瞳を覗けば熔かされる

サークル「キャンドルマン」さんの催眠音声作品。

前作「おゆうぎのじかん」から実に1年7ヶ月ぶりの新作にあたるこちらは

魅力的な瞳を持つお姉さんを見つめたり、逆に見つめられながら催眠へと入り
その後エッチなゲームをしながらマゾへと堕ちる快感を楽しみます。

スライドショーを見ながら音声を聴く非常に珍しいスタイルが特徴で
彼女はしきりに自分の目を見るよう呼びかけながら巧みな暗示を叩き込むことで
こちらの心と体の両方をぐにゃぐにゃの状態へと導いていきます。

エッチも一見簡単そうなのですがM心をくすぐるものばかり。
自分で自分を貶め、彼女の言いなりになっていく気分がたっぷりと味わえます。
瞳を見れば見るほど催眠に落ちていく
お姉さんの催眠でマゾ心を開花させ、彼女の奴隷になるお話。

「こんにちは お兄さん これが何なのか わかった上で観てるんだよね?」
お姉さんは明るくて可愛い声の女の子。
彼女自身の自己紹介などはせずに準備が整っているかを確認すると
主人公に自分の目を見るよう呼びかけます。
chandleman












本作品は音声作品では珍しくMP4形式のファイルになっており
再生すると上の画像のような彼女の姿が映し出されます。
そしてセリフやシーンに応じて8パターンくらいに仕草が変化します。
催眠をかけてくれる術者と実際に対面しているような気分が味わえるわけです。

またタイトルからもなんとなく連想できると思うのですが
本作品は「見る/見られる」ことを強く意識させるシーンが随所に登場します。
催眠中は彼女が何度も紫色の瞳を見つめるように言いますし
エッチに入ると今度は彼女がこちらの痴態を見ていることを何度も言ってきます。
目を瞑って聴くことが当たり前な催眠音声ではまさに異例の作品です。

催眠は58分30秒とかなりの長時間。
まずは彼女のどちらかの瞳をじっと見つめながら声に耳を傾けます。
ちなみに本作品は座った状態で聴くのがデフォルトです。

「私の瞳の奥を覗き込むように じーっと見ていると 瞬きがだんだんと増えてくる」
「瞬きに揺さぶられるように 今度は頭までゆらゆらと揺れ始める」

瞳の不思議な彩りやぼんやりとした声が何やら妙に心地よく
瞼の重さや意識の揺れが割と早い段階から実感できるようになります。

「落ちこぼれの生徒みたいに 内容を理解するどころか 起きているだけで精一杯」
「ぽわーんてしてて ぼーんやりしてて ねむーくって とーっても気持ちいい」

また彼女はストレートに「頭が揺れる」と言うだけでなく
退屈な授業で眠くなったときのイメージを持ち出したり、擬声語を交えたりと
様々な方向から聴き手に感覚を伝える暗示を入れてきます。

相性が悪くてどうにも催眠に入りにくく感じた経験がある人ほど
やりやすさや入りやすさを感じるのではないでしょうか。
今まで数々の名作を世に送り出してきたキャンドルマンさんの実力が
今作でもあらゆるシーンで十分過ぎるほどに発揮されています。
全編を通じて暗示の入れ方や表現力がずば抜けて優れています。

お次は本格的な催眠状態へと入る動作として
お馴染みのカウントを数えるのに合わせて目を閉じ、再度のカウントでもう一段階催眠を深め
それから別のカウントで目を開ける動作を2度繰り返します。
目を閉じるのに合わせて画面もしっかり暗くなります。

「心地よい眠りにすーっと落ちていくような 心の奥底に すーっと降りていくような とーっても気持ちいい 不思議な感覚に沈んでいく」
催眠音声では色んな作品で使われている結構メジャーな手法なのですが
キャンドルマンさんなだけあって内容はとてもとても濃厚。
最初のカウントを数える前にはおよそ3分間にも渡る入念な前暗示を入れ
その後も1回目は体の脱力や温かさを感じさせるもの
2回目は体にエッチな熱を沸きあがらせる類の暗示を囁き声で入れ続けます。

「私が近くにいて 自分のことを見ながら 言葉をかけてくれている そう思うたびに そう感じるたびに なんだか胸のあたりに 不思議な温かさがこみ上げてくる」
ここで個人的に最も印象的だったのが1回目の体を温かくするシーン。
上の暗示を入れられた瞬間、胸のあたりに温かいお湯をかけられたときのような
生ぬるい温もりがぶわーっと湧き上がってきました。

言われた直後に実感できるレベルで感覚が大きく変化するのがとても面白いです。
彼女の催眠にかかり、操られているのを実感できた瞬間です。
脱力についてもうまく力が入らないふにゃふにゃな感覚が全身を覆います。

「性欲と羞恥心が また激しく葛藤を始める どちらも 普通の人にあって当たり前のもの」
「そう 君がマゾだから 屈辱に 堕落に 敗北に快感を覚える 卑しく浅ましい存在だから」

2回目は先に述べた熱以外にマゾ心の活性化にも力を入れており
その際一旦理性を活性化させ、エッチな欲求とせめぎ合わせるアプローチがされています。

理性を持った状態で堕ちたほうが普通に堕ちるよりもずっと背徳的です。
彼女は聴き手がマゾの扉を開き、その魅力の虜になるように
わざとそういったスパイスを用意してくれているわけです。

古典催眠の技法をベースに、濃厚な暗示で的確に誘導していく極めてレベルの高い催眠です。
聴き手のマゾ心を表面化させることを目的に、まずはしっかりと深い催眠状態へと導き
それから感覚を徐々にシフトさせる形で核心へと近づけていきます。
やってること自体は至ってシンプルなのですが、暗示のクオリティが桁外れに優れており
彼女に言われたとおりの感覚を実感する人が続出するでしょう。
私も催眠が持つ可能性の素晴らしさを改めて思い知らされました。

テーマとして掲げている「見る/見られる」ことについても
序盤は古典催眠では定番の凝視法を取り入れていますし
その後は瞳を見ることによる集中力の強化や
逆に見られる恥ずかしさによる感度の上昇へと繋げています。
イレギュラーなタイプだからこそ、彼女の存在をすごく近くに感じられました。

まとめると、言葉にできないほどの素晴らしさを持っている催眠です。
暗示の内容的に催眠に不慣れな方でも楽しめると思います。
マゾの世界へ少しずつ引きずり込んでいくエッチ
エッチシーンは36分30秒ほど。
プレイは玉揉み、オナニーです。

エッチな効果音はありません。
セルフは有りになります。

「私と精気をかけて ゲームをしない?」
催眠を使って主人公のマゾ気質を強化したお姉さんは
とある3つのエッチなゲームを提案し
それに1つでも勝ったらマゾ心を解消してあげるが
負けた場合は生死に影響を与えないレベルで精気をいただくと言います。

エッチは彼女の提案した3つ(厳密には4つ)のゲームをこなします。
催眠誘導の最後で目を開ける指示が出されるため
常に目を開けたままプレイに取り組むところが少し珍しいですが
かなり入念な催眠を施されていること、ゲーム中も暗示を入れ続けてくれることから
途中で催眠状態が解ける人はそこまでいないと思います。

最初に行うのは「握っちゃダメゲーム」。
名前の通り彼女が10カウントを数える間におちんちんを握らなければ勝ちです。
普通の精神状態なら誰でもクリアできる至って簡単な試練ですね。

しかし彼女は当然のようにカウントの合間に暗示を叩き込むことで
こちらがそれを達成できないような心理状態へと追い込みます。
シンプルながらも催眠らしさが非常に濃いプレイと言えます。

「握りたい気持ちが強くなるほど だんだんと指先の感覚が曖昧になっていく」
「舐め溶かすように指が絡みついて 内側にあるかたーい意思が やわらかーく くにゃくにゃとろとろに溶かされていく」

このゲームのポイントは「おちんちんさえ握らなければOK」なこと。
そのルールを見据えて彼女はまず気持ちが高まる暗示を入れ
それから太もも→金玉の順に優しく撫でる指示を与えます。

暗示ですから催眠に入っていればそれを拒むのはなかなかに困難です。
最後の10カウントで握った瞬間、生暖かい快感が全身に広がるのを感じました。

本作品のエッチは彼女が少しずつ上位の快感を与えるシーンが多く
わざと甘美な快楽を少しだけ与え、より多くを求めたくなるよう自然に心を誘導します。
最終的な決定権を聴き手に委ねているからこそ余計に悪辣に思えます。
サークルさんの過去作「Parasite ~寄生概念~」に似た部分を持っています。

彼女のスタイルが最も色濃く出ているのが2番目の「センズリ猿ゲーム」。
10カウント以内にオナニーを始めなければ勝ちの、これまた単純なゲームです。

「頑張るねぇ それじゃ1回だけ見逃してあげる」
彼女はわざと指定した回数だけおちんちんをしごくことを許し
それによってもっとしごきたくなる欲求を嫌と言うほどに刺激します。
ここまでずっと物理的な責めをしてこなかっただけに
1回擦った瞬間、えもいえない幸せな快感が湧き上がるはずです。
彼女は一見簡単そうなゲームをとても難しいものにすることに成功しています。

残り2つのゲームは言うまでも無くより大きな快感を孕んだプレイです。
快楽に溺れ、彼女のペットに成り下がるのを実感しながら射精する。
Mな人ならたまらない魅惑のひと時が味わえるでしょう。

このように、催眠の技術を使って上手に心を折るプレイが繰り広げられます。
Mであるほど楽しめる作品
催眠・エッチいずれもこの上なく洗練されている名作です。

お姉さんによる濃厚できめ細かな催眠で少しずつ心と体を侵され
気づいたときには自分ではどうしようもないほどまでに主導権を握られてしまいます。
催眠の後に続くエッチもその事実を実感させながら行われていくため
自分が調教され、彼女の言いなりに成り下がった気分がたっぷりと味わえます。

この作品の最も恐ろしいところは
彼女が何をしてくるのかがわかりきっているにも関わらず
それを回避したり乗り越えるのが非常に困難
なことです。

彼女は聴き手が絶対にそうならざるを得ない状況になるように
しかも自分からそう願いたくなるように様々な暗示を駆使して誘導し続けます。
そのキーとなる暗示の表現力がまさに芸術レベルとしか言いようがありません。
まるでサークルさん自身がこのプレイを実際に体験し
得られた諸々の感覚をそのまま言葉にしたかのような的確さを持っています。

聴いてる最中はそのあまりの素晴らしさに魂が震える思いがしました。
こんな体験ができる作品なんてそうそうありません。
キャンドルマンさんだからこそ形にできた作品と言えます。

催眠は処女作「催眠メルトダウン」で使われていた技法を一部取り入れながら
作品のテーマである「視線」を強烈に印象付けてきます。
エッチの内容も考えると、サークルさんがこの作品に原点回帰の思いを込めているのかもしれません。
しかし過去作で培われてきた技術をふんだんに用いているだけあって
催眠に入りやすく、感覚を操作される気分がとても味わいやすくなっています。

エッチはM向けではありますが変態と言うほどではありません。
聴き手の中に潜むマゾ心を吊り上げ、それを的確に膨らませていきます。
堕落する精神的な快楽がオナニーの快感を大きく助け
最後に訪れる射精の快感を普段よりもずっと質の高いものへと押し上げています。
淫語ごく僅か、ちゅぱ音と喘ぎ声はありません。

目を開けたまま聴く奇抜なスタイルによる個性のみならず
純粋な催眠音声としても極めて高い領域にある珠玉の作品です。
価格も2時間で1500円なら別段高いと言うほどでもありません。
以上を踏まえて本作品をサークルさんでは3本目の満点とさせていただきました。

CV:桃華れんさん
総時間 本編…1:43:01 解除…19:31

オススメ度

■■■■■■■■■■ 10点


体験版はこちらにあります

2016年1月3日追記
昨年12月に画質を改良したバージョンがサークルさんのサイトに掲載されています。
購入者のみがわかるパスワードが必要となります。
http://candlemanhypnosis.blog16.fc2.com/blog-entry-34.html


2022年1月17日追記
再レビューをアップしました。
https://doonroom.blog.jp/archives/87548431.html