鈴の音と歩く

鈴の音と歩く(前編)」に引き続いての後編です。
今回は「08 随分と早く来たな」以降の様子を中心に紹介します。
急速に縮まる2人の距離
3番目の「また別の日」は4パート68分間。
「別のある日」からそれほど経ってない日に再び神社を訪れた主人公が
テンと出会い休憩所で寛いだりこれまでと違った耳かきをしてもらいます。

「やはり茶請けは団子じゃな ほれ ぬしも あーんじゃ」
彼女にお団子を食べさせてもらい、お返しに彼女の口についたあんこを拭くなど
物語の最後を飾るシーンに相応しい今まで以上のイチャラブっぷりが楽しめます。
これまではテンの側から好意を伝えることが多かったのですが
ここでは彼の心情描写も加えて2人が相思相愛の関係であることを表現してます。

メインのサービスにあたる耳かきは32分間。
いつものように膝枕の状態で右耳→左耳の順に綿棒と梵天でお掃除し、最後に軽く息を吹きかけます。
今回は雨戸を開けてるので川の流れる音がバックで流れ続けます。

「今日はこれで耳かきをしてやろう 黒い色をした綿棒じゃ」
内容だけを見るとごく普通の耳かきに思えるでしょうけど
凹凸のあるスパイラル綿棒と彼女の尻尾を梵天代わりにして個性を出してます。
「ずすっ ぞりぞり」というざらつきのある摩擦音が刺激的で心地よく
奥と手前を前後に往復させる動きも一般的な綿棒とは明らかに違います。

尻尾梵天についても「ふすっ さっさっ」というふんわりした滑らかな音
面積の広さ、毛先の長さで尻尾らしさが表現されてて大変リアルです。
3つのシーンで効果音と環境音をまったく被せないところにサークルさんのこだわりを感じました。

「この縁側で 初めて綿棒をつこうたんじゃったな あの時から わしもすっかり好きになってしまった」
最中のテンはこれまでと同じく時間に対する会話量を減らし
これまでの出来事を振り返りながら感謝の気持ちを伝えます。
シリーズの序盤ではなかなか素直になれなかった彼女がこういう顔を見せるようになったのは
主人公に対して愛情や信頼といった特別な感情を抱いてるからです。
セリフをあまり多く入れられないからこそ、思いを込めてひとつひとつの言葉を紡ぎます。

また耳かき終了後の「変わったのはわしか」「気持ちは嬉しいが」パートでは
2人の心の距離が一気に縮まるイベントも用意されてます。
最終的にどうなるかは聴いてのお楽しみとさせてください。
サークルさんでは珍しい描写もありますし、あまりの甘さに聴いてるこっちが恥ずかしくなってきます。

このように、2人の絆が感じられるあまあまラブラブな耳かきが繰り広げられてます。
イチャブラ系音フェチ作品
音重視でありながらキャラやストーリーもしっかりしてる名作です。

これまで色んな耳かきをしながら一緒の時間を過ごしてきた男女が
同じ流れでそのことを振り返りさらに心を通わせます。
そしてその様子を高品質な効果音と環境音を組み合わせてリアルにお届けします。

セリフよりも音の比重を上げて癒す音フェチ系の作り
シーンごとに異なる音を使って違いを出す凝った耳かき、テンの初々しい仕草と表裏のない言葉。
シリーズが持つ長所をそのまま引き継ぎ、物語がきちんと締めくくられるように進めます。

本作品最大の魅力は何か?と訊かれたら私は即座に「耳かきです」と答えます。
それはこのシリーズがどの作品も耳かきに最も長い時間を割き、内容にも力を入れてるからです。
でも耳を綺麗にする事を目的にした一話完結型の作品や専門店でのサービスとは違い
本作品の耳かきは2人が親睦を深める手段のひとつに位置づけられてます。

単に耳を綺麗にするだけなら毎回同じ器具を使ったほうがずっと楽だし出来栄えも安定します。
でもテンは敢えてシーンごとに器具や場所を変えてお世話します。
それは結局のところ彼に楽しんでほしいから、また来てほしいからです。
耳かきという行為そのものに彼女の気持ちが込められてるから音重視でも聴いてて心が満たされるわけです。

サークルさんがこれまで積み上げてきたものを凝縮した珠玉の一作です。
これだけ高品質で3時間20分もあるのに価格がたったの300円なのも驚異的。
以上を踏まえてサークルさんでは14本目の満点とさせていただきました。

おまけは「結婚すればいいのに」です。

CV:テン…藤堂れんげさん ビャク…小日向さくらさん
総時間 3:23:44(本編…3:18:52 おまけ…4:52)

オススメ度
■■■■■■■■■■ 10点


体験版はこちらにあります