ご耳愛部!~愛雪の章~

サークル「藤和工場」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

昨年4月に第1作が出て以来シリーズ3作目にあたる本作品は
旧校舎の保健室を舞台に明るく爽やかな女の子が
頭部のマッサージと耳かきで癒しを提供します。

春の訪れを感じさせる優しい風や鳥の鳴き声
そして彼女が語る雪に関するお話など
冬から春へと移り変わる季節感を重視しながらサービスを行っており
その静かで落ち着いた雰囲気が自然と心を解きほぐしてくれます。



麗らかな春の陽気に包まれて
ご耳愛部の部長「紬愛莉(つむぎあいり)」に癒してもらうお話。

「んんっ ああ…ご耳愛部へようこそ」
愛莉は明るくて優しい声の女の子。
旧校舎保健室のベッドでシーツに包まっているところを主人公に見られ
「これは雪原を泳いでいるのだ」と彼女が答えるところから物語は始まります。

シリーズ作品ですので背景を簡単に説明しますと
ご耳愛部は学校の正式な部ではないのですが
彼女を初めとする構成員たちが心に疲れを感じている人たちに対して
サービスで体を、勇気付けるような会話で心をリフレッシュさせています。

雰囲気は家庭と専門店の中間あたりに位置づけられる感じでしょうか。
家族や彼女ほどの親しさは無いのだけれど、お店のようなよそよそしさも無い
言うなれば友達くらいの親しさで愛莉は接してくれます。

そして今回は時期が春先ということもあって
作中の様々なシーンで季節を感じさせる演出を取り入れています。

例えば音声が始まった直後から風が緩やかに流れる音がしたり
ウグイス等この時期に見かける鳥の鳴き声が適度に聞こえてきます。
藤和工場さんは以前からそうなのですが、環境音の質が一際優れており
そのクリアでナチュラルな音の数々が爽やかな気分にさせてくれます。

「このご耳愛部は そういう翼がちょっと疲れたなぁって人が 羽を休める場所 渡り鳥が越冬する湖 そんな場所」
愛莉のセリフにも季節感を取り入れているのがいいですね。
「春だから~」みたいにストレートな表現をあまり使わず
「雪で遊びたかったけど今年は降らなかった」など
聴き手に連想させる言い回しが多いです。

こういった諸々の要素に統一感があり、そのすべてが柔らかいからこそ
作品全体に癒しに適した穏やかで落ち着ける空気が流れています。
この後登場するサービスの効果音も全体的に優しいもので揃えられています。



雰囲気を大事にしながら行われるサービス
本作で行われるサービスは大きく分けて2つ。
最初に登場する頭部マッサージ(約8分)は
専用のローションをまぶした指で側頭部・後頭部・耳・肩を優しく揉みます。
染み込んで乾くタイプらしいので洗い流すシーンはありません。

マッサージは頭部だと「シャク ジョリ」と若干ざらつきのある軽快な音
耳や肩ではが「こりゅ ぐりゅっ」と頭部よりも滑らかな音が使われており
最初はこめかみのあたりを左右交互に
しばらくすると後頭部を左右にゆっくりスライドするように、といった感じで
部位ごとに効果音の位置・ボリューム・質感を微妙に変化させながら行います。

髪のある頭部と肌を直接揉む場合できちんと別の効果音が用意されていますし
動かし方も理に適っていて比較的レベルの高いマッサージだと思います。
特に側頭部は耳に近いこともあって程よい刺激が感じられました。

「張りすぎた糸は ピンと 見た目はよくあるけれど 少しの傷から 突然切れることもあるから」
マッサージの最中は愛莉が適度にマッサージに関するお話や
ちょっぴり詩的な言い回しで肩の力を抜くよう働きかけてくるシーンもあります。
そもそもの時間が短いので、そこまで様々な話題が出るわけでもないのですが
作品の世界に浸る掴みとしての役割をきっちり果たしていると言えます。

その後に行うメインサービスの耳かきはおよそ21分間。
ベッドに横になりドーナツ型の枕に頭を乗せた状態で
右→左の順に耳かき棒で一通りお掃除してから梵天と息吹きで仕上げます。

耳かき棒は「ソリソリ ジョリ」と乾いた軽い音が使われており
全体的にやや速いペースで短いストロークを描きながら
耳の中から外へ掻き出すような動きを何度も繰り返します。

こうやって書くと乱暴な耳かきに思えてしまうかもしれませんが
ペースは速くても音そのものはかなり柔らかく設定されていますし
動かし方が1分くらいの短い間隔で変化する繊細な耳かきがされています。
主人公の耳質が乾燥系らしいので、リアルでもそういう人のほうがしっくりくるでしょうね。

「私が好きなのは 雪が降って積もったあと そこから覗く わずかな色よ それを作ってくれる雪がすき」
最中の愛莉は上のような春を感じるセリフを言うシーンが一部あるものの
マッサージに比べると会話量が一気に減り
軽く掛け声を上げるだけの時間がかなり長く取られています。

効果音と環境音だけが流れ続ける時間はとても静かで落ち着いており
そのまま眠ってしまいたくなるほど安らぐ思いがしました。
サービスはシンプルなのですが雰囲気作りがしっかりしているなと。

このように、季節を意識した爽やかで柔らかいサービスが繰り広げられています。



春らしさに溢れた作品
諸々のサービスによる純粋な癒しだけでなく
春という季節の良い部分を使った別方向の癒しも与えてくれる作品です。

冒頭の雪に関するお話を初め作中で交わされる愛莉との会話
全編を通じて流れ続ける春らしい環境音など
一般的な癒し系作品に比べて、春ならではの要素を意識的に多く盛り込んでいます。
しかもそれらが全部遠まわしに伝えてくれるように作られているおかげで
くどさがなく、聴いていると自然に感じられるあたりに留まっています。

中でもパートの終了時など丁度会話が途切れるところで
意図的にウグイスの鳴き声を鳴らす、といったように
環境音のクオリティやそれを鳴らすタイミングが絶妙に思えます。
サークルさんもこれらの演出にかなり気を遣われたのではないでしょうか。

サービスそのものについては全体的に内容が大人しく
ご耳愛部ならではの部分が特に見られなかったのが少々残念ですが
意識して力を抑えた諸々の効果音が作品のイメージにマッチしています。
耳かきのシーンで掃除をしていない側の耳に聞こえてくる環境音を
耳が軽く塞がれている時のようなこもったものにしていれば尚良かったです。

「愛しさだけ 胸に抱いて 行きなさい 今度は いつかの季節で 星空の海を一緒に泳ぎましょう」
愛莉は音声作品に登場する他の女の子に比べて詩的なセリフを言うことが多く
これも作品にちょっとしたアクセントを与えています。

寒さが消えて夏へと向かいつつあるこの時期にこそ聴いてみてほしい作品です。

おまけはさくら真咲さんのフリートークです。

CV:さくら真咲さん
総時間 本編…37:39 おまけ…3:23


オススメ度
■■■■■■■□□□ 7点


体験版はこちらにあります

追記
サークルさんのサイトで本作品のエクストラパートが無料で公開されています。
臨場感のある囁きと耳舐めが楽しめますのでどうぞお聴きください。
http://factouwa.blog.fc2.com/blog-entry-46.html