ひなちゃんのすっきりコースーヒーリングサロンシエルー

サークル「Crescendo」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、のほほんとしてるけど腕は確かな店員さんが
常連客に4種類のサービスをして頭、手、耳を癒します。

リアルかつ多彩な音を鳴らしながら色んな会話をするバランスの良さが魅力で
サービスはもちろん、それ以外の細かな動作にも専用の音を用意し
店員と友達の中間あたりの距離感であれこれ話しかけて心の中もケアします。
常連客への温かいサービス
ヒーリングサロン シエルの店員「黒瀬ひな」からサービスを受けるお話。

「まぁまぁ店長 予約できない時もありますよ」
ひなは甘く可愛い声の女の子。
来店後にお気に入りの店員「朝霧代菜」が外出中なことを聞いた主人公に声をかけると
自分が代わりにサービスすると志願し、まずはコースを決めてもらいます。

本作品はサークルさんの人気シリーズ第四弾。
予約を取ってないせいで代菜を指名できなかった彼を癒やすために
彼女が2時間近くに渡って合計4種類のサービスをします。
ヘッドマッサージ、ハンドケア、シャンプー&トリートメント、耳かきとパートごとに異なるものを用意し
その多くを主に音で表現するASMR(音フェチ)系の作りになってます。

Crescendoさんは有料での活動は間もなく1年になる新しいサークルさんですが
効果音の質感や使い方に関しては大手に並ぶものを既に持ってます。
メインのサービスはもちろん、細かな動作に至るまで専用の音が入ってますから
音声を聴いてるだけでお店にいるような感覚が自然と湧いてきます。

本作品のタイトルを見て2018年6月に発売された
ヒーリングサロンシエルーすっきりコースー」を思い出す人もいるでしょう。
確かに両者は同じコース名で大筋の流れも一緒です。
しかし代菜からひなに担当者が変わったこと以外にも様々な違いが見られます。

「ん? 何の音だろう? プログラムは あ、温泉か」
まずコースを決めて部屋に移動した直後から流れ始める環境音が
波の音ではなく温泉の湧き出す音になってます。
ごぽごぽ、ぶくぶくという涼やかな音がコース名の「すっきり」にマッチしており
純粋な癒しに加えて現実世界の雑音をかき消す効果ももたらします。

サービスについてもシャンプーのついでにやってた手のケアを独立させたり
炭酸の使い方や耳かきで使用する器具を別のものにするなど
あちらを既に聴いてる人でも満足できるように様々な工夫がされてます。
ASMR作品が好きな人ならもうその時点で満足できると言い切れるくらいに優れてます。

「なんだか 生クリームをデコレーションしてるみたいで 名前も美味しそうです あ、食べたりはしませんので ご安心くださいね」
これらを行うひなのキャラも大きな魅力。
プロらしい流れるような手つきでお世話しながらのほほんとした声と口調で語りかけます。
主人公がお店の常連客ということで堅苦しいやり取りは排除し
何をするか、してるか説明しながら時折ちょっぴり間の抜けたことを話します。

作中で彼女自身も言ってるのですが、今回のサービスは単に体を綺麗にするだけでなく
心を温めたりリフレッシュさせることも見据えて行います。
そんな状況で堅苦しく接したらおかしいですから彼女もできるだけフレンドリーな態度を取ります。
サービスの種類が多彩なのでASMR作品にしては会話量が多めです。

リアルでバリエーション豊富な音と彼女の愛らしいキャラ。
音声作品を構成する「音」と「声」の両方から癒やす完成度の高い作品です。
専門店らしい心の行き届いたサービス
2人が施術室に移動した直後にする最初のサービスはヘッドマッサージ(約21分)。
専用の椅子に座った主人公の髪を前半は櫛でとかしてからオイルを塗り込み
後半は炭酸をムース状にして頭部全体にまぶし頭皮の汚れを落とします。

そして本作品の醍醐味であるリアルな音が早速活躍します。
オイルで揉む時は「しゅくっ」というややざらつきのある摩擦音が位置と動きを小まめに変え
後になるほど徐々に力を入れていき、それに合わせて音の粗さが若干変化します。

また炭酸を使う時はよくあるしゅわしゅわ、パチパチした音ではなく
シャンプーの泡を頭に乗せていくような柔らかい音が鳴ります。
炭酸をこういうふうに使ってる作品を私は初めて聴きました。
バックで流れ続ける温泉の音も相まってこのパートだけでもかなり癒やされます。

「どうでしょう? 私の手がこうして触れているところから ぽかぽか温かくなってきませんか?」
最中の会話はイメージ力を高める実況のセリフに
彼を気遣ったり彼女の趣味であるお菓子作りの話を交えて和やかさを出します。
あまり話しすぎると音の良さが活かせないだろうということで
セリフごとの間隔を長めに取って両方をバランスよく楽しめるようにしてました。

続く「ネイルケア・ハンドマッサージ」は手に的を絞ったサービス(約22分)。
左手→右手の順にお湯で浸して爪を柔らかくしてから爪切りで短くし
さらにエメリーボードと呼ばれるヤスリをかけて形を整えます。
そして後半はクレイを手に塗り込んで全体の汚れや疲れを取り除きます。

「私 一人でいるのが苦手で こうやって仕事で 人と触れ合えるのが すごく幸せなんです」
パチンパチンとリズミカルに鳴る爪切り、ぞりぞりと素早く往復させるエメリーボード
若干ざらざらした水音をゆっくり鳴らすクレイマッサージと
シーンごとにまったく違う音を用意し、それらを組み合わせてお世話の様子をわかりやすく表現します。
これらを楽しそうに行う彼女の表情にも多くの人が癒しを感じるでしょう。

最も長いパートは最後の耳かき(約29分)。
シャンプーやトリートメントで今度は髪を綺麗にした後
座ってる彼の周りを彼女が移動するスタイルで左耳→右耳の順にお掃除します。

「たびたび道具が違うのは お客様に合わせた耳かきをしているからなんです」
彼の耳の中がそこまで汚れてないことを考慮して
最初は粘着効果のある綿棒を使って耳垢を丁寧に取り除き
それから普通の綿棒に切り替えて穴の中全体をマッサージします。
そして最後は梵天と息吹きで細かい汚れを掻き出します。

同じ綿棒でも粘着と通常では音の質感に大きな違いがあって面白いです。
器具によって動きやリズムもちゃんと変わりますし、お客の目線に立った良質な耳かきと言えます。
彼がうとうとしてたからか、他のパートよりもセリフを少なめにしてあって静けさも感じました。

このように、作品が持つ良い部分をそのまま活用したきめ細かいサービスが繰り広げられてます。
すっきりする作品
心の内側から浄化してくれる大変優れた作品です。

ひなは代菜目当てで来店した主人公を満足させようと
店員と友達の中間くらいの距離感で接しながらコースに合った様々なサービスをします。
そしてその様子を効果音で表現しつつ、合間合間に彼女の会話を挟んで体の外と内から温めます。

専門店の店員がじっくり時間をかけて頭、手、耳を個別にケアする癒されるシチュ
最高クラスの音をふんだんに盛り込み的確なお世話をする音フェチ系のサービス
実況を交えながら時折ちょっぴり間の抜けたことを話す彼女ののほほんとしたキャラ。
ASMRでありながらキャラにも十分に光を当てた作品に仕上げてます。

中でも音は現在活動されてるサークルさんの中でも確実に上位に位置する品質を持ってます。
質感、位置、距離、リズム、タイミングなどあらゆる部分が練りに練られていてため息が出ました。
ここまで完璧に音を扱えてるサークルさんはなかなかいません。
定番のサービスに捻りを加えて個性を出すなど、さらに向上しようとする意気込みも見られます。

「あれ…なかなか開かない んっ んーー あっ、開いた開いた」
ひなについてはサービスに直接影響を与えない部分で茶目っ気を出してます。
腕は確かなんだけどちょっぴり気が抜けてるところもあるのが
良い意味で店員らしくなくて面白いです。
そんな彼女の表情や仕草も作品に温かい空気を送り込んでます。

154分ものボリュームで価格が324円とコスパも驚異的。
以上を踏まえてサークルさんでは4本目の満点とさせていただきました。
番外編は店長のサービスです。

CV:黒瀬ひな…小山ハルさん 店長…いたちゆーとさん
総時間 2:34:40(本編…1:56:10 番外編…38:30)

オススメ度
■■■■■■■■■■ 10点


体験版はこちらにあります