催眠音声-偽執事

サークル「帽子屋」さんの催眠音声作品(女性向け)。

今回紹介する作品は、主人公に密かな好意を抱いている礼儀正しい執事が
疲れた彼女の体を気持ちよくしながら自分の想いを打ち明けます。

長い時間を取って入念にマッサージをする導入部分
彼に抱かれて移動するシーンに暗示を絡めた深化など
作品の世界に催眠の技術を上手に織り交ぜ自然なリラックスを与えてくれます。

またシナリオを担当されたnitさんを初め、
総勢6名の声優さんのバージョンが同梱されているのも魅力です。
声質や演技など皆さんのお好みに合わせて選ぶとより楽しめるでしょう。
今回はヨハン・タチバナさんのバージョンでのレビューをお送りします。
執事としての最後のおもてなし
執事にマッサージをしながら催眠をかけられエッチするお話。

「失礼します お嬢様 少々よろしいでしょうか?」
執事は礼儀正しい端正な声のお兄さん。
晩餐会へ参加した次の日、主人公の部屋に訪れ昨日のことを褒めると
彼女へのご褒美にマッサージをしてあげます。

本作品はサークルさんが同じタイミングで販売された「催眠音声-偽彼氏」の続編にあたり
前作で恋人同士になる練習をした2人が、その後どういう関係に落ち着いたかが綴られています。

単品でも聴ける作りになっていますが前作の内容に触れる部分も若干あるため
基本的には前作→今作の順に聴くことをおすすめします。
サークルさんもその事情を踏まえて2作品をセットにしたバージョンを販売されています。
登場人物が同じなだけで催眠やエッチの内容は大きく異なります。

催眠は2パート25分ほど。
まずは疲れた彼女の体を癒すために彼が右腕をマッサージします。

「右手は主に 思考を司る左脳と繋がっていますから 右手を解すということは 意識を解すということ」
「右手が解れれば解れるほど お嬢様の意識もぼんやりと していきますよ」

実際のマッサージ音に近い水分控えめな効果音をゆっくり鳴らしながら
彼は右手の指の一本一本から肩に至るまでを11分もの時間をかけて丁寧に揉み解します。
そして同時に彼の揉んだ部分が温かくなったり力が抜ける暗示を軽めに入れます。

一般的な癒し系作品で行われるマッサージにかなり近い作りになっているおかげで
催眠抜きでも心がスッキリするとか、ホッとするものを感じます。
彼のセリフに合わせて効果音を鳴らしているところもリアルでいいですね。
合間に入る温感操作の暗示により右腕がぽかぽかするのを実感できます。
特に右腕が終わった直後は左腕との温度の違いがわかりやすいと思います。

「胸は…まだやめておきましょう」
お次は左腕、足、太もも、脇腹など大事な部分を敢えて避ける形でマッサージを続けます。
こちらは全部合わせて7分程度と右腕に比べてかなり簡略化されています。
他の部位まで入念にやると途中で寝てしまう、あるいは飽きる可能性を考慮したのだと思います。

右腕に生まれた熱を他の部分に広げていく感じで聴くといいでしょう。
暗示もしっかり入れてくれますし、適宜カウントと追い込み暗示を使って感覚を伝えてくれます。
私の場合は直後はそれほどでもなかったのですが
聴き進めていくうちにだんだんと全身がぽかぽかしてくる感じがしました。

「ゆらゆら揺れる 心も体も揺れ動く 階段を下りれば下りるほど お嬢様の意識は 深いところへと沈んでいく」
そして最後は今いる部屋だとエッチの時に声を出せないので
それができる彼の部屋へと挿し絵のように抱かれながら移動します。
廊下を歩いて階段を下りる様子に「体が揺れる」「沈む」といった深化に有効な暗示を盛り込み
それを繰り返す形で段階的に催眠状態を深めてくれます。

20分近く行ったマッサージの効果で十分に暗示を受け入れやすい状態になってますから
頭のぼやけがさらに強くなるとか、体が急に重くなる感覚がする人が普通にいるでしょうね。
セリフの表現がストーリーに沿っていて違和感なく催眠に入ることができます。

テーマのマッサージに催眠の技術を絡めたシンプルで効果的な催眠です。
聴き手にリラックスと体の火照りを感じてもらうことを目的に
マッサージの効果音を鳴らしてどこをどのように揉んでいるかを説明しながら
そのたびに「体が温かくなる」「気持ちいい」などの暗示を入れて徐々にそうなるよう導きます。
そして最後に別のイメージを使って落ちる感覚を伝えています。

この作品の面白いところは暗示の匙加減にあると私は考えています。
序盤の右腕をマッサージするシーンでは効果音をしっかり聴かせて純粋な癒しを与え
その後からは催眠に関連するキーワードの量をだんだんと増やしています。

作品の内容に合わせて技術を的確に行使しているところに最も感銘を受けました。
良い意味で催眠っぽさが薄れているから堅苦しさを感じることなく楽しめるでしょう。

まとめると、作品のテーマに対する親和性が高いハイレベルな催眠です。
ちょっぴり意地悪なシチュで感度アップ
エッチシーンは2パート14分30秒間。
プレイは羽ペン責め、キス、手マン、SEX(正常位)です。

手マン、SEXの際に効果音が鳴ります(無しも選択可)。
セルフはありません。

「ご褒美の前に少しだけ その分のお仕置きをさせていただきますね」
執事に抱かれながら無事彼の部屋にたどり着くと
晩餐会で彼女の表情がやや硬かったことへのお仕置きとして
彼がその場にあった羽ペンを使って彼女の体を撫で始めます。

最初の「性感強化-羽根ペンと媚薬」パートは本番に向けての下準備的なプレイ。
羽ペンで肘、二の腕、肩、喉や顎を撫でてから
乳首やクリトリスといった敏感な部分を集中的に責め始めます。

「羽が通った後に くすぐったさと熱さが残り くすぐったさが消えると ジンジンとした熱さだけが残る」
ここでも先ほどのマッサージと同じく体に熱を感じさせる暗示が数多く登場し
催眠に入っていれば彼に言われた部分がカーッと熱を帯びるのを感じるかもしれません。
特にクリトリスは皮を剥いて媚薬効果つきのオイルを優しく塗ってから
短めのカウントを何度も何度も刻んで段階的に感度を強化してくれます。

「お嬢様 お嬢様 幸せです このままひとつに溶けて 混ざり合ってしまいたいくらいです」
そうやってすべての準備が整った後、いよいよ彼とひとつになります。
SEX自体の時間は3分程度と非常に短いのですが
熱っぽい声や荒い吐息を漏らす普段とはまるで違う彼の気持ちよさそうな姿や
ストレートな愛の言葉がプレイの雰囲気を盛り上げています。

このように、主従よりは恋人同士に近いちょっぴり意地悪なエッチが繰り広げられています。
心地いい気分に浸れる作品
時間配分と内容から癒しや催眠特有の感覚をより味わいやすい作品です。

献身的だけどちょっぴり嗜虐的なところもある執事が
マッサージを絡めた催眠とやや羞恥を感じるエッチで主人公を労います。
エッチよりも催眠により多くの時間を割いていること
本番前の感度強化に力を入れていることなど
催眠に入り、声で心を操作される快感を楽しんでもらいたいとするサークルさんの意図が窺えます。

暗示の種類がマッサージによる温かさ、彼に抱かれる温もり
敏感な部分をいじられて体が火照る、といった「熱」に関するものが非常に多く
物語を聴いていくうちになぜか妙に体が熱いとか、疼くといった感覚を抱く人がいると思われます。

催眠の技術も執事の性格に適したセリフの表現を常に心がけ
イメージを崩さないように気をつけながら正しく用いています。
私がそれなりの深さにまで入れたくらいですから
女性の皆さんならより深く、より心地いい感覚が得られるのではないでしょうか。
淫語とくちゅ音そこそこ、ちゅぱ音と喘ぎ声ごく僅かです。

前作に引き続き個性と完成度の両方において優れたものを持っている作品です。
おまけは執事と主人公の父親のやり取りです。

CV:nitさん zeroさん あ、きのこさん ダカットさん 夜櫻さん ヨハン・タチバナさん
総時間 本編…53:47 おまけ…3:17(いずれも声優さんによって多少前後します)


体験版はこちらにあります

追記
もうひとつのシリーズ作品「偽彼氏」とのセットも販売されています。
個別に買うより300円お得です。
催眠音声-偽彼氏/偽執事セット