へっぽこ術師の催眠音声さんで配布されている、無料の催眠音声作品。
無料作品の配布以外にも、催眠に関する理論の掲載をされています。

本作品はタイトルにある現代催眠を使用しているのが最大の特徴です。

現代催眠はミルトン・エリクソンという
つい30年ほど前まで生きていた方が創始した方法で
催眠としてよくある「あなたはだんだん眠くなる」などの押し付けるようなタイプではなく
「あなたは眠くなってもいいし、眠くならなくてもいい」のように
表現を婉曲にして、ある程度相手の自由にさせるスタンスが採られています。

こうすることで聴き手が術者の声を受け入れやすくなり
結果的に催眠にかかりやすくなる、らしいです。
(あくまでネットの受け売りです。私自身はわざと催眠を勉強しないようにしています。)



聴き手はお姉さんの声を聴くだけ
お姉さんのお話を聴きながら、催眠に入っていくお話。

「これから あなたがとても気持ちのいい状態になる お手伝いをさせていただきます」
お姉さんはちょっぴり気の抜けた、柔らかい声の女性。
詳しい経緯については触れられていませんが
主人公を気持ちよくするために色々な事を話してくれます。

現代催眠は術者が雑談をするような形で進められるため
基本的に聴き手は彼女の話を聴くだけで、他にすることはあまりありません。

「ゆっくりと深呼吸をしてください」とか
「右手が重くなるのをイメージしてください」などの指示がありませんから
本当に彼女の声だけに集中することができるでしょう。

「じっと聴いてもらってもいいですし 聴き流してもらってもいいですよ」
また、お姉さんは断定的な言葉を使わずに
「~してもいい」「~かもしれない」と、婉曲な表現を用いることで
聴き手に選択の自由を与えてくれます。


「~しなさい」と言われると「そうしないといけないな」とか「できなかったらどうしよう」と
やや後ろ向きな感情が生まれてくる方がいるかもしれません。
でも「~してもいいし、しなくてもいい」と言われれば
「じゃあこうしてみるか」と、少なくとも言葉に固執する事態は回避できます。

そうやって心を慣らしていくことで、少しずつ催眠状態に持っていく。
現在世に出ている作品の多くが古典的な手法を採用しているため
このようなタイプの催眠はおそらく新鮮に感じることでしょう。



お姉さんの言葉の中から、ピンとくる単語を釣り上げる
最初の23分くらいまでは、エッチな要素ほぼ抜きで
意識と無意識に関することや、催眠状態とは何なのかを話してくれます。

「意識と無意識は紙一重であり 自然と 意識から無意識へ
無意識から意識へと 移ることができます」

上のセリフのような、やや専門的に感じる内容も登場します。
ただ初心者にもわかりやすいように、きちんと具体例を挙げて説明してくれますから
頭が痛くなることはさすがに無いでしょう。
もし痛くなりそうに感じたら聞き流せばいい、それだけです。

ここでは「お姉さんが言葉に出すことで、初めて意識する」そんな感覚を味わえます。
例えば、自分の利き足に意識を向けるシーンがあるのですが
彼女に「利き足が重くなっているかもしれないし、逆の足がそうかもしれない」と言われて
私の右足(利き足)が本当に重く感じたのを覚えています。

「言われてそうなった」ではなく「言われたらそうなっていた」
この古典催眠とはまったく逆の視点は、現代催眠ならではなのかもしれません。

「あなたが一番 興奮するエッチは どんなものでしょう?」
終盤の9分間はエッチな要素が登場するようになります。
ただ一般的な作品とはまったく違い
エッチをする相手のタイプ、服装、プレイなどを箇条書きにするように言葉にして
聴き手がその中から琴線に振れるものをイメージする、そんな感じです。

「舌と舌を絡み合わせてのキス 目と目を見つめ合いながらのフェラ
豊満な胸でパイズリ ニーソックス越しの足コキ 顔面騎乗
顔射 ごっくん アナルファック 中出し」

このように、かなりのバリエーションをお姉さんが言ってくれますから
自分の好きなものを意識してみましょう。
そうすることで興奮が生まれてきます。

「あなたが あなたの好きなペースで あなたの好きなやり方で 何度でもどこまでも
あなたが一番興奮するプレイを 想像してみて」

ここでもお姉さんは断定を避け、聴き手の自由に任せます。

これといった指示はありませんので、基本的にはドライというか
気持ちの良い気分に浸るのが目的なのでしょうけど
別にオナニーして射精するのも私はいいと思います。
ただエロ要素はかなり少ないため、本当に想像力次第になります。

このように、どちらかというと精神の充実を目指す形で作られています。



意識することの大切さを教えてくれる作品
30分強とやや短い作品ながら、非常に面白い体験をさせていただきました。

前々から聴くだけのタイプの作品にも触れてはいましたが
それが一体どういうものかを知ることができたような気がします。
色々と勉強になったし、考えさせられた作品です。

その中でも一番は「意識することの大切さ」でしょうか。
普段何とも思っていないことも、意識すると見方ががらりと変わってくる。
当たり前のことなのかもしれませんけど、私には新鮮に感じました。

婉曲な表現についての好みは人それぞれでしょう。
被暗示性の高い方などは、指示される方がやりやすいだろうし
逆に催眠にかかれず悩んでいる方には、いい刺激になるかもしれません。

私の場合は頭の方はすっきりしたままで、体だけが重たくなりました。
人によってそれなりにかかり方も違う作品なのかも。

こういうタイプの作品はもっと聴いてみたいですね。

CV:誠樹ふぁんさん
総時間 36:52

へっぽこ術師の催眠音声
http://hypno.meganecco.net/
(ページ中ほど「現代催眠風」からダウンロードできます)