サークル「桃色CODE」さんの同人音声作品(R-15指定)。

今回紹介する作品は、良い意味で店員っぽくないマイペースな女の子が
遠路はるばるやって来たお客を3つの手段でもてなします。

夏らしさを出しながら音と会話で癒すのが特徴で
セミの声、スイカを食べる音、怪談など両方に季節感を持たせ
シーンごとに異なるサービスをしながら何気ない会話も挟んで緩い雰囲気を作ります。
暑い季節に田舎でのんびり
道草屋の店員「稲」と「芹」が昼間から夜にかけてサービスするお話。

「はーい はいはいはい いらっしゃいませ お待ちしておりました」
芹は明るくて上品な声の女性。
とある夏の日、道草屋を訪れた主人公を急いで迎えると
部屋へ案内しながら軽く世間話します。

本作品は店員よりも友達っぽい態度と距離感で接してくる稲が
道草屋の店主にあたる芹と協力しておよそ180分の癒しを提供します。
「何でもない日の夏休み」「芹さんの納涼怪談」「稲さんと耳そうじ」と全編を大きく3つのシーンに分け
それぞれで時間帯とメインのサービスを切り替えながらリアルな音をたっぷり鳴らします。

道草屋シリーズではタイトルに名前がついてるキャラがメインヒロインを務めますけど
今回は珍しく稲の登場シーンを多くしたうえで芹にも活躍の場を与えてます。
具体的には2番目の怪談は芹が語り手を担当し、稲は彼と一緒にそれを聞く側にまわります。
また最初のシーンでも来店時の挨拶や飲食物の配膳は芹がやってます。

前作「道草屋-夏の日。」に入ってるテキストでサークルさんが
「次回は稲か芹」とおっしゃってましたから今作でそれを融合させたのだと思います。
芹が得意にしてる怪談は夏にやるのが一番なのでこういう形になったのでしょう。

稲「バス停の看板 お店の前に置いてくれませんかねー 汗だく」
今作の稲も今まで通りマイペース。
彼が来店した時は入浴中だったことを告げて応対できなかったことを謝り
それから横着なことを言って場を和ませます。
縁側で2人一緒にトウモロコシを食べたり、終盤の耳かきは添い寝でやるなど
道草屋の他の店員よりも砕けた態度で接することが多いです。

サービスについては足水を楽しみながらのASMR、怪談、耳かきと
セリフや音のバランスを状況によって変えながら両者を高い水準でお届けします。
音は以前から優れてるので抜群に癒されますし、セリフも稲とするのほほんとした会話と
芹のちょっぴりスリルを与えるお話がギャップを生み出してます。

全編を通じてセリフを区切りながらゆっくりのんびり話すおかげで
効果音や環境音を聴きやすく上手い形で共存できてます。
セミの声やスイカを食べる音など夏らしさを感じる要素もありますし
他の道草屋シリーズと同じく隙のない作品に仕上がってます。
ゆっくり時間が流れていくサービス
最初の「何でもない日の夏休み(約44分)」は午後あたりのお話。
道草屋に到着した主人公を芹が迎えて案内し、5分くらい後で稲に代わって縁側で寛ぎます。

「ここ 人差し指と 親指の付け根を押すんですよ んっ」
「さっきもいできたんですよ これ モロコシは鮮度が命ですからね」

暑い夏を乗り切るために彼へ汗が収まるツボを教えたり
つい先ほど収穫してきたトウモロコシを振る舞うなど
このシーンは稲の魅力を引き出すことに力を入れてます。
彼女の実家は農家ですから農作物に関する知識は深そうです。

やることは桶に入った水に足を浸しながらしゃべったり食べるだけなんですけど
キャラを活かした会話とリアルで多彩な音のおかげできちんとサービスになってます。
トウモロコシとスイカで食べる音がきちんと違うところにこだわりを感じました。
主人公が食べる時は軽い振動も加わって実際に食べてる感覚に近いです。

またシーンの後半からはASMR色が強くなります。
セミの声、麦茶のグラスに入った氷がぶつかる音、飲食する時の咀嚼音
そして漫画を読んでる時に鳴るページをめくる音と日常に関するものばかりで和みます。

続く「芹さんの納涼怪談(約73分)」は芹が活躍するシーン。
その日の夜、稲と一緒に別の部屋へ案内されて3つのお話を楽しみます。

芹「お客様 もう何度かこのあたりはいらしてますよね? でしたら1度くらいはお聞きになってるかもしれませんが 大井さんってご存じですか?」
大井さん、子供の頃の視点、一人隠れんぼとテーマを変えながら
普段よりも抑えた声でゆっくり丁寧に語ります。
内容をバラしたらつまらないでしょうからここでは伏せますけど
ものすごく怖いタイプのお話ではなく、多少そわそわするあたりに調整されてました。

この中で一番怖いのは一人隠れんぼでしょうね。
音声ならではの演出で物語に臨場感を与えてます。
ちなみにここでは同じく道草屋で働いてる「いのこ」と「はこべら」も登場してるようですが
完全な裏方に回ってるため普通に話すことはありません。

最後の「稲さんと耳そうじ(約69分)」は寝る前にする耳かき。
部屋に戻って最初のシーンとは違うツボを押したり甘噛みを挟んでから
左耳→右耳の順に耳かき棒と消毒液つきの綿棒で綺麗にします。
ファイル名は右耳→左耳になってますけど音声は順番が逆でした。

「もう旦那さんくらいにしか(甘噛み)しないんで やり方忘れますねぇ」
もうシリーズ4作目ということで2人は友達に近い仲になってます。
だから彼女のほうから彼の上に乗って耳を舐めるちょっぴり大胆なシーンも登場します。
上のセリフも彼女なりに信頼の気持ちを表してるのでしょう。
彼にしかやらないのなら彼専用の特別サービスになります。

本題の耳かきはおよそ34分かけてゆっくり丁寧にやります。
膝枕ではなく彼女も一緒に横になってする独自のスタイルを取り
耳かきは「ずすっ」という細くて乾いた音、綿棒は耳かき棒よりも広くて柔らかい音を鳴らします。
取れた耳垢をティッシュで処理するような音も入ってたりと
実況のセリフはほとんど挟まずに音だけでサービスの一部始終を表現します。

最中の会話も量が少なく、する時も他愛のない話題が中心になってます。
彼がもう眠そうになってるからそれを妨げない耳かきを心がけてました。
控えめな音量で鳴る虫の声も相まって静かで落ち着いたひと時が味わえます。

このように、癒しながら夏の中にある涼も提供する高品質なサービスが繰り広げられてます。
夏らしさで癒す作品
キャラ、セリフ、音、サービスを違和感なく共存させてる総合力の高い作品です。

稲と芹は暑い中わざわざ道草屋までやって来た主人公を満足させようと
まずは足水やスイカといった涼しいもので火照った体を冷まします。
そして夜は怪談で背筋をゾクゾクさせ、最後に耳かきでホッとさせます。

のんびりした性格の店員が店主と協力して癒す普段とはやや違う展開
様々な要素を組み合わせて夏らしさを演出する季節感のある作り
これらの最中に鳴るリアルで優しい音の数々。
サークルさんがこれまで培ってきたものを総動員して物語を作り上げてます。

中でも1番目は既存のルールを多少破ってて意外でした。
でも稲がお世話するシーンが一番長いのは確かですし
彼女らしい会話とサービスも色々あって雰囲気はきっちりできてます。
彼女と一緒に怪談を楽しむのも2人をできるだけ同じ立場に置きたかったからなのかなと。

あとは過去作に引き続き音が大変優れてます。
同じセミでも複数の鳴き声が混ざってますし、普段より大きく聞こえるシーンもあります。
花火みたいに派手な音はありませんが、素朴な音をいくつも組み合わせて深みを出してました。

以上を踏まえてサークルさんでは25本目の満点とさせていただきました。

CV:稲…真宮ひいろさん 芹…雁庵うずめさん いのこ…箱河ノアさん はこべら…琴香さん
総時間 3:04:21

オススメ度
■■■■■■■■■■ 10点


体験版はこちらにあります