東方入眠抄11 わかさぎ姫に堕ちていく水中催眠

サークル「Re:Volte」さんの催眠音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、東方シリーズに登場するキャラ「わかさぎ姫」が
偶然出会った人間の男性を独特な手段で眠りに導きます。

湖畔にいる時は水の揺れる音や鳥の声、水中では水の弾ける音など
様々な環境音や音楽を組み合わせた清涼感のある催眠が魅力です。
寂しがり屋の人魚が安眠をお手伝い
わかさぎ姫に眠くなる催眠をかけてもらうお話。

「ねぇ そこのあなた こっちこっち 湖の中ですよ」
わかさぎ姫は素朴で穏やかな声のお姉さん。
自分が住む湖で見かけた主人公に声をかけ自己紹介すると
安眠できずにいる彼にひとまずお話しようと言います。

本作品は霧で迷子になり湖に迷いこんできた彼と彼女が出会い
前半は湖畔で、後半は湖の中で癒しと眠りを提供する様子を楽しみます。
そして聴き手が実際にその場にいる気分を味わえるように
音声開始直後から水に関するいくつかの環境音がバックで流れます。

今は夏なので昼夜を問わず過ごしにくく感じる人が多いと思います。
そんな時期だからこそ涼やかな音はリフレッシュに大いに役立ちます。
催眠の技術だけでなく雰囲気によっても癒しを与えてくれるのが東方入眠抄シリーズの特徴です。

「えっ? 冷たくて気持ちいい? そう言ってもらえるととても嬉しいです」
これからの時間を一緒に過ごすわかさぎ姫もかなりの癒しキャラ。
初対面の彼にちょっぴり恥ずかしがりながらあれこれ世話を焼きます。
彼女は人魚では珍しく淡水にしか棲むことができず、いつも一人で寂しい思いをしています。
その背景を考慮し作中では彼女が体を寄せたり優しい言葉をかけるシーンが数多く登場します。

原作でも普段は歌を歌ったり、石を拾ったりして暮している大人しい妖怪だそうです。
東方シリーズの魅力であるキャラも大事にした催眠を施してくれます。
癒しの声と音に包まれて
催眠は3パート27分ほど。
まずはお馴染みの深呼吸をしたり彼女のカウントを聞いてリラックスします。

「吸ってー 吐いてー 力が抜けていくのが心地いい」
「ぼーっとしてきて もう 何も考えられません 気持ちいいね」

深呼吸の時は吐くのに合わせて体の力が抜ける暗示を
カウントでは数え終えた直後に気持ちよくなる暗示を入れて意識の力を上手に弱めます。
まだ序盤ですからそこまで強烈に眠たくなることはないでしょうけど
バックで流れる水の音も相まって気持ちが落ち着いてくるのは十分に感じます。

またこれらを行った直後に彼女が膝枕をして彼の頭を撫で
同時に優しい旋律のピアノBGMがバックで流れ始めます。
音楽も製作されてるサークルさんなのでこちらのクオリティも高いです。
音や音楽を有効活用して安眠させるところが独特で面白いです。

2番目の「水中催眠」パートはいよいよ彼女と一緒に湖に潜りさらなる安らぎを得ます。
足から腰、そして胸と水に浸かっていく様子に暗示を絡めてさらに脱力を促し
入水後は「ごぼごぼ」という水の弾ける音を流しながら
カウントと「沈む」を意識して盛り込んだ暗示でさらに深い催眠状態へと導きます。

「沈む 沈む あなたの意識が 沈んでいきます」
水中に沈むイメージを使った深化は多くの催眠音声で登場する手法ですし
手足がピリピリするとか、ずーんと重くなる感覚がする人がきっといるでしょう。
本作品ではカウントを数えるシーンの多くで複数回数え、より多くの人に感覚が伝わるよう工夫しています。

「このままずっと 私が抱いていてあげるね 永遠の眠りに一緒に堕ちていきましょう」
そして最後の「泡沫と消える人魚の夢」パートは湖の底にたどり着いたわかさぎ姫が
主人公を抱きしめながら自分の気持ちをぽつりぽつりと語ります。

催眠の技術と呼べる要素はほとんどないのですが
これまでのパートでリラックスできていることや、先ほどとは違うピアノBGMが流れるおかげでとても癒されます。
無理矢理寝かせるのではなく、自然と眠くなる雰囲気作りに力を入れた安眠誘導です。

このように、2人が水中に潜るイメージに技術と音を絡めた催眠が繰り広げられています。
涼しい気分にしてくれる作品
様々な水の音によるリフレッシュと、わかさぎ姫の穏やかで儚いキャラによる温もりの両方が感じられる作品です。

彼女は人間が滅多に訪れることのな場所に迷いこんできた主人公を親しげに迎え
鱗のある下半身を触らせてあげたり膝枕をして害意のないことをはっきり伝えます。
その上で古典系の技術と舞台の湖を融合した催眠で少しずつ眠らせます。

さらに夏に多くの人が感じる寝苦しさを解消する手段として水の音を流します。
川や海よりも静かな湖畔の様子、海やプールに入った時とほぼ同じ音の鳴る水中といったように
同じ水でも変化をつけて自分が今いる場所を直感的にイメージさせてくれます。
単に癒すのではなく雰囲気作りにもちゃんと役立ててるところが実に良いです。

「暗くて深い 水の底 優しい暗闇が あなたの心を そっと包み込んでくれるよ」
もうひとつの魅力である彼女自身についてはちょっぴり陰のあるキャラに描かれています。
他の人魚のように海に行けないせいで不遇な思いをしてるらしく
それを遠まわしに伝えるかのように彼をとことん大事にします。
ヤンデレと言うほどではありませんが、普通の女性よりも多少重い愛を感じます。

催眠はサークルさんの過去作と同じく基本的な技術がほとんどです。
真新しさには欠けるものの、キャラや音といった他の部分で個性をきちんと打ち出しています。
ただし、作中で何度か登場するカウントの数え方がどれも同じだったのは残念です。

カウントは催眠音声でよく使われますが、目的に応じて声のトーンやペースを切り替えるのが望ましいです。
そうすることで前後の暗示がより効果的に聴き手の無意識に届きます。
例えば脱力させる際に数えるカウントは1セットごとにペースを少しずつ緩めトーンを落とすと
聴き手がそれにつられて呼吸が自然と緩やかになりリラックスしやすくなります。

涼を与えながら眠らせてくれる今の時期にぴったりな作品です。
環境音の流れる催眠音声が好きな人におすすめします。
おまけは「マーメイド喫茶 わかさぎ庵」とBGM2曲です。

CV:冬岸るいさん
総時間 59:11(本編…34:40 おまけ…24:31)

オススメ度
■■■■■■■■□□ 8点


体験版はこちらにあります

追記
作品自体の点数は7点。
59分400円とコスパがいいので+1してあります。