブ成分の強いセリフ。
色んな方向から癒しを注入してくれる総合力の高い作品です。
思いやりに満ちたサービス
前半にあたる水那Partはおよそ34分間。
挨拶などの前置きは省略して髪を切ってるシーンから始まり
一通り終わった後は椅子に座ったまま耳かきに移ります。
水那視点のお話なのでセリフを言うのは彼女だけです。

美容師の卵なだけあってハサミ捌きに不安や緊張は特に見られず
もみあげのあたりをお世話する際は耳に軽い刺激も伝わってきてかなりリアルです。
切るスピードや大きさも目まぐるしく変化しますし、効果音だけでも十分な癒しが得られます。

「うん 可愛い子だった なんか 前から学校とかで見かけたことがあったらしくて ずっと好きだったんだって」
「私も今こんな風に はるちゃんを独り占めできてて 嬉しいな」

そして水那のセリフが散髪に彩りを与えます。
友人に頼まれてその妹と会い交際を迫られたことを話したり、焼きもちを焼く心陽に自分の気持ちを素直に漏らすなど
特別な感情を抱くもの同士だからこそできる踏み込んだ会話が多いです。

前項で書いた通りASMRの側面も持ってるので時間に対するセリフの量は少なめですが
ひとつひとつの濃度が高く、お互いがお互いを思いやってるのがわかります。
傍から見て恥ずかしいと思うセリフを公然と言えるところに仲の良さを感じました。

続く耳かきは綿棒だけを使って右耳→左耳の順にお掃除します。
「ずりっ ぷすっ」という乾いた引っ掛かりのある音が軸を中心にゆっくり回転したり手前と奥を往復します。
両耳合わせて12分程度しかない関係で多少物足りなくも感じますが品質は高めです。

後半の心陽Partは42分間。
水那に誘われて彼女の家に泊まることになった心陽が
一緒のベッドで体を密着させながら羊を数えたり安らかな寝息を立てます。
前のパートの終盤から雨が降り始めたのを受けてほぼずっと雨音がバックで流れ続けます。

「今みたいに抱き合ってる姿想像したりすると なんだか心が温かくなってね でも私だけが水那ちゃんに癒されてばっかりじゃ申し訳ないから 私も何かしてあげたい」
心陽は優しくて純粋な女の子。
色んなことをしてくれた水那に対する感謝の気持ちを自分なりのやり方で伝えます。
水那に求められてちょっぴり戸惑いつつ正面から抱き合う姿や
眠そうな声で羊を1匹ずつゆっくり数えていく姿に水那への思いやりがよく現れてます。

そして一人でも多くの聴き手がそのまま安眠できるように無言の時間が長めに取られてます。
アンビエントBGM、雨音、心陽の吐息や寝息だけが流れる時間はとても静かで落ち着いており
心の通じ合った女の子同士が体を寄せ合って寝るシチュにも癒されます。

終盤には目覚めた心陽が心温まる独り言を漏らしますし
何かひとつの要素ではなく全体で癒そうとする姿勢が見られます。
このように、音楽やセリフで個性を持たせたシンプルなサービスが繰り広げられてます。
百合百合したASMR作品
特別な関係にある女性たちがイチャイチャする様子をリアルに描いた作品です。

水那は以前家庭教師として自分の勉強を教えてくれた心陽の受験勉強を応援しようと
現在腕を磨いてる散髪と簡単な耳かきで頭と耳をスッキリさせます。
そして心陽はその気持ちに報いようと体の温もりと羊数えで水那を安眠に導きます。

シーンによって曲調が変化するアンビエントBGM、サービス中に鳴るリアルな効果音
そして女性同士の恋愛を感じさせるセリフの数々。
音楽や音を大事にしつつ二人の関係も活かしたサービスが味わえます。

アンビエントBGMは言葉で説明しにくい部分があるのであまり細かく書きませんでしたが
最初から最後まで垂れ流すのではなく、二人の会話に合わせて中断や再開を繰り返す凝った演出がされてます。
ピアノやギターを基調にした穏やかなもの、神秘的なもの、多少おどろおどろしいものなどを
効果音とセリフの邪魔にならない音量に抑えて流します。

個人的に最も面白いと感じたのは聴き手の立ち位置です。
百合っぽさをほぼ出してなかった前作とは違って今作はどちらのパートも主人公を女性に設定し
「可愛い」「好き」といった好意を感じる言葉を適度な分量でお互いに投げかけます。
そして聴き手は二人が仲良くする様子を見守る役にまわります。

男性の場合主人公=聴き手にならないので作中のキャラになりきる楽しさは薄くなってますが
彼女たちのやり取りをニヤニヤしながら鑑賞する別の楽しさがあります。
音による癒しも十分得られますし、音声作品としての完成度は高いです。

音楽はもちろん、それ以外の部分にも光るものを持ってる作品です。

CV:水那…七瀬真結さん 心陽…笹原ぽたこさん
総時間 1:16:56

オススメ度
■■■■■■■■■□ 9点


体験版はこちらにあります

追記
2017年10月15日まで3割引の490円で販売されてます。
その場合の点数は10点です。

ぐっすり眠れる耳かきボイスβ

サークル「チームランドセル」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、三途の川の橋渡しをしてるクールな女の子が
偶然迷いこんできた人間にちょっぴりスリリングな耳かきをします。

効果音や環境音に加えてアンビエントBGMを流しながら物語を進めるのが特徴で
ゆったりしたリズムやほのかな寂しさが漂う曲調が声や音とは別方向の癒しを与えてくれます。
涼しさを感じる要素が充実してますから暑い時期ほど気分がスッキリするでしょう。
生と死の狭間にある癒し
死神のユリが耳かきするお話。

「気がついた? 私の名前はユリ この小船で橋渡しをしている」
ユリは無感情に話す可愛い声の女の子。
夢のような世界に佇んでる主人公に声をかけると
彼の記憶が戻るのを待ちながら今の状況やここがどこかを教えます。

本作品は現世とあの世の境界にあたる三途の川を舞台に
彼女が30分程度の時間を使って会話や耳かきをします。
主人公が何らかの事情で死んだなどの重い設定は特にされておらず
作品の個性や非現実感を出すための演出としてこのようにしています。

ちなみに販売ページのジャンルに「百合」が入ってますが
主人公が女性だと断定できる描写は見あたりませんでした。
女性っぽく感じるのは体臭を嗅がれて恥ずかしがるシーンくらいですね。
メインのサービスは耳かきですから男性でも他の作品と同じ感覚で聴けます。

本作品を語る上で絶対に外せない要素はアンビエントBGM
音声の開始から終了までシーンの状況に合った緩やかな音楽が流れ続けます。
催眠音声ではサークルF・A・Sさんが技術と音楽を融合させた作品をいくつも制作されてますが
耳かき音声でこういった要素を取り入れてるものは今のところ非常に少ないです。

ユリの声や他の音を阻害しないレベルの音量に設定されており
シーンの状況や二人の会話の内容に合ったものが流れるので統一感があります。
聴いた感じではミステリー番組で流れそうなひんやりした雰囲気の曲が多かったです。

アンビエントBGM以外の音も全体的にハイレベル。
川に浮かんでる状況を踏まえてバックに緩やかな水音が流れ続け、時々水滴の落ちる音が入り
ユリが体を動かす時には涼やかな鈴の音も鳴ります。

本作品が発売した8月は一年で最も暑い時期ですから、聴き手をぐっすり眠らせるには涼を与えるのが一番です。
単に珍しい設定を用意するだけでなく背景を見据えた素材を用いるところが素晴らしいです。

「万が一 船から落ちたら 命の保障はできない」
耳かきをするユリのキャラも音楽や音と同じ属性を持ってます。
感情をほとんど表に出さず淡々と話し、その中で彼にちょっとしたスリルを与えて反応を観察します。
意地悪に振舞うこともありますが、からかう程度で悪意を感じるほどではありません。
終盤には優しいところも見せてくれますから無感情キャラ、あるいは不器用キャラと呼ぶのが妥当です。

声、音、音楽といった作品を構成するすべての要素が涼しい。
暑い時期に安眠を提供することを強く意識した独特な作品です。
様々な音に包まれながら
ユリと出会い6分程度のやり取りをした後に始まる耳かきはおよそ26分間。
「地獄蜂の毒針」と呼ばれる怪しい器具を綿で包み右耳→左耳の順にお掃除します。
他の器具や息吹きはありません。

毒針耳かきは「ざり ずり」とざらつきのある尖った音が使われており
耳の壁を優しく引っかくようにゆっくり動きます。
音自体は一般的な耳かきとほぼ同じなのでヤバさは薄いです。
動きのペースやストロークも小まめに変化しますし比較的レベルの高い耳かきと言えます。

「もし私の手元が狂って 1cm いえ、3mmでも奥に行ったら…」
ただし、合間に入る彼女との会話はそれなりにスリリングです。
彼が暴れて船から落ちないように体の動きを封じ、耳の中を鋭利な道具でお世話する。
圧倒的に有利な状況を通じて彼女に生殺与奪を握られてることを意識させます。

怪談などを聴いた時によくある背筋が凍る感覚を与えるわけです。
といっても耳かき中は吐息を漏らすほうが圧倒的に多いですから脇役に近い位置づけです。
耳かき中は音重視、それ以外は会話多めとメリハリがあるのも本作品の魅力です。

バックで流れ続けるアンビエントミュージックも癒しに大きく貢献してます。
右耳の手入れを始めた当初はピアノベースのものだったのが
左耳に移ると寂しさや懐かしさを感じるものへ変わります。
また二人が会話するシーンでは無音になって静けさを演出します。

ユリの声、言葉、耳かき音、川の音、吐息、音楽。
様々な音に包まれ続けるひと時はとても心地よく、後になるほど心が落ち着いたりスッキリするのを感じます。
このように、ASMR系でありながらキャラも立ってる質の高い耳かきが繰り広げられてます。
ひんやりした作品
暑さや気だるさをある程度吹き飛ばしてくれる作品です。

何らかの事情で三途の川に飛ばされた人間を見つけた死神の女の子が
軽いスリルを与えながらなんだかんだで彼の耳を綺麗にしてあげます。

うるささを感じないレベルで流れ続けるアンビエントBGM、耳かきを彩る様々な音
そして基本的にはSだけど一部でデレる彼女のキャラ。
耳かき音声の要所をしっかり押さえ、それ以外は定番のものをできるだけ避けてお世話します。

中でもアンビエントBGMは環境音とは違った方向の癒しを与えてくれます。
耳かきを決して邪魔しない程度の存在感に留めてあるのが素晴らしいですね。
これによって二人の会話や耳かきといったメインコンテンツが上手く引き立ってます。

耳かきは他の部分を頑張ってるからというのもあるのでしょうけどとてもシンプルです。
でも音質や動かし方が優れてるので単調に感じることはありません。
他の要素とのバランスも取れていて完成度が高いです。

「私はいつでもあなたを待っている でも ここに来るたび あなたの心を蝕んでいく」
ユリについては死神っぽさをできるだけ崩さない形で彼に接します。
声や表情には出しませんが彼女も彼と過ごすこのひと時に安らぎ感じてるように映りました。
クールでありながらそこはかとない温もりも感じる不思議な女性です。

ひんやりした雰囲気漂う個性的な作品です。

CV:七瀬真結さん
総時間 35:05(BGMなしのバージョンもあります)

オススメ度
■■■■■■■■□□ 8点


体験版はこちらにあります

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