4ジゲントリップ催眠

サークル「F・A・S」さんの催眠音声作品。

今回紹介する作品は、とある秘密のクラブハウスで出会った女の子と
お話をしたり体を愛撫しながら幸せな気分にどっぷりと浸かります。

声と音楽のコンビネーションによって誘導する独特な催眠が繰り広げられており
シーンやプレイに応じてBGMを小まめに変化させながら
巧みな暗示を使って好きな女性と一緒に過ごしている感覚を呼び起こしてくれます。
癒しの音楽に包まれながら
お姉さんの催眠でクラブハウスに行き、そこにいた女の子と愛を育むお話。

「あなたは 催眠術をどんなものだと思っていますか?」
お姉さんは明るく穏やかな声の女性。
主人公に催眠に関するいくつかの小話をすると
癒し系の音楽をバックに流しながら催眠の世界へと導き始めます。

本作品は催眠音声としては珍しく音楽に力を入れており
音声開始直後にはヒーリングCDに入っているような癒し系の音楽が
催眠がある程度深まるとダンスクラブで流れるビートの効いた音楽が流れ始めます。
この手の作品を安定して製作されているのは現在のところF・A・Sさんのみです。

ほぼ全編で何らかの音楽が流れ続けるほどに音楽が重要な要素となってますから
テクノなどが好きな人ほど作品の世界に浸りやすく感じるでしょう。
逆にあまり聴かない人は1回目ですべてを味わおうとは考えずに
まずはこれらに慣れることから取り組んでみたほうが楽しみやすいと思います。
あらゆる部分が一般的な催眠音声とは随分違っています。

もう一つの特徴はリラックスにもかなり力を入れていること。
本編の開始前には立った状態で約10分間両手をブラブラさせる運動を行い
横になってからも軽く体を動かして全身の筋肉を自然にほぐします。
(前者は必須ではありませんがやったほうがずっと入りやすいです。4分間の短縮版もあります。)
内容が特殊だからこそ、より多くの人が楽しめるような配慮が随所にされています。

催眠はおよそ25分間。
まずは彼女の声に合わせて全身の力を入れたり抜いたりしながら深呼吸をします。

「5 息を吸う 固まると 全身が緊張する 6 息を吐く 全身が弛緩する」
「15 吸って 自分が起きていることを思い出す 16 吐いて 体から力が抜けて 眠くなってくる」

奇数の時は息を吸いながら力を入れる、偶数は吐きながら力を抜く動作を
彼女がわかりやすい表現で1回1回丁寧にリードしてくれます。

事前の準備運動をしっかり行った場合、この時点で腕に力が入りにくくなっているかもしれません。
同時に入る軽めの暗示やバックで流れ続ける音楽もリラックスを助けています。
声と音楽のコンビネーションの威力が早速発揮されているシーンと言えます。

「うふふっ こんばんは 君が来るのを ずっと待ってたよ?」
カウントを使って適度に催眠を深めた後
いよいよメインの舞台となるクラブハウスに移動し
お姉さんよりも若干若さを感じる声の女の子と出会います。
ここからはお姉さんに代わって彼女がメインの語り手を務めます。

彼女の具体的な容姿は描写されておらず自由にイメージしていいそうです。
そして状況に合わせて音楽もテクノ系のものへ徐々に変わっていきます。

「私ね 音楽を聴くのに没頭している時 体がまるで 自然に動いちゃうような 不思議な感覚がするんだよ」
「低音のビートをずっと聞いていると まるで 全身に痺れるような快感を流されてるみたいでさ」

彼女と出会って最初にするのはおしゃべり。
クラブハウスの雰囲気により浸れるようにと音楽に意識を向けさせながら
音楽を聴きリズムに乗る心地よさを自分の体験として語ります。

先ほどまでとは雰囲気がガラリと変わっていることや彼女の話しぶりから
なんだか催眠から遠ざかっているように思えるかもしれません。
ですがこれは現代催眠における「喚起」という技術が盛り込まれており
催眠者の感覚をやや遠まわしな表現で聴き手に伝えようとしている意図が見られます。

実際のところ音楽が結構ノリのいいものですし
こういうものに抵抗が無い人なら自然に心躍るものを感じるのではないでしょうか。
彼女の話す内容に応じて曲調や楽器が微妙に変化する細かな演出も光っています。

音楽と古典・現代両方の催眠技術を上手に融合させた非常に珍しい催眠です。
クラブハウスに行き、そこで理想の女性と一緒にいる気分に浸ってもらうことを目的に
まずは軽い運動や漸進的弛緩法を使って十分過ぎるほどにリラックスさせ
軽く深化をしてからクラブハウスのイメージを女の子の言葉として伝えていきます。

音声だけの催眠の場合、特にクラブハウスの雰囲気はなかなか掴みにくいものなのですが
本作品ではバックに本格的な音楽を流すことで現実逃避感を膨らませてくれます。
女の子のセリフも催眠っぽさを適度にぼかしていたりと
二つの要素の長所を活かし、弱点を補いながら上手に催眠を進めています。

まとめると、声と音楽をバランスよく配合している面白い催眠です。
大好きな人とひとつになる快感
エッチシーンは20分ほど。
プレイは上半身の相互愛撫、音による絶頂です。

エッチな効果音はありません。
セルフもありません。

「ほら もうちょっとくっついて? もっと近くに来て? …好き」
催眠の技術を使って主人公と十分に感覚を共有できたところで
女の子はよりストレートに自分の気持ちを伝える愛の言葉を何度も投げかけます。

エッチは催眠音声らしく直接的なプレイはほどほどに控え
声(暗示)と音楽(音)を使って徐々に気持ちを高め
最終的には幸福感を爆発させる形で絶頂を促します。

プレイは抱き合ってお互いを軽く愛撫するごくごくソフトなものなのですが
「彼女に愛されている」という精神面への心地よい刺激が心を高ぶらせてくれます。

「好きっていうことは 気持ちいいこと 自分を好きになることは 心地よくて気持ちいいよね?」
プレイの序盤はあまあまな言葉責め。
彼女は「好き」「大好き」を意識的に多くセリフに織り交ぜながら語りかけてきます。
好きな異性にそんなことを言われて嫌な気がする男はまずいないでしょう。
今までに比べて重低音の少ないしっとりとした曲調も雰囲気を盛り上げてくれます。

「声や音に集中すると 快感がどんどん増してくる まるで 魂に直接 ピリピリとした刺激を送られているような感覚」
「ビートがリズムを刻むたびに 快感の波が全身を駆け巡る」

もうひとつの柱である音楽を活用した暗示ももちろん登場します。
音楽自体が心に響くツールのようなものですし
彼女の言葉と併せて聞いているとなぜか妙に股間が熱くなるかもしれません。

私の場合は中盤あたりでしっかり勃起しているほどでした。
ストレートなエロ要素が無いハンデを雰囲気がしっかりと補っています。

「君の体の奥から湧き出る快感が おちんちんを刺激していく」
「快感と幸せが 全身を駆け巡る! 軽い絶頂でも これからその気持ちよさが 更に倍に倍に膨らんでいく」

そして終盤は抱き合ったままお互いの心をひとつにする形で絶頂を迎えます。
カウントとドラム音に合わせて連続で9回絶頂するハードなフィニッシュですから
ドライ慣れしている人ほどより大きな快感が得られるでしょう。
ここでも音をトリガーにしてタイミングよく絶頂を促してくれます。

連続絶頂タイムが約3分間とかなり長く、最中は股間を中心にきりきりと筋肉が引き締まり
それに合わせて痺れるような快感が走り続けていました。
射精による刹那的な快楽とは明らかに違う、幸せな感覚を伴った快感です。

このように、女性に愛される幸せを強く実感させてくれるエッチが繰り広げられています。
心身が同時に満たされる作品
声と音楽で癒しの気分とドライオーガズムの両方を味わわせてくれる優れた音モノです。

お姉さんと女の子は常にバックでシーンにふさわしい音楽を流しながら
様々な方向性を持つ暗示を使って少しずつ聴き手を作品の世界へと導きます。
サークルさんが相当に苦労されたというだけあって音楽のレベルは極めて高く
言葉では伝わりにくいその場の雰囲気を見事に表現しています。
同じく音楽を流していた過去2作と比べても細部の作りが明らかにパワーアップしています。

そして音楽ありきな作りでありながら、暗示の存在感も十分に出ているところが面白いです。
彼女たちは音楽に決して甘えず催眠・エッチいずれもほとんどのシーンで言葉をかけ
それらの効果により催眠を深めたりエッチな幸福感を高めようとします。

音楽があったほうが楽しめるのは間違いないのですが
それが無かったとしても催眠に入れそうなほど技術の使い方や暗示の質が高いです。
催眠音声としての大事な部分をしっかりと維持しつつ
オリジナリティを加えているからこそ、音でイく快感が得られたのだと思います。
声と音楽のバランスが高い領域で保たれています。

催眠は現代催眠寄りだった前作「怪しい団体のマインドセッション催眠」とは違い
古典から現代へと繋ぐハイブリッド形式が採られています。
特に前半で得られるリラックス感は相当なものでした。
後半も催眠っぽさをぼかしながら誘導する上手な使い方がされています。

エッチは音催眠を強く意識したものです。
絶頂の回数と時間が多いおかげでドライの感覚は得やすいのですが
音楽が結構重低音を多く鳴らすタイプであること、声に対するボリュームがやや大きいことから
人によっては催眠状態を維持するのが難しく感じるかもしれません。
クラブハウスの音楽にどれくらい馴染めるかで快感の大きさが随分変わると思います。
淫語と喘ぎ声ごく僅か、ちゅぱ音はありません。

独特な世界観とプレイが味わえる非常に個性的な作品です。
音楽の好みにより若干人を選ぶ部分があるかな?と判断し、少し点数を引きました。
この手の音楽が好きな人なら間違いなく点数以上の満足度が得られます。

CV:沢野ぽぷらさん
総時間 共通パート…54:55 リラックス運動(オリジナル版)…13:07 リラックス運動(短縮版)…7:07


オススメ度
■■■■■■■■□□ 8点


体験版はこちらにあります

2021年5月6日追記
再レビューをアップしました。
http://doonroom.blog.jp/archives/85750834.html