星の少女と絵本のお話

サークル「Transparent Chorion」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、とある事情で山奥に一人で住んでるぽわぽわした女の子が
偶然訪れた男性を様々なサービスとお話でもてなします。

星をテーマにした心温まるお話、緊張気味だった彼女が徐々に心を開いていく展開など
緑豊かな場所で彼らがのんびり過ごす様子をそのまま描いた癒しのストーリーが楽しめます。
星が綺麗な山奥で
謎の少女が住む家で一晩を過ごすお話。

「…誰? こんなところに人間が来るなんて 珍しい」
少女は温かくて可愛い声の女の子。
ある日、山奥にある自分の屋敷にやって来た主人公に声をかけると
彼が旅の途中に偶然ここを訪れたことを知り、星の写真を撮るのを手伝ってあげます。

本作品はとある事情があってここに一人で暮らしている彼女が
彼のために一晩の宿を提供し、あれこれお世話してあげる様子が描かれています。
専門店とは違うのでお茶を淹れたりシャンプーで髪を洗うなど家庭的なサービスが多く
彼女の堅苦しくない態度や最中のほのぼのしたお話が心を癒してくれます。

「人間はみんな ここをお化け屋敷って呼んでいるそうよ」
彼女は挿し絵のように薄緑色の髪と変わった角を持つ人とは違う存在。
人間に対して特に害意を抱くことはなく日々をのんびり過ごしてます。
しかし周辺の住民には気味悪がられていてちょっぴり寂しい思いをしてました。
作中ではそんな彼女が彼と少しずつ打ち解け、心の内を漏らすシーンがいくつも登場します。

登場人物同士の関係が徐々に変化していくドラマ性を持ったストーリーです。
最初はまったくわからなかった彼女の素性やここにいる目的も聴き進むにつれてわかるようになります。
演出面にも力が入れられていて物語の世界に自然と引き込まれていく感覚が味わえます。

この物語のテーマはずばり「星」。
彼が星を見にやって来たことや彼女が星に関する詳しい知識を持ってる背景を踏まえて
最中は星に関する様々なお話が登場します。

中には「音声だけだとイメージしにくいかな?」と思われる部分もありますが
都会だとなかなか見えないものですし、自然物ということでロマンチックな雰囲気が漂ってます。
ただし、恋愛要素は一切絡めず純粋な癒しを与えるスタイルで進めます。
後になるほど温かさが増す癒しのサービス
ここからは各サービスを個別に紹介していきます。

少女が主人公に最初に振舞うのは紅茶。
家の庭で育てた茶葉と屋敷に元からあった器具を使って手際よく淹れます。
カップを用意する音や紅茶を注ぐ音ももちろん鳴ります。

「夏に入る前の雨の季節はとても嫌いだわ ずっと天気が悪くて 空が見えないし じめじめするし」
「これは…カメラ? これが こういうので 本に載ってる写真を撮っているのね」

まだお互いをよく知らないこともあって、ここでは彼女が自分のことを語ったり
彼が持参してる器具についてあれこれ訊ねる会話をよくします。

カメラ・ランプ・非常食を興味深そうな表情で眺め、実際に試してみる彼女の姿がほのぼのしてて可愛いです。
彼女が彼を他の人間とは違う正当なお客と認識する大事なシーンです。

次に登場する「星空の案内」パートは本作品ならではのサービス。
夜が更けてきたのを見て彼を特別な部屋へと案内し
そこで一緒に横になりながら彼女が夜空に広がる夏の星座のことを丁寧に教えます。

「スプーンみたいな形に繋げるわ 柄杓とも言えるわね これが北斗七星」
内容は北斗七星や北極星を見つけるところから始まり
おおぐま座や夏の大三角(ベガ、デネブ、アルタイル)といったメジャーなものから
りょうけん座、かみのけ座などのややマイナーなものまで多種多様です。

プラネタリウムで行われる説明に近い割と本格的なものです。
小中学校あたりで習った天体に関する知識を持ってる人ならだいたいわかるはずです。
ですが実際に星図を見ながら聴いた方がずっとイメージしやすいでしょう。
お話を無理に追うよりは星を見ている雰囲気に浸ったほうが心が落ち着くとも思います。

彼女がなぜここまで星に詳しいのか疑問に思う人がいるかもしれません。
それについても物語を最後まで聴けばちゃんとわかるようになってます。

2人の関係が大きく変化するのがその後にある「一緒にお風呂」パート。
彼女が事前に沸かしておいたお風呂に一緒に入りお互いにシャンプーをしてあげます。
ここだけは彼女の声が若干反響します。
全年齢向けですのでエッチな描写は一切ありません。

彼が彼女に、彼女が彼にと順番に行うのですが
シャクシャクという泡交じりの水音が最初はやや遠くで、次は頭上やや近くで鳴り響きます。
手の動かし方も実際に録音されたのでしょうか、ループとは違う変化が見られます。
こういった細かな効果音の数々が作品全体にリアリティを与えています。
音フェチと言うほどではないものの効果音のレベルは結構高いです。

「なんだか不思議な感じする んー よくわからない でもすごく楽しいかも」
最中に見せる彼女の反応も大きなポイント。
普通の人から見れば他愛もない行為であっても、彼女にとってはなかなか体験できない貴重なひと時です。
冒頭のシーンよりもずっと柔らかい口調で彼のサービスを嬉しそうに受け入れます。
直後のお風呂に浸かるシーンでも可愛らしい仕草が楽しめます。

そうやってお互いのことをよく知った後、最後の最後に彼女がとある絵本を読み聞かせます。
このお話は物語のキーとなる部分ですので内容は聴いてのお楽しみとさせてください。
私が聴いたときは「あぁ そうだったのか」と納得したのと同時にしんみりした気分になりました。

このように、心の距離の変化に焦点を当てた個性的かつ家庭的なサービスが繰り広げられています。
人の温もりを教えてくれる作品
何気ないものから癒しを与えてくれる比較的ハイレベルなボイスドラマです。

とある目的を持って一人静かに屋敷で暮らし続けている少女が
自分を差別しない男性と出会い、誰かと同じ時を過ごす幸せな感覚を少しずつ思い出します。
彼女は泊める側ですから当然あれこれお世話してあげるのですが
後になるほど彼女が彼に何かをしてあげることに喜びを感じてるのがわかります。

サービス自体は星の説明を除けばシンプルなものばかりです。
でも彼女に隠されてる謎が明らかになっていく展開や
彼女の心情や態度の変化が自然と伝わってくるところが聴いてて非常に面白いです。
みもりあいのさんの独特な癒し系ボイスや可愛らしい仕草も心をたっぷり温めてくれます。
作中でほんの少しだけ鳴るオルゴールも雰囲気に合っていて実に良いです。

「きっと この家では誰かと誰かが暮らしていたんだわ こうやって 同じカップで 同じ飲み物を」
個人的に一番印象に残ったのは彼女が住む屋敷に関するお話がたびたび登場するところです。
山奥に建ってるにも関わらず色んな設備や本が置いてある場所らしく
彼女がここに元々住んでた人たちのことを予測の形で時々語ります。

私も最初は「彼女なりに気になってるんだろうな」程度に思ってたのですが
終盤あたりに差しかかるとその意図がわかってスッキリしました。
作品を構成する様々な要素が複雑に絡み合ってひとつの「答え」へと収束します。
ストーリーが練られてるので人によっては終盤に切なさを感じるでしょう。

キャラやストーリーがしっかりしている癒し系作品です。
耳かきやマッサージとは違う形で癒しを得たい人におすすめします。

CV:みもりあいのさん
総時間 1:05:45

オススメ度
■■■■■■■■□□ 8点


体験版はこちらにあります