サークル「ftnr×kuroko.ぷろじぇくと」さんの無料の催眠音声作品(全年齢向け)。

サークルさんの活動開始1周年を記念して製作されたこちらの作品は
声質の違う2人の姉妹が交互に、あるいは同時に語りかけながら催眠をかけてくれます。

催眠音声における最初の関門である「催眠に入る」ことをできるだけ多くの人がクリアできるように
事前の準備から最中にかけられる一つ一つの言葉に至るまで
すべての要素が親切丁寧に作られているのが特徴です。

催眠そのものについても比較的誰でも感覚が掴めるものを題材にし
それを2種類の違ったパターンで段階的に実感させながら進めています。
今回はサークルさんが初回用に推奨されているA-typeのレビューをお送りします。
2人の声に包まれながら少しずつ催眠の世界へ
姉と妹の2人から同時に催眠をかけられるお話。

姉「いらっしゃーい …って 何であんたが来たの?!」
姉は穏やかで落ち着いた声のお姉さん。
妹「いらっしゃーい …って 何でおにーちゃんが来たの?!」
妹は素朴で可愛い声の女の子。
2人が勤めている催眠のお店を探し当ててやってきた主人公にちょっぴり驚くと
そのご褒美として心地よい催眠をかけてあげます。

本作品は名作「双子のいいなり」に代表される双子システムが取り入れられており
物語の最初から最後まで2人が交互に、あるいは同時に語りかけながら催眠を行います。
2人の声の担当が別の人なので声質にはっきりとした違いがあり
音の微妙な差や左右に小まめに意識を揺さぶられる感覚が実に心地いいです。
慣れている人なら本格的な催眠が始まる前から頭がぼんやりしてくるのを感じるでしょう。

もう一つの大きな特徴は初心者を強く意識しながら催眠を進めていること。
姉妹は主人公が催眠状態そのものの心地よさを存分に味わえるようにと
最中に鼻が痒くなったら掻いてもいい、催眠が解けそうになったら深呼吸をしてここまでのことを思い出す、など
催眠を開始する前の段階から簡単な心構えを説明してくれます。

こうやって書くと勉強みたいな堅苦しいものに思えるかもしれませんが
実際は催眠を進めながら砕けた口調でちょこちょこ説明する場合が多いです。
催眠誘導の方法そのものを初心者向けにセッティングしている感じです。

また今回紹介するA-type以外にB-typeが用意されているパートもあり
A-typeを聴いてもあまり実感できなかった場合はそちらに差し替える案内がされています。
本当に誰でも催眠を楽しめることを目指した親切設計が魅力です。
聴き手の潜在能力を引き出していく極めて丁寧な催眠
催眠はほぼ全編にあたる8パート76分間。
一番最初の予備暗示パートは本格的な催眠を始める前の準備運動として
自分の心にある無意識を手でこね回すイメージをします。

姉「モヤモヤとした無意識を               両手で       くにくにしてみて       」
妹「               散らばっている無意識を    手のひらで          捏ねてみて」
こんな風に声が被らないよう間をあけながら語りかけてくる姉妹の声を聞きながら
無意識を自分の好きな形で思い描き、パンを作るように動かしてみましょう。
姉妹も無意識の形状を軽い当たりをつける程度の曖昧な表現に留めています。

何のためにやっているかよくわからない行為に見えるでしょうが
これは催眠において重要となるイメージ力や集中力を高めるのが目的と思われます。
また無意識をこね終わった後にそれを姉妹に手渡すシーンがあり
それはこれから行う催眠を受け入れることの証と言えます。
催眠は平たく言うと聴き手の無意識に働きかける行為だからです。
こんな感じで姉妹は催眠を進めながら催眠に入りやすくなる環境を着々と整えていきます。

次のパートから始まる本格的な催眠の手始めは深呼吸。
事前に体の中に溜まっている疲労をこねくり回すイメージをしてから
それらが呼吸に合わせて血管を通って体外に吐き出されていくのを感じます。

姉「息を吸うことで血管の中を酸素が巡っていく 脈に合わせて 酸素が体中を進んでいく」
妹「息を吸うことで酸素が血管の中を巡っていく 理科の教科書で見たような球体が血管の中を進んでいく」
深呼吸も1回ごとにとてもわかりやすい表現を、息が苦しくならないよう間を考えながら言ってくれます。
また直前の疲労をこねくり回すイメージは前パートで行った無意識に対するものと酷似しており
聴き手が経験したものをそのまま活用するわかりやすいアプローチが取られています。
これが本作品を初心者向けと言う大きな理由の一つです。

姉「準備運動って言ったけど まぁ 催眠に慣れてる人はこれだけでも十分 トランス状態になっちゃってるかもね」
妹「ぼーっとしてる状態 そう 今みたいに ちょっとだけ 意識レベルが下がっている状態 これが トランス状態です 正確にはトランスの入り口なんだけどね」
初心者向けなところをもう一つ紹介しますと、姉妹は各パートの冒頭で必ず現在の精神状態を確認します。
こういうインターバル部分がないと自分を省みる機会がないため
聴いている最中に自分がどれくらい催眠に入れているかが認識しにくいものです。
催眠をかけるのは2人ですが催眠状態に入るのは聴き手自身です。
だから心身の感覚を自覚させる時間が適度に設けられています。

心身のリラックスができたところで姉妹はいよいよ暗示を使ってこちらの感覚を操作し始めます。
本作品で扱っている題材は重感と温感。
具体的に言うと体が重くなる感覚や体が温かくなる感覚を楽しみます。
催眠において多くの人が体験しやすい初心者向けの感覚ですね。

姉「関節に錘を付けられたみたいに             重い     沈んでいく   」
妹「                    腕全体が鉛のように   ぐーっと       重い」
いつも以上に重くゆっくりとした口調で左右から交互に聞こえてくる「重い」「沈む」といった暗示によって
体にうまく力が入らない、入れたくなくなる気分が徐々に広がっていくのを感じます。
利き手→反対の手→両足の順に生まれた感覚をコピーしていくだけですから
最初さえうまくいけば徐々に心地よい脱力感が広がっていくのを実感できるでしょう。

続く温感についてもお風呂に入るイメージを使ったごくごく簡単なものです。
特に手のひら、足の裏、お腹のあたりにじんわりとした温かさが感じられました。
姉妹が少し無言になってこの感覚を楽しむ時間が設けられていたりと
あらゆる部分が聴き手に催眠の感覚を掴んでもらうところへ集約しています。
一瞬で催眠状態へと戻る心地よさ
催眠状態特有の感覚をそれなりに味わったところで
最後の仕上げに姉妹は主人公を深い催眠状態へと導き始めます。

姉「更に沈んでいく       そう 奥深くまで         着実に      沈んでいく」
妹「          奥深くまで          止まることなく     緩やかに沈んでいく」
湖や海といった大きな水の中に沈んでいくイメージをしながら2人の暗示に耳を傾けていると
ここまであった重さ、温かさ、心地よさ以外に
頭の中が地面へと吸い寄せられるような不思議な感覚がするかもしれません。
「すーっと落ちる」「ずーんと沈む」と表現される、催眠が深まった時に味わえる感覚です。
姉妹も深化をしながら現在の心と体の状態を確認するセリフを投げかけてくれます。

本作品の深化はこれだけではありません。
一度深い催眠状態に誘導した後わざと一旦覚醒させ
それからとあるキーワードやカウントを使って一気に催眠に入る感覚を味わわせます。
姉妹が作中でも言っている通り、これらを往復することで催眠がより深くなるからです。

ここまで来ると音声を聴く前に比べて催眠に随分慣れているでしょうから
キーワードを聴いた瞬間、体の中心に軽い電流が走るのを感じたり
カウントに合わせて全身が布団に吸い込まれていく感じがする人もいるでしょう。
そして直後に行う再度の脱力シーンで先ほど以上の脱力感や無気力感を感じるはずです。
姉妹は催眠の入り具合によって得られる感覚の違いも教えてくれるわけです。

姉「私が喋る度       私が誘導する度          意識が左右に振られる             」
妹「       私が喋る度          私が誘導する度              意識がぐらぐらしてくる」
それ以外にも2人の声に妙な心地よさを感じるでしょう。
2人を信頼し、様々な技術を受けながら徐々に催眠を深めていった結果
その声だけで自分の心がドロドロに溶かされていく思いがしました。
でもそれは決して嫌な気分じゃなく、むしろとても幸せなものです。
この感覚も催眠音声における醍醐味の一つと言えるでしょう。

このように、とことんまで初心者を意識した極めて丁寧な催眠が繰り広げられています。
超初心者向けの作品
催眠音声初心者から数百本聴いている玄人まで誰でも楽しめる作品です。

催眠音声をまったく聴いたことのない人でも無理なくついていけるように
姉妹は催眠の最初から最後まで常に聴き手に気を配りながら
できるだけ平易なイメージや技術を使って催眠状態を深めます。
この手の作品と言えばListenable pharmacyさんの「Powerful Drug」や「Tablet Case」が有名ですが
「初心者向け」という点で本作品はこれらに勝ると私は考えています。

その理由はイメージとアプローチが極めて初心者向けだからです。

まずイメージはお風呂や湖といった誰にでも想像できるもので統一し
水面の色、周りにいる動物たち、風の強さなど周りの環境までイメージするよう働きかけています。
湖ひとつを取っても地域や季節によって様々な違いがあるわけで
それらをより鮮明にしていったほうが入った感覚や沈んでいく感覚がイメージしやすくなります。
お風呂や湖そのものではなく空間全体を視野に入れているところが新鮮に思えました。

もう一つのアプローチは感覚の吊り上げ方と伝播のさせ方が絶妙です。
具体的な例を挙げると、重感のパートで脱力感を湧き上がらせる際に
姉妹は右手、左手と特定せずわざと利き手が重くなると言っています。
これは利き手の方が普段からよく使っているぶん感覚の変化が掴みやすいからです。
催眠とは直接的に関係の無い、人間が持つ習慣を考慮しながら催眠を組み立てています。

そして反対側の手を脱力する時も利き手の感覚をそのままトレースさせています。
一度得られた感覚を移動させるのは新規に別の感覚を得るよりもずっと簡単です。
「経験」という無意識にある素材をそのまま活用しているからやりやすく感じるのです。
重感と温感はかなりの人が実感できるのではないでしょうか。

姉「ぐるぐる     なんてしないよ  頭の中      真っ白     じゃないよね」
妹「     ぐるぐるなんてしないよ       頭の中は     真っ白じゃないよね」
双子システム特有の左右から繰り出される暗示も一切隙が無く
表現や間が練りに練られたセリフによってとても幸せな気分が味わえます。
姉と妹で暗示の性質が微妙に違うから聴いてて面白味があり
催眠音声としての個性や魅力も十分以上に持っています。

聴いた限りですとA-typeだけでも十分入りやすくなっていますので
よほど被暗示性が低かったり相性の悪い人でもなければB-typeを聴くことにはならないと思います。
ここまで丁寧な作りをしているのに更なる保険を用意しているところも素晴らしいです。

全年齢なのを差し引いてもすべての人に一度は聴いてみて欲しいと言える作品です。
夏にはエロ有りの続編を予定されているようですし
サークルさんの今後のご活躍にも大いに期待したいです。

CV:姉…ftnrさん 妹…kuroko.さん
総時間 A-type…1:27:24 B-type…1:29:37 NG集…4:39 音声の合計時間…2:12:25

ftnr×kuroko.ぷろじぇくと
http://futakuro.x.fc2.com/