【ご旅行耳かき】道草屋 いのこ【乳液耳揉み】

サークル「桃色CODE」さんの同人音声作品(R-15指定)。

今回紹介する作品は、道草屋で7人目となる新人店員が
ちょっぴり緊張しながら様々なサービスを行い癒しと安眠を提供します。

定番のサービスに彼女らしさを交えた初々しいおもてなしが行われており
茶道に則ったお茶出しや動物に関する昔話など得意なことをやりながら
言葉使いや態度を徐々に変化させて彼女の内面もわかりやすく描いています。
新人店員と過ごす秋の夜
道草屋の店員「いのこ」にあれこれお世話してもらうお話。

「お客様 お客様…でございますよね?」
いのこは甘く素朴な声の女の子。
遠路はるばるやって来たお客をバス停まで迎えに行き挨拶すると
夜空に浮かぶ月に関する昔話をしながらお店に案内します。

本作品は二人が出合ってからお店に移動し、夕食を食べるまでの「ようこそ」と
食事やお風呂を済ませ眠るまでの「おやすみ」の二部構成。
前者は多種多様な効果音を織り交ぜたサービスで秋の日をのんびり過ごす様子を
後者は彼女のお話や仕草といった人間味を中心に描いて癒しを与えます。

前回新しく加入したたびらこが2015年3月ですから、およそ1年半ぶりの新人店員さんですね。
彼女も癒し路線を維持しつつ他の店員さんとは違う固有のサービスを行います。

サークルさんがこの作品で掲げられてるテーマは「旅行感」。
10分ほどの時間を割いてお店に行くまでのシーンを描いたり、到着後は軽い説明をするなど
家庭的な印象が強い普段の道草屋に比べると旅館っぽさを出しています。
聴いた感じだと今回初めてお客の相手をするいのこの研修も兼ねてるようです。

「できるだけ力を込めるために お背中跨いでしまっても よろしいでございましょうか?」
また彼女も多くのシーンで意識して丁寧な言葉使いをします。
年下系の声なので堅苦しさはそれほど感じないでしょうが
音声作品を色々聴いてる人だとその話しぶりにちょっとした違和感を覚えると思います。
それもそのはず、彼女はお客に嫌な気分をさせないよう頑張ってそうしてるのです。

本作品における最大の魅力は彼女が見せる「拙さ、未熟さ」です。
それをより引き立たせるために「ようこそ」では多少気まずい雰囲気になる場面がいくつかあります。
その一方で「おやすみ」は彼女が伸び伸びとお世話するシーンが多く
頼りない新人が今回のおもてなしを通じて一皮剥ける様子を表現しています。
サービス自体はしっかりしてるのですが、合間に入るやり取りなどに不器用さが見られます。

道草屋シリーズは店員のキャラ、効果音(サービス)、環境音(雰囲気)のバランスが取れてるのが持ち味です。
どれかひとつが優れてる作品はそれなりにありますが、すべてが高水準な作品はほとんどありません。
しかし、この作品はいつもよりキャラの個性を強く出す路線で作られてます。

シリーズを聴いてる人でもいつもと何かが違うと感じるのではないでしょうか。
他の店員が個性派揃いですし、それに負けないよう彼女の良さをアピールしながらお世話します。
鮮やかな手つきと美味しいお茶
ここからは各サービスの内容を紹介していきます。

第一部の「ようこそ」は4パート35分ほど。
バス停からお店に到着するまで月に関する簡単な昔話をし
部屋に着いてからはいのこ固有のサービス「お茶出し」へと移ります。

「むかーしむかし そのまたむかし 猿と狐と兎が 神様のところへ行きました」
昔話は三匹の動物が神様にとあるお願いをする、といったもの。
月の影の模様が兎に見える理由に関するお話なので主人公はもちろん兎です。
ストーリーを話すとつまらないでしょうから詳細は伏せます。
彼女は続く第二部の「おやすみ」でも動物に関する面白いお話を聞かせてくれます。

「ようこそ」のメインとも言えるお茶出しはおよそ10分間。
用意したお茶碗を温め、茶入れに入った抹茶を茶杓で二回掬い、お湯を注いで茶筅でかき混ぜます。
茶道の心得がある彼女の特性を活かした本格的なサービスですね。

「静寂の中にある小さなものを 時間を忘れて ゆっくりお楽しみいただくのが お点前です」
彼女自身がこう言ってるように、最中はセリフを必要最低限にまで減らし
お客が飲むシーンも含めたすべての様子をほぼ効果音だけで表現します。
特にお湯を沸かす時に鳴るちりちりした音や茶筅でかき回す音が耳に心地いいです。
おそらく今後の作品ではよりパワーアップした茶席が用意されると思われます。

新人店員らしさが最もよく出てるのは最後の「ご宿泊のご説明」パート。
名前の通り今後行うサービスの流れを説明するだけのシーンですが
彼女が初めての経験に緊張したり戸惑ってる様子が色濃く出ています。

「お風呂についてでございますが だいじょくじょ んん だい…よくじょう お待ちください…手汗が」
お風呂の説明をする時に噛むのが面白いですね。
普通ならNGにあたる要素を敢えて取り入れ、彼女の心情をわかりやすく描いてます。
これ以前のシーンでも話し方にぎこちなさを感じますし、芹やはこべらといった年上系の店員たちとは違う魅力があります。
調子に乗って大胆に
第二部の「おやすみ」は9パート82分間。
温泉から出たお客がぐっすり眠れるようにいのこが肩と耳のマッサージ、耳かき、昔話をします。

マッサージは肩の方は拳でとんとん叩いたり手のひらで擦るスタンダードなものですが
耳はタイトルにもなっている乳液を使って両方同時にゆっくり揉みます。
まだ慣れてないのを踏まえて第二部のサービスはどれもゆっくり丁寧に行います。

「すりゅー ぎゅぴっ」と手に力を入れて離す乳液耳揉みの音はとてもリアルで
最中は音が篭るだけでなく実際に耳を手で覆われてるような軽い圧迫感も味わえます。
音だけで聴覚以外の感覚を刺激されるのは不思議で面白いです。

「その年に取れたお米で お赤飯とお餅を作って ちょっとずつ食べるのでございます」
また彼女も第一部から時間を置いてリラックスしたのか
手を動かしながらここで働くことになった経緯や村で間もなく始まる秋祭りについて語ります。
音と会話の両方で楽しませる道草屋シリーズの持ち味がここから発揮されます。

第二部のメインとなる耳かきは41分30秒と長め。
膝枕ではなく布団に寝た状態で左耳→右耳の順に耳かき棒と綿棒を使って汚れを取り
仕上げに弱めの風圧で1~2回息吹きします。
また左耳はお掃除の後、右耳はお掃除を始める前に6分程度の甘噛みをします。

耳かき棒は「ずり じり」という乾いた細い音、綿棒は「ずしゅっ ぱちぱち」と面積が広く柔らかな音が使われており
前者は位置を細かく変えながら掻き出すように、後者は大きく動かさず細かい汚れを絡め取るように動きます。
器具の違いが音でちゃんと出てますし、耳かき棒は手前と奥で音質が微妙に変化します。
スタンダードかつ質の高い耳かきと言えます。

「コーヒーは苦手ですが カプチーノはまた飲みたいですね」
「ふふっ 耳たぶぺちぺちでございます」

最中の彼女の態度も大きなポイント。
「~でございます」をよく言ってたこれまでよりも口調が若干柔らかくなり
カプチーノのまろやかな口当たりを自分で出そうとして失敗した話をします。
また合間に入る甘噛みでは舌を使って彼の耳たぶを軽くぺしぺしします。

差し支えないレベルで悪戯するようになったのは彼女の気持ちがほぐれた証拠です。
こんな風に言葉そのものではなくしゃべり方や行為によって心の変化を伝えてくれます。
甘噛みはR-15ですから水分控えめの大人しいちゅぱ音が中心です。

最後に登場する昔話はおよそ22分間。
一本目のお話は右耳の耳かきと同時に、二本目は彼に添い寝しながら行います。

「猪は…ふぁぁ 猪は 亀をひっくり返そうと 亀は 猪を持ち上げようと 牙をかっちん 甲羅をかっちん」
こちらも月の昔話と同じく動物たちのやり取りを描いたものばかり。
お客とすっかり打ち解けて緊張の糸が切れたのか
しばらくすると彼女が欠伸を始め、お話のペースも後になるほど緩やかになります。
最終パートは半分近くの時間で彼女の寝息が流れる安眠仕様です。

このように、彼女の持ち味を盛り込んだ温かなサービスが繰り広げられています。
キャラ重視の作品
効果音や環境音よりもいのこの仕草のほうがずっと耳を惹く作品です。

いのこは道草屋にわざわざやって来たお客が充実した一夜を過ごせるように
基本となる耳かきとマッサージに加えてお茶出しや動物に関する昔話をします。
どちらも今まで登場した店員にはない要素で前者は音、後者は声と異なる癒しの方向性を持ってます。
特にお茶出しは家だとまずできない本格的なもので旅館らしさが出ています。

「今は緊張も抜けて しっかり働けてございますが お客様が怖い人ではなくて よかったでございます」
それよりもずっと印象的だったのが彼女の言葉使いです。
違和感を覚える言い回しをわざとすることで緊張具合を遠まわしに伝えます。

新人店員というと失敗するのがよくあることですが、それでは癒し系作品としてまずいですし
サービスとは直結しない形で未熟さや初々しさを持たせてるのが素晴らしいです。
昔話をする際に動物の鳴き真似をしてくれるのにも愛らしさを感じます。

サービスについては新しく登場した二つ以外は割と普通かなと。
乳液耳揉みはそのそもの時間が短いですし、甘噛みもゾクゾクするほどの刺激は与えてきません。
毎回力を入れてる季節感が今回控えめなのもキャラが立ってると感じた大きな理由です。

新人店員が一生懸命お世話する様子を和やかに描いた作品です。

CV:いのこ…箱河ノアさん すずな…藤堂れんげさん(登場時間は30秒程度)
総時間 1:57:02(ようこそ…34:42 おやすみ…1:22:20)

オススメ度
■■■■■■■■■□ 9点


体験版はこちらにあります

追記
作品自体の点数は8点。
117分700円とコスパが良いので+1してあります。