ホワイトブレス‐眠れぬ羊と催眠喫茶の羊飼い‐

サークル「MayThird」さんの同人/催眠音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、不思議な喫茶店を経営してる純朴なお姉さんが
そこへやって来たお客に物語をしてから安眠へと導きます。

一般的な催眠音声よりも催眠の割合を減らした緩い作りが魅力で
最初の3パートは物語をしながら軽い暗示を入れてリラックスさせ
最後に通常の催眠と同じ手法で深化してから羊をたっぷり数えます。
音楽と物語に耳を傾けながら
喫茶店ホワイトブレスの店長「冬野真白」の物語を聞いて眠りにつくお話。

「いらっしゃい どうぞ こちらのカウンター席にお座りください」
真白は明るくて澄んだ声のお姉さん。
来店した主人公に生憎メニューを切らしてることを告げると
閉店の準備をしてからその代わりにお話でもてなします。

本作品は喫茶店の元常連客で今は店長をやってる彼女が
ここを訪れた彼に100分程度の癒しのサービスを提供します。
場所が場所なので耳かきやマッサージといったお馴染みのことはやらず
3つの物語と羊数えで眠らせるセリフを重視した内容です。

「お友達とか 家族と話してるような感覚でいてください ここは そういう喫茶店なんですから」
ほぼ全編で気持ちが落ち着く音楽を流し続けたり
喫茶店や彼女自身のことをゆっくりのんびり語るなど
聴き手が居心地の良さを感じる要素を色々盛り込み癒しの空間を作り上げます。
音楽はシーンによって曲が変わるので、それらを聴いてるだけでも自然と心が緩みます。
体験版を聴けばわかるように割とおしゃれな印象です。

この作品を「同人/催眠音声」と表現した理由は
一般的な催眠音声に比べて催眠の割合がかなり下がってるからです。
彼女が本気で催眠をかけるのは最終パートの「05_眠れぬ羊と催眠喫茶の羊飼い」のみで
それ以外の4パートは普通に語りかけるのに近いセリフ表現になってます。


「だんだんと 足が重くなってきて 意識も少しぼーっとし始めちゃって」
ただし、物語の途中で暗示っぽいセリフもちょこちょこ混じってることから
まったく催眠じゃないと言う気はありません。
音や会話で癒しつつ、これらのセリフで臨場感を上げる工夫がされてます。

3つの物語自体が催眠における深呼吸や脱力といったリラックスの効果を持ってますし
全体で見れば割と催眠音声なんじゃないかと私は考えてます。
物語も結構面白いので精神的に疲れてる人ほど心が軽くなるのを実感できるでしょう。

音楽を流しながら癒しの物語をする展開と最後に催眠をかける変わった作り。
ガチで催眠をかけるよりも眠らせることを重視したゆるーい作品です。
心を洗い流す素朴な物語
冒頭に8分ほど会話をした後から始まる3パート56分間は物語をするシーン。
「02_音泥棒とお爺さんの古時計」は大きな時計がある屋敷に住むお爺さんの話
「03_白昼夢と遠い記憶」は真白が過去に体験した白昼夢に関する話
「04_ホワイトブレス」は彼女がホワイトブレスにやって来て店長になるまでの経緯を語ります。
詳しい内容を書くとつまらないでしょうから、ここではそれぞれが持つ特徴に的を絞って説明します。

「チク タク チク タク 心臓が鼓動するように 時計が動いています」
古時計の物語はこの中で最もメルヘンチックな内容です。
喫茶店の時とは違う音楽を流しながら一部で時計の振り子が動く音もします。
催眠音声だとメトロノームがよく使われてますけど
音を単調なペースで鳴らし続ければ人は自然と催眠状態に入ります。
暗示に該当するセリフをほとんど使わない代わりに音で心地よくする意図が見られます。

「浮かんでは消えて ゆらゆらと 揺らめいてる」
「私は懐かしさと安堵で 力が抜けちゃいました」

続く白昼夢の物語は彼女の実体験に基づいてるので
彼女がその時どう思い、感じたのかを割と丁寧に描いてます。
上のセリフは主語を隠してるおかげで聴き手が自分のこととして捉えやすいです。
そしてこれらを通じてこの喫茶店の日常や人気の秘密も少しずつ明らかになります。

「何にも考えないで ゆっくりと流れる時間を感じる 心地いい店内のBGMを聞きながら 頭の中を色んな音で満たすんです」
3番目のホワイトブレスは物語と言うよりは彼女の心情を語るパート。
大学生として無難な日常を送ってたところで偶然巡り合い
常連客→店の手伝い→店員→店長と変化する様子を丁寧に教えてくれます。

白昼夢の時以上に彼女の内面を重視してるおかげで
より彼女に近い視点でお話を聴くことができます。
相手のことを知ればそのぶん催眠にもかかりやすくなるわけで
最終パートですんなり眠れるようにするための布石なんじゃないかと私は考えてます。

「05_眠れぬ羊と催眠喫茶の羊飼い」はお待ちかねの催眠&安眠パート(約37分)。
目を瞑ってから振り子のイメージをしたり体をパーツごとに脱力して心身をさらにリラックスさせ
それから彼女の羊数えを聞きながら眠りにつきます。

「体から 力が抜けて すーっと 意識が落ちていく」
催眠をかける時間はおよそ14分と短めで
「意識が落ちる」「力が抜ける」といった暗示を組み合わせてゆっくり落とします。
物語を聴き終えた時点でかなりリラックスできてるでしょうから
このシーンで意識のぼやけがさらに強くなったり手足が重くなる人がきっといると思います。
普段よりもスローペースな音楽もそれを上手に後押ししてます。

羊数えは20分以上をかけて「羊が1匹、羊が2匹」と順に数えていきます。
途中で他のセリフを挟むこともありますが、他愛もない話題で聞き流しても問題ありません。
ひとつひとつの間を長めに取って頭を空っぽにできる空気を作ってました。
催眠抜きでも安眠効果のあるサービスですから催眠を加えれば当然その効果も増します。

作品を聴いた感想ですが、物語を聴き始めた直後は「これ本当に催眠音声なのか?」と疑ってました。
でも白昼夢のお話に入ったあたりから催眠に関係する要素が出てきて認識が随分変わりました。
物語の中に技術を込める現代催眠式の誘導ではなく
最後の催眠パートをスムーズにこなすための準備として物語を活用します。


前者の使い方だったらガチの催眠音声と考えられますけど
そうじゃないから当サイトでは同人と催眠のハイブリッドに分類しました。

このように、純粋な癒しと催眠による癒しを組み合わせた独特なサービスが繰り広げられてます。
安眠できる作品
催眠とそうでない部分を上手く組み合わせてる作品です。

真白はホワイトブレスに来てくれた主人公に癒しと安眠を提供しようと
まずは3つの物語を通じてお店のことや自分自身のことを教えてリラックスさせます。
そして最後に軽い催眠をかけてから羊を数えてゆっくり眠らせます。

飲み物ではなく眠りを与える喫茶店で店長の話を聴く癒しに満ちたシチュ
音楽を流しながら3つのお話を順にしていく物語パート
心身のリラックスをさらに強化してから時間をかけて羊を数える最終パート。
同人音声と催眠音声の要素を共存させてひとつのお話を作り上げてます。

中でも2番目は物語としての純粋な面白さがあるのに加えて
3つのうち2つの主人公を彼女にすることでリラックスの暗示を入れやすくしてます。
彼女が自分の体験や感覚を伝えるのは至って自然なことですからね。
音楽もバリエーションが豊富で物語の内容に合ってました。

催眠についてはこれまで話してきたように脇役っぽい位置づけです。
全編に対する時間が短めですし、内容も古典催眠に属する基本的な技術を使ってます。
でも最終目的にあたる安眠をサポートする役割は十分果たしてると思います。
催眠をがっつりかけてもらう作品ではないことを理解して聴くなら楽しめるんじゃないかなと。

以上を踏まえて今回はこちらの点数とさせていただきました。

CV:浪実みおさん
総時間 1:42:35

オススメ度
■■■■■■■□□□ 7点


体験版はこちらにあります

追記
2020年2月3日まで90%OFFの77円で販売されてます。
その場合の点数は8点です。