看病してもらった件

サークル「AaronPoint」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、優しくて世話好きな彼女が
風邪で寝込んでる恋人をたっぷり癒やして快復を応援します。

サービスはもちろん、それ以外の細かな動作にもリアルな音を鳴らすASMR系の作りが特徴で
体温計で熱を計る、リンゴを剥いて食べさせる、団扇で体を扇ぐといった家庭的なお世話をしながら
気遣う言葉をかけたり何気ない会話をして彼女と一緒にいる気分に浸らせます。
バックで流れ続ける時計の音にも静けさと癒しを感じるでしょう。
恋人が心と体に元気を注入
彼女に看病してもらうお話。

「起きてる? どう? 少しは良くなった?」
彼女は穏やかな声のお姉さん。
風邪を引いて寝込んでる主人公の家にやって来ると
優しい言葉をかけてからリンゴを剥いて食べさせてあげます。

本作品は恋人に看病される気分をリアルに体験させることを目的に
彼女がおよそ50分に渡っていくつかの家庭的なサービスをします。
合鍵を渡してるほどの仲ということで最初の段階から砕けた口調で語りかけ
お世話も恋人らしいやり取りを交わしながらゆっくりのんびり進めます。

そして物語の大部分を多種多様な音を使って表現します。
例えば一番最初の彼女がやって来るシーンではインターホンを鳴らし
ドアの鍵を開けて中に入り、料理の材料が入ってるビニール袋を手に下げて歩き
近くにあるテーブルの上に鍵を置くまでセリフを一切挟まずに行います。

病人相手なので恋人同士でも騒ぐことはほとんどなく
セリフの分量を少なめにし、さらに間を長く取って安らげる空間を作り上げてます。
音自体の品質が非常に高く位置取りや距離感もバッチリですからその場の様子をイメージしやすいです。
音声の開始から終了まで時計の音が流れ続けるのも相まってとても静かに感じるでしょう。

これらの音についてはもうひとつ特徴があります。
サークルさんが販売ページの説明文で「自分の中から聞こえる効果音を意識した」とおっしゃられてる通り
彼女が体や器具を動かすことで生まれる音に加えて
主人公が物を食べたり飲んだりする音を積極的に盛り込んでます。

看病されてる雰囲気をよりリアルにするには聴き手に没入感を与えるのが一番です。
その効果的な手段として主人公視点の音をある程度入れてるのだと思います。
といっても彼は基本寝てますからそこまで色々鳴るわけではありません。
音の位置が非常に近く、一部のシーンでは微かな振動も伝わってきます。

「えっ? あーんは恥ずかしいよ もう 今日だからね」
看病する彼女は声も態度も終始優しい女性。
高熱を出して動けずにいる彼を気遣ってリクエストを受けた時はできるだけそれに応えてあげます。
重い怪我や病気とは違うので過度に心配することはせず安心感を与える方向でお世話を続けます。
逢坂成美さんの声と演技も彼女のイメージに合ってて実に良いです。

効果音がしっかりしてるおかげで説明的なセリフを言う必要がなくなり
何気ない会話に専念できてるのも大きいです。
音重視の作品でありながら彼女の存在感も十分に出せてます。
音と言葉が生み出す癒しのひと時
一番最初の「大丈夫?」パートでするのは体温の確認とリンゴの差し入れ。
前者は「ピッ」という電子音、後者は皮を剥いてから切って食べまでの音で癒しを与えます。

「そのままと すりおろしリンゴと どっちがいい?」
皮を剥く時は若干引っかかりのある音だったのが
それを終えると小気味よい音をやや間を開けて鳴らすようになり
食べる時も「かしゅっ」というみずみずしい音でリンゴの質感を伝えます。
直後に2種類の薬を水で流し込むシーンもあったりと本作品の持ち味が早速発揮されてます。

最も長いサービスはその次に登場する耳かき(約19分)。
彼の体に負担をかけないようベッドに寝かせたまま左耳→右耳の順に
綿棒と梵天でお掃除してから2回ほど仕上げの息吹きをします。

綿棒は「ぷしゅっ」という若干パチパチした滑らかな音、梵天は綿棒よりも広くふわふわした音が使われており
前者は耳の壁全体をゆっくりなぞるように、後者はややペースを上げて軽快に掻き出します。
無料動画を数多く投稿されてるだけあって音、動きいずれもレベルが高く
耳の中全体に適度な刺激とこそばゆい感覚が味わえます。

前のパート以上に音重視の作りになってますから
疲れた時や寝る前に聴くとそのまま寝てしまいそうになるくらい癒されるでしょう。
器具を交換する細かな動作にも専用の音を入れるなどリアリティをとことん追求してます。

その後のパートは音のバリエーションが魅力。
「食欲でてきた?」はおかゆを作って食べさせる、「背中とんとん」は背中のマッサージ
「歯ブラシ」は歯磨きをいずれも4分程度の時間をかけてテンポよくこなします。
そして最後は彼女に見守られながら眠りにつきます。

「いいのいいの 私がやりたいの 私のわがままも聞いてよ」
お世話する場所や方向性がまるで違うのでそれぞれに別の良さがあります。
私個人は歯磨きが最も印象的でした。
歯ブラシの若干ザラザラした質感や左右にスライドさせる動き、ストロークの長さ、リズムが絶妙で
奥歯を手入れする時は音が若干こもり動きが小刻みになるなど本当に細かい部分まで気を遣ってます。
彼女との温かい会話も乾いた心を潤してくれるでしょう。

このように、音とセリフを巧みに組み合わせた臨場感の高いサービスが繰り広げられてます。
高品質なASMR作品
恋人に看病してもらってる様子をそのまま切り取ったような作品です。

彼女は風邪を引いて高熱を出してる主人公を少しでも苦しみから開放しようと
優しい言葉をかけつつ彼が望むことを受け入れる姿勢であれこれお世話します。
そしてその多くを言葉ではなく効果音を駆使して表現します。

音の質・量・位置・距離感・タイミングにとことんこだわった作り
主人公とできるだけ同じ視点で聴けるように配慮した演出、そして彼女の心に染み入る言葉と気遣いの数々。
タイトルから連想されるシチュをできるだけリアルに、そして癒される形で提供します。

「手 あったかい 子供の頃 具合が悪いといっつもお母さんが 私の手をこうやって 握ってくれてたっけな」
音が最大の魅力と言える作品ですがセリフとのバランスやメリハリも考えられてます。
「今は~してるからね」みたいなやり取りをできるだけ削ぎ落とし
病気の時に言われたら嬉しいと感じるものをサービスの妨げにならないタイミングで投げかけます。
看病は自分ひとりじゃ成り立たない行為ですからセリフもやはり重要です。

サービスは家でできてテーマに沿ったものをなるたけ多く揃えてます。
専門店に比べると派手さはないものの、品質面は非の打ち所がないほど優れてます。
奇抜さで勝負する作品が多い有料の中でこういうストレートなものを出すのは
サークルさんがそれだけ自分の音に自信を持たれてるからだと思います。

以上を踏まえて条件付きではありますがサークルさん初の満点とさせていただきました。

CV:逢坂成美さん
総時間 50:10

オススメ度
■■■■■■■■■■ 10点


体験版はこちらにあります

追記
作品自体の点数は9点。
50分で500円なら割安なので+1してあります。