癒しガール -sayuki-

サークル「Butterfly Dream」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、口下手だけどとっても献身的な女の子が
小さい頃から仲良くしてる親戚の男性を3つのサービスで癒します。

音フェチ要素が強い作りでありながらキャラも立ってるバランスの良さが魅力で
耳かき、マッサージ、寝息といった音がもたらすリラックスだけでなく
それらを一生懸命行いながら自分の気持ちをなんとか伝えようとする彼女の姿も心を潤します。
あと一歩が届かない微妙な関係
親戚の女の子「紗雪」に色々お世話してもらうお話。

「あ、もしもし ユキ 紗雪だけど」
紗雪はたどたどしい口調で話すややトーンの低い声の女の子。
親戚にあたる主人公の携帯に彼女が電話をかけ
これから泊まりに行っていいか尋ねるところから物語は始まります。

本作品は小さい頃から彼を実の兄のように慕ってる彼女が
泊り込みで耳かき、肩のマッサージ、添い寝をします。
ほぼ家族と同じ関係なので挨拶や自己紹介といった他人行儀なやり取りは一切なく
最初から親しげな態度で何気ない会話を交わします。

ちなみに耳かきパートは「【耳かきボイス】ロリっ子が耳かきしてくれる音声」というタイトルで
ニコニコ動画にまったく同じものが公開されてます。
ですからとりあえずこれを聴いて、他のサービスや前後のストーリーが気になった人は製品版を聴くといいでしょう。
1時間ちょっとで300円とコスパは良いです。

この作品が持つ特徴は大きくふたつ。
ひとつは効果音や息遣いといった「音」を中心に据えたサービスをすること、もうひとつは紗雪のキャラです。

前者は耳かきだと耳かき棒や梵天の音を鳴らしながら微かな息遣いが流れ
添い寝では寝息を多く漏らすなど音だけが流れる時間を長めに取ってます。
マッサージも動きや音の種類が比較的多彩で耳に心地いい刺激を与えてくれます。
詳しくは次項で説明しますが、有料二作目としてみる分には音のレベルが高いです。

「うん いないよね 知ってた だから ユキが(ご飯を)作りに来てあげる」
後者は感情をあまり表に出さずぽつりぽつりと話す素朴さや
16歳の年齢相応な恋愛に対する不器用さが見られて愛らしいです。
彼のことを異性として好きなんだけど、その性格からうまく伝えられないもどかしさがセリフに出ています。

紗雪役の浅見ゆいさんは、はきはきと話す明るくて穏やかな女性を演じることが多いので
こういう内気で大人しいキャラは聴いてて新鮮に思えます。
彼女の作品を数多く聴いてる人ほど声や演技の違いに驚くのではないでしょうか。
セリフの総量が少ないからこそ、ひとつひとつ言葉を選んで大事に話します。
初々しくて健気なサービス
主人公の家に着いた後、紗雪が最初にするのは耳かき(約25分)。
膝枕の状態で右耳→左耳の順に耳かき棒と梵天を使って綺麗にします。
仕上げの息吹きはありません。

耳かき棒は「ずりずり じじー」と若干硬さのある音
梵天はパチパチした音の混じった面積が広く柔らかい音が使われており
前者は奥から手前に掻き出したり耳の壁を優しくなぞるように、後者は軸をゆっくり回転させるように動きます。

耳かき棒の音に若干ノイズが混じってるものの音・動きいずれも質が高いです。
耳の中が乾燥してる人ほどリアルに感じるでしょうね。
彼の耳が結構汚れてるのか、耳垢を掻き分けるようなガサガサした音が適度に混じります。
梵天は圧迫感をもう少し音で表現できれば完璧と言えるほどに優れてます。

「耳かきするの ちょっとだけ 慣れてきた…けど ゆっくり 慎重に」
彼女が他人に初めて耳かきする状況を踏まえて、どちらもゆっくり丁寧に進めてるところが印象的でした。
キャラの性格に合った耳かきをしてるので音と声に一体感があります。
わざと下手に振舞うのではなく意識してペースを緩くしてます。

「ユキも小さい頃はしてもらってたけど 今は自分でやるから こういう風に 誰かにしてもらうこと あるのかなって」
最中のやり取りも彼女らしいものばかり。
彼に最近の耳かき事情を尋ねて恋人がいるかを遠まわしに確認したり
学校生活のことをきかれた際に彼が心配してくれたことを喜んだりと、控えめながらも純朴な反応を見せます。
セリフそのものよりもその裏に隠れてる彼女の意図や心情で癒しを与えます。

次に行う肩のマッサージはおよそ8分間。
手のひらで揉む、左右にスライドさせて擦る、拳でトントン叩くなどを順に行います。

「ユキは 一緒にいるの 好きだから 毎週でも来たいなって 思うけど 迷惑になってるなら 言って…ね?」
「さすさす しゅしゅっ」と布を擦るような音や左右交互に鳴る拳の振動が心地よく
彼女とのやり取りも表裏のないものばかりでほのぼのした雰囲気が漂ってます。
普段から両親にしてるだけあって耳かきよりも慣れた手つきでそれぞれを行います。

そして最後は一緒の布団に入りゆっくりと眠りにつきます。
およそ25分の間流れ続ける寝息を聴いてるとこちらもつられて眠くなってきます。
パートの後半には彼女らしいシーンも登場するなど、音重視でありながらキャラもきちんと立たせて締めくくります。

このように、音や動きに紗雪のキャラを反映させた癒しのサービスが繰り広げられています。
キャラ萌え要素も強い音フェチ作品
キャラ好きでも音好きでも楽しめる珍しい作品です。

親戚の男性に幼い頃は妹として、現在は異性として一定以上の好意を抱く女の子が
週末に泊まりこみで彼を癒しながら自分の想いを控えめに伝えます。
そしてどのパートもサービスの様子を音で表現し、その合間にセリフを挟む形でゆっくり進めます。

「うん 最近は頑張って 思ったことを言ってたりして …よかった わかってもらえてた」
この作品が音フェチとキャラ萌えを両立できてる最大の要因は彼女のキャラにあります。
内気で話すのが苦手、でも自分の気持ちを何とかして彼に伝えたい。
その方法を考え、投げかける言葉を選ぶ時間を音だけにしています。

ただ黙ってるのではなく、演出としての側面を持ってるから個々のセリフの価値が上がってます。

私も最初は「随分と音に寄ってるなぁ」と思いながら聴いてました。
でも全部聴き終わった後に彼女の存在が妙に大きく感じました。
その理由がこのへんにあるのではないかと見ています。
「音をたっぷり聴かせたいから黙る」という一般的な音フェチ作品のコンセプトとはやや違う部分を持ってます。

サービスは家庭らしさを意識した素朴なものが多いです。
どれも十分優れてますから効果音が好きな人も普通に楽しめます。
個人的には梵天の音が最も優れてると思います。

可愛くて健気な女性が一生懸命癒してくれる作品です。
浅見ゆいさんのお声が好きな人には強くおすすめします。

CV:浅見ゆいさん
総時間 1:04:58

オススメ度
■■■■■■■■■□ 9点


体験版はこちらにあります

追記
作品自体の点数は8点。
コスパがいいので+1してあります。