東方入眠抄6 〜めるてぃ☆ふゅーじょん〜

サークル「Re:Volte」さんの催眠音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、東方シリーズに登場するキャラ「霊烏路空(お空)」が
自分の持ち味を活かした催眠で安らかな眠りに導きます。

灼熱地獄跡地にある温泉や炎、そして彼女の体温など
「熱」に関するイメージや暗示で癒しを与えてくれるのが大きな特徴です。
音楽も製作されてるサークルさんらしいリアルな環境音や雰囲気に合ったBGMも魅力です。
様々な温もりに包まれながら
お空に催眠をかけられ眠りにつくお話。

「ん? 君は? 生きてる…んだよね?」
お空は子供っぽいしゃべり方をする明るい声の女の子。
火焔猫燐(お燐)に連れられ灼熱地獄の跡地へやって来た主人公に声をかけると
まずは近くにある温泉へ一緒に入ろうと誘います。

本作品は彼女が管理してる灼熱地獄の跡地を舞台に
寝つきの悪い彼をぐっすり眠らせようと1時間近くに渡る癒しの催眠を施します。
全年齢向けということで総時間のほぼすべてを催眠に費やし
パートごとに内容を切り替えながらリラックスや眠気が少しずつ膨らむように導きます。

東方入眠抄シリーズは東方キャラがそれぞれの個性を活かした催眠をかけてくれることで有名です。
本作でも灼熱地獄の「熱」と彼女の能力「核融合/分離」をテーマに掲げて進めます。
イメージの選択や扱いに優れてますから、原作を知る人でも割と違和感なく聴けると思います。

またバックで流れる環境音や音楽もその場にいる気分を盛り上げます。
今回は場所が場所なので炎がチリチリ燃える音や、洞窟などで聞こえる空気の振動音がメインです。
音声作品だとあまり聴かないタイプですが自然に根付いたリアルな音ばかりでやはり癒されます。

「そのまま横になっていていいよ 膝枕してあげる」
お空は初対面の相手にも距離を取らずに接するフレンドリーなキャラ。
お燐の加護を受けてここに辿り着いた彼を特別な存在と感じたのか
膝枕をしたり後ろから抱きつくなど序盤から積極的に体を密着させます。
女性よりは少年に近い口調も作品全体にほのぼのした印象を与えてます。
身も心もひとつになる幸せなひと時
催眠は5パート55分間。
最初の2パートは催眠に入りやすくするための準備として灼熱地獄に湧く温泉に浸かったり
その水底にある原初の炎に体をかざして心身を温めます。

「温かな水に包まれて 君の体から余計な力が抜けていくよ」
「想像の中で 君はこの小さな炎に手をかざすよ じんわりと 手のひらが温かくなっていくの わかる?」

温泉も炎も日本人なら誰でもわかる自然に関するイメージです。
そしてこのふたつには「温かいもの」という共通点があります。
彼女はまず彼の心と体を温めることで安眠しやすい環境を整えようとします。
最中に投げかけられる暗示も脱力や温感操作などイメージに合ったものばかりです。

特に炎に当たるシーンは火が揺らめく音が後になるほど強くなり
最終的には焚き火とほぼ同じくらいの力強いものへと変化します。
二次創作モノですが原作に忠実なのはキャラや背景くらいでそれ以外は至って大衆的です。

続く3パートは彼女の能力を使ってより深い催眠と安眠に導きます。
後ろから抱きしめられながらカウントを数えてゆっくりと深化し
さらには自分の体が炎になって彼女の体とひとつになり、離れていく様子を楽しみます。

「溶ける 溶ける 意識が溶ける まるで君は ひとつの温かい炎になってしまったかのよう」
このあたりまで来ると手足や胸のあたりにぽかぽかした熱を感じてるはずです。
その感覚を引き継ぎながら意識の力がさらに弱まる暗示を上手に入れます。

今までとは違い彼女の体=人の温もりでさらなる癒しを与えるわけです。
彼女と融合し生まれ変わるイメージも心身のリフレッシュに適してます。
なんとなくスッキリした気分がするでしょうね。

「暗闇の中に落ちていく そこには 炎も温もりもなく ただひたすらに 暗い世界が続いている」
また融合した後、彼女の体から離れていくシーンでは
「暗い」「寂しい」など心細さを感じる暗示をわざと入れ、その直後に抱き寄せて再度温もりを与えます。
催眠の終盤なのでおそらく正反対の感覚を交互に与えて深化させる「揺さぶり」を狙ったのだと思います。
こんな風に何気ないセリフやイメージにも催眠の技術がちゃんと込められています。

このように、ふたつのテーマを大事にした個性的な催眠が繰り広げられています。
ぽかぽかする作品
心と体に温かさを感じながら眠りにつける作品です。

お空は灼熱地獄へ奇跡的に辿り着いた主人公に最初から友達のような態度で接し
その悩みを解決しようと時間をかけてゆっくり、じっくり催眠をかけます。
現実世界の人間にも身近に感じる温かなイメージと彼女自身が生み出す熱を使い分け
前半は純粋なリラックスを、後半は深化&安眠を提供します。

「眠い 眠い 君はもう眠くてたまらない」
最終目的はもちろん安眠なのですが、彼女は最後のシーンになるまで眠くなる暗示を入れません。
ですから途中で寝落ちすることはそんなにないと思います。
むしろ体が温かくなるイメージと暗示のおかげで火照りを感じるのではないでしょうか。
中盤までは脱力や温感操作に専念し、それ以降は寝苦しくならいなよう多少冷ます感じで進めます。

催眠はテーマ性があり統一感もあるのが素晴らしいです。
東方キャラの催眠となるとどうしてもお空の性格や能力を使いたくなるのですが
いきなりそうはせず、催眠では比較的メジャーな熱に関するイメージと暗示で土台を作ります。

使用するイメージも似たタイプでありながら明確な違いがあって面白いです。
音声を聴いた時に違和感を覚えないよう考えながら作られています。
他のシリーズ作品も含めてRe:Volteさんはこのへんがとてもお上手です。

夏よりは冬場に聴いてほしい安眠系作品です。
おまけはBGM2曲です。

CV:伊藤未緒さん
総時間 1:07:09(本編…58:49 おまけ…8:20)

オススメ度
■■■■■■■□□□ 7点


体験版はサークルさんのサイトにあります

追記
体験版のURLはこちら

2017年02月06日まで半額の200円で販売されてます。
その場合の点数は8点です。