2020年を振り返って(同人音声編) その1」では下半期に出た同人音声のランキングを紹介しました。
ここでは今年目立つ活躍をされたサークルさんを新規さん中心で紹介します。
今回は4つ選ばせていただきました(敬称略)。
2020年注目のサークル

アンスリウム(2019年11月に処女作を発売)
寂しがりやのうさぎさんが可愛すぎてお布団から出られなくなる音声

癒しや純愛といったノーマル向けの作品を得意とされてるサークルさん。
活動初期は非エロ重視でエロは弱めの作風だったのが
現在はバランス型やエロ寄りの作品も制作されてて幅が随分広がりました。
キャラ作りにとても力を入れる傾向があり、どの作品も魅力的な女性に描かれてます。

えるしすラバー♪(2020年7月に処女作を発売)
贅沢オナニーサポート風俗店~ドスケベなお姉さんに自分をオカズとして差し出しオナ指示して頂く~

オナサポなどM向けの作品を中心に制作されてるサークルさん。
3作品とまだ少なめですが現時点で自分の色を十分出せており
激戦が続く音声業界の中でどれも1300DL超えとかなりの実績を残されてます。

セツナシロップ(2020年8月に処女作を発売)
キミの乳首、イジめてあげる ~M性感のお姉さん編~

えるしすラバー♪さんとほぼ同時期に活動を開始されたM向けのサークルさん。
現在出てる3作品がどれも乳首責めや乳首オナニーをテーマにしており
相手を務める女性によってそのやり方を変えてキャラも引き立たせてます。
乳首は同人音声だと人気の高いジャンルですから、今後も制作を続ければ比較的安定した実績が期待できます。

青春×フェティシズム(2020年7月に処女作を発売)
超囁き!~えちえち清楚JK 二条由乃と電車の中で~【バイノーラル録音】

下半期ランキングの10位にも出てきた新進気鋭のサークルさん。
囁き、あまあまといったノーマル向けで人気のある要素を中心にした作品をいくつも出しており
活動開始からおよそ5か月とは思えないほど華々しい実績を残されてます。
反響の大きい作品をシリーズ化する手堅い運営をしてるので来年も安定した活躍が見込めます。
新作増加を後押ししたふたつの要素
最後は同人音声側における今年の大きな特徴や来年に関することを簡単に話します。

豊作、不作を語る前に今年はとにかく荒れてました。
昨年には見られなかったことが色々と起きて良い意味でも悪い意味でも賑やかな1年でした。
将来同人音声の歴史を語ることになったら2020年は決して外せない年だと思います。

私のほうで確認したところ、この記事を書いてる時点で今年発売された音声作品は3873本。
昨年は同じ条件で2909本だったのでおよそ33%増えたことになります。
たった1年でここまで増えるのははっきり言って異常です。

こうなった背景は色々あるのですが簡単に予測できるところだと
新規参入したサークルさん(個人と企業両方)が結構いらっしゃったことと
英語や中国語といった外国語の作品が増えてきたことが影響してます。

前者は音声業界の活況ぶりを見てお金になると判断したのか
エロゲを制作してる企業がそのスピンオフ作品を出したり
アニメで活躍してる有名声優さんを起用した作品が数多く出ました。
あとは個人勢や企業勢のVTuberもそれなりの数を見かけてます。

R-15やR-18はほとんど変わってないですけど
全年齢向けはこれの影響をモロに受けて勢力図が大きく変わりました。
人気と知名度の高い声優さんが出演してる作品にファンが食いつくのは当然のことです。
私もいくつか聴いてみたところ確かに声や演技は優れてました。

ただし、シナリオや音の品質は以前から活動されてるサークルさんのほうが間違いなく上です。
そのため有名声優さんに頼り切ってたら企業勢はじり貧になると見てます。
同人声優さんもキャリアのある人は十分な実力を持ってるのでアニメ声優に負けてるとは思いません。
演技の方向性に多少の違いが見られるだけでどちらも違った良さがあります。

今年は真新しさやインパクトの強さで企業が押してましたけど
来年以降もこの勢いを維持できるかどうかは未知数です。
一時的な流行で終わるか、それとも定着できるかが楽しみであり不安でもあります。

VTuberについてはここ数ヶ月で何本か聴いてみた限りではまだ発展途上と判断してます。
周防パトラさんみたいに現時点でかなりのレベルに達してる方もいらっしゃいますが
全体を見ればごく僅かでまだ作風を模索してる方のほうが多いです。
VTuber自体が新興勢力ですし、とりあえず3年ほど観察してから改めて分析しようと思ってます。

後者は日本語で売れた作品を外国語に翻訳したバージョンや
海外の作者さんがDLsiteに音声を売り出してるのをよく見かけました。
どちらも日本人ユーザーにとってはほぼ無関係なものなので
検索フィルタを設けるなど日本語の作品と簡単に分けられるシステムが欲しいところです。
ウィンターセールのページにはあるのに通常の検索ではなぜかないんですよね…。

以上を踏まえて今年は昨年と同じくらいの取れ高だったと判断してます。
新作数が大幅に増えてる一方で品質の平均値が下がったからです。
破滅は回避したがまだ不安は残る
作品数の急激な増加以外に見られた特徴はふたつ。
クーポン戦争さらなる長時間化です。

クーポンは昨年末の記事でも話題に挙げてたのが危惧した通りになりました。
新作の時点で通常の割引が30%OFF、さらにクーポンで50%OFFと投げ売りしてる作品がいくつもありました。
大手さんはまだしも新規のサークルさんが同様のことをやられてたのに驚いてます。

またDLsiteではサークルさんの取り分が定価に応じて決まってたらしく
意図的に高い価格を設定し、それを割引とクーポンで大幅に下げることで
同じ値段でそのまま売るよりも多くお金を得るということがされてたそうです。
これについては確か10月頃に変更されて今は実売価格で決まるようになりました。

クーポンのほうもDLsiteがさすがにやり過ぎたと判断したようで
同じく10月頃から大幅に割引されるものを配布するケースが一気に減りました。
あの状態を続けてたら業界が確実に衰退したでしょうから良い判断だと思います。
同人の世界で大手や資金力のある人しか生き残れないシステムにするのはさすがにまずいです。

DLsiteが定期的に配布してる全作品を対象にしたクーポンも
過度に渡すようなことさえしなければ購買意欲を高めるいい触媒になります。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」なんて言葉があるように
今後も上手くバランスを取ってくれることを願ってます。

さらなる長時間化については当サイトでも2017年から話題にしてまして
ここ3年で大手サークルさんをはじめ平均時間がさらに延びてます。
今では2時間くらいの作品が当たり前のように出てますし
3時間や4時間、もっと長いものもコンスタントに販売されてます。

作品ごとの時間が長くなるのはユーザー視点だと歓迎できる要素なのでしょうけど
価格がそれほど上がってないところを見るとサークルさんにとっては厳しいのだと思います。
「以前に比べて制作費が随分上がってる」なんて話も聞きますし
今後に向けた不安材料になるんじゃないかと考えてます。

私が長時間化に危機感を覚えてる理由があとひとつあるのですが
これについてはすいませんがもうしばらく様子を見てから改めて話すか決めます。


ここまでを読んでいただければわかるように
今年は良い話題とそうでない話題が両方それなりにありました。
だから最初に「とにかく荒れてた」と書いたわけです。
でも音声業界は当サイトが開設された2013年よりも確実に大きくなってます。
私個人も音声が相変わらず好きなので、来年も自分なりのやり方で応援していくつもりです。

以上をもって同人音声側の総括とさせていただきます。
来年もより多くの良作に出会えることを心より願っております。