紅月ことねの胎児期退行催眠

サークル「Novel-Trance-Lab」さんの催眠音声作品(全年齢向け)。

今回紹介する作品は、声優の紅月ことねさんが実の母親になって
甘やかしながら心身をリフレッシュさせてくれます。
心地よさを感じるイメージ、安らぎを感じるセリフの数々など
すべての要素が癒し一色に染まっており
聴いているだけで自然に眠くなったり意識がぼんやりとしてきます。

催眠誘導後の赤ちゃんになるシーンも癒し要素満点。
リアルの嫌なことを綺麗さっぱり忘れ
スッキリした新しい自分に生まれ変わることができます。



ことねさんの赤ちゃんになろう
紅月ことねさんの赤ちゃんになって癒されるお話。

「催眠が好きで わくわくしている方も 催眠は初めてで ちょっぴりドキドキしている君も ごきげんいかがですか?」
ことねさんは清らかで温かい声のお姉さん。
聴き手がリラックスして作品を聴けるように
まずは催眠に関する簡単なお話をしてから催眠誘導を始めます。

本作品は催眠音声ではあまり見かけない幼児退行をテーマとしており
最初の半分近くの時間は赤ちゃん要素一切なしにきっちり催眠状態へと誘導し
その後はイメージを使って彼女の赤ちゃんになった気分にさせてくれます。
生命の誕生にちなんだ用語(精子、卵子、子宮など)を言うシーンがあるものの
彼女がエッチなお世話をしてくれることは一切ありません。
純粋に女性に甘やかされて癒しを感じるのを目的としています。

世間一般的には催眠音声=エロの印象が強いのですが
催眠にあまり慣れていない人は本作品のような全年齢向けこそ
催眠に集中できるという意味で音声をより楽しみやすいと言えます。
また最近うまく催眠に入れないなどトラブルを抱えている人にも向いている作品です。

「突然ですが リンゴの皮を剥けますか?」
本格的な催眠を始める前のお話の内容はイメージに関するもの。
頭の中でリンゴの皮を剥き、飾り切りするまでを軽くイメージするように言われます。
催眠、赤ちゃんどちらにも直接関係ない話題に拍子抜けするかもしれません。
しかしこれは催眠にとって重要となる集中力のトレーニングになります。
こんな風に彼女はあまり堅苦しくないスタイルで聴き手を催眠に導いてくれます。



イメージに暗示を絡めた綿密な催眠
催眠誘導はおよそ26分間。
最初はことねさんに言われた通りの風景をイメージしながらリラックスします。

「白い綿菓子みたいな雲が ゆったりと 流れていく ゆーっくり ゆーっくり 流れていく」
今回イメージするのは彼女と2人で白いボートに乗り
波に揺られている、といったもの。
青い空、白い雲、そして心地よい日差しやほのかに伝わる波の揺れを
彼女はわかりやすく描きながら同時に心地よさを感じる暗示を入れてきます。

彼女の声が催眠開始前とは打って変わって穏やかになり
セリフを細かく区切りながらゆっくりと語り掛けてくれるのもポイント。
心安らぐイメージと声の雰囲気が見事に噛みあっているおかげで
開始10分もしないうちに強烈な眠気が襲ってきます。

「両肩の筋肉が 穏やかに とろーんと ほどけて 力が 抜けていく」
イメージの世界に十分に浸った後は脱力。
体を上から下になぞるように力を抜き、さらに同様の方法で温かさを感じます。
この時点でおそらく多くの人が体を動かしたくない衝動に駆られているでしょう。
「心地いいから体を動かしたくない」そんな自然な脱力感が味わえます。

「どんどん若くなっていきます そして 子供の頃に遊んた おもちゃを見つけます」
そうやって聴き手を十分に暗示を受け入れやすい状態にしてから
ことねさんはようやく長めのカウントを数えて幼児化を進めていきます。
1カウントごとに紡がれる子供の頃の思い出を引き出すセリフの数々が
そうなりたい願望を上手にサポートしてくれるでしょう。
そして0カウントの後に聞こえ始める心音が赤ちゃん気分を一気に膨らませてくれます。

古典系の催眠法にリラックスを促すイメージを織り交ぜた比較的オーソドックスな催眠です。
深化の直前まで幼児化を一切絡めずまずはしっかりと催眠を深め
それから表現をややぼかして遠回しに気付かせる形で童心に帰らせてくれます。
また全編を通じてかける言葉の表現に細心の注意が払われています。
ですから嫌な気分を一切抱かずにするすると催眠に入ることができるでしょう。

この催眠で個人的にすごく印象的だったところが2点あります。

「寄せては返す 波の音を感じていると さらに深く 深く ふかーく リラックスしていくから」
「とろーん とろーん 深く 深く ふかーく 寛いでいる」

一つ目は上のセリフのようにキーとなる暗示を必ず3回重ねて入れていることです。
しかもきちんとイメージに絡めてくるからくどさがまったくありません。
わざとらしさがないから受け入れやすく、その結果自然に催眠に入れます。

もう一つは最後に数えるカウントを20にしていることです。
数字の20はそれだけだと何の意味もありませんが
「20歳」と言うと日本人にとっては大人になることを意味します。
それを減らしていくことが何を表すかは言うまでもないでしょう。

催眠法自体に作品のテーマをしっかり絡めて違和感を無くしているわけです。
これはなかなかできることではありません。
誰にでも取り組みやすい極めてハイレベルな催眠と言えます。



赤ちゃんになることに奇跡を感じながら
ことねさんの催眠で無事赤ちゃんへと生まれ変わってからは
まず彼女の赤ちゃんになったことを満喫します。

「あなたはもう 何もしなくていいの すべての義務から 完全に解放されて ただそこで 安らかに息づいているだけでいい」
「私の子宮に灯った 命の温もりに ありがとう」

彼女の慈愛に溢れた言葉の数々を聴いていると
体の芯から蕩けてしまうような幸福感が一気に湧いてくるでしょう。
彼女も催眠誘導の時から声のトーンを少し下げ
母親らしい大人っぽい雰囲気を持たせながら語り掛けてくれます。

これだけでも十分に幼児退行気分が味わえて癒されるのですが
本作品の凄さはこれだけではありません。
生命の誕生をテーマとしたイメージを交えながら
聴き終えた後の人生に負けない勇気と活力を与えてくれます。


「いくつもの試練を乗り越えた あなたはエリート 子宮の揺りかごに抱かれる あなたは生命のエリート」
膣内に精子が放たれ、卵子と出会い、そして子供ができる。
言葉ではあまり実感できないのですが、そこに至るまでには数々の苦難があります。
まずは卵子にたどり着かないといけませんし
たどり着いたとしても無事子をなせるのは数億匹の中のたった1匹です。

自分が人間として生まれてきたことは奇跡であり
それを成し遂げたこと自体がまず素晴らしい。
だからもっと自分に自信をもって生きて欲しい。
自分で自分を褒めることができる心境へと導いてくれるわけです。

これだけ聞くと何やら催眠とはかけ離れているように感じるかもしれません。
しかし聴き手を違和感なくそう思わせるにはそれ相応の技術が必要です。
ですからこれも立派な催眠です。
具体的には様々なものをポジティブに捉えられるような暗示を入れてくれます。

「甘えていいよ 求めていいよ 泣いていいよ 腕に包みこまれて 肌の温もりを感じていてね」
そして最後は彼女の体から出て、今度は直に彼女の温もりを感じます。
腕に抱かれながらおっぱいを吸っているシーンで
「あぁ 生まれてきて良かった」と思う人がきっといるでしょう。
少なくとも作品を聴く前よりも自分がスッキリした気分になっているのを感じるはずです。

このように、癒しながらやる気を奮い立たせてくれる催眠が繰り広げられます。



新しい自分に生まれ変わった気分になれる作品
心身のリフレッシュに抜群の効果が見込める良作です。

心にプラスの印象を与える数々の暗示を駆使しながら徐々に催眠を深め
その先もテーマの幼児退行に沿ったイメージを上手に絡めながら
心を安らげ、明日への活力を注入してくれます。
テーマ性の珍しさだけでなく催眠音声としても非常に優れたものを持っています。

「幼児退行なんだから赤ちゃん気分に浸れるのかな?」くらいに思ってたのが
さらに一歩踏み出して心を晴れやかにしてくれるところが素晴らしいです。
催眠と言うとこの界隈ではエッチな気分にしてくれる印象が強いのですが
本来はこの作品のように心をケアするために使うのが正しいのです。

「あなたはもっと 能力 才能を 人に見せてもいい あなたにはそれができます」
「あなたは なりたい自分になれるし そうなってもいい人だから」

そして暗示を入れる際も「~になる」と押し付けるのではなく
聴き手を許容し、その可能性を伸ばす言い回しが徹底されています。
彼女にそう思い込まされるのではなく自分でそう思うからこそ
聴いた後にも暗示の内容がしっかりと心に残るのです。
聴き手の潜在能力を引き出す、実に催眠らしいアプローチと言えます。

幼児退行についてはお腹に入るまでは比較的シンプルに
その後、子宮内にいる気分や生まれる時、生まれた後に力が入れられています。
催眠自体がかなり入念なので割とすんなに赤ちゃん気分に浸れるでしょう。
赤ちゃん言葉は残念ながら登場しません。

テーマ、催眠、その後の暗示といくつもの優れたものを持っている作品です。
非エロを許容できるのなら癒しを求めるすべての人にお薦めします。

CV:紅月ことねさん
総時間 1:08:00


オススメ度
■■■■■■■■■□ 9点


体験版はこちらにあります

追記
本作品は2015年2月1日まで半額以下の700円で販売されています。
その場合の点数は10点です。