おひるねびより

サークル「添音亭」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

こちらは優しい彼女に耳かきや添い寝をされながら
のんびりと休日を過ごす気分が味わえる作品です。
毎回リアルな環境音を聴かせてくれるサークルさんの今回のテーマは「住宅街の音」。
閑静な住宅街ならではの様々な音が自然な雰囲気を形成し、癒しを与えてくれます。



休日は彼女とのんびり
家で彼女とごろごろするお話。

「読み終わっちゃった この本結構面白かったよ」
彼女は明るく穏やかな声のお姉さん。
主人公の恋人として一緒に本を読みながら折角の休日を2人きりでのんびり過ごしています。

本作品は2人が家で過ごしている様子を主に環境音を使って演出しており
音声が始まると早速様々な音が聞こえてきます。
具体的には風の吹く音、車・バイク・飛行機の通り過ぎる音、犬や鳥の鳴き声などです。
そして住宅街らしさを出すために、それらをいくつか重ねるようにして鳴らしています。

実録したとしか思えないほどリアルな音に加えて
現実に即した違和感のない鳴らし方も物語の舞台に臨場感を与えています。
環境音を鳴らす作品自体は最近増えてきているのですが
こういう複合的に鳴らすタイプの作品はまだまだ少なく、強烈な個性にもなっています。

またシーンは少な目なのですが家の中での効果音にも非常にこだわっています。
例えば冒頭で彼女がお茶を淹れてくれるシーンがあるのですが
ぺたぺたと足音を鳴らしてまず冷蔵庫からお茶を取り出し
それからコップを2個持ってきて今度は冷凍庫を開け、氷を入れた後にお茶を淹れる。
これらの動作をすべて効果音のみで表現しています。

今回はバイノーラル録音なだけあって音の位置や距離感もバッチリ。
体験版でも確認できるシーンですので気になった方は是非聴いてみてください。
とんでもなくリアルです。

「今日はお家でまったりプランだから ごろごろするの」
一緒に過ごす彼女も恋人と家で休日を過ごしているのがわかるように
声が常にリラックスしていて聴いていると自然とこちらもほぐれてきます。
どちらかというと音フェチ寄りの作品なので彼女の出番は控えめなのですが
それでも柔らかで温かい物腰が一定以上の癒しを与えてくれます。



移り変わる環境音を聴きながら
最初に行う耳かきは14分間。
右耳→左耳の順にまずは耳かき棒を使って大きな汚れを落とし
しばらくしたら綿棒に切り替えて細かくお掃除するシンプルなものです。
ちなみにここでもバックで常に環境音が流れます。

耳かき棒は「ソリ ズッ」と乾いた軽い音
綿棒は「ショリ ズズッ」と耳かき棒より重く籠った音が使われており
前者は下から上へかき出すように、後者は撫でる感じに動きます。
音も動かし方もリアルな方と言えるでしょう。

家庭的な耳かきらしくそこまで凝ったことを行ってはいませんし
時間についても主人公が定期的に自分で耳かきをしている設定があるため
長すぎず短すぎずで丁度いいくらいだと思います。

「ん? 耳冷たかったから気持ちよくって 嘘だよ 温めてあげようと思ったの」
耳かき中の彼女はあまりしゃべらず主に吐息を漏らし続けます。
こちらも耳かき音や環境音をメインに楽しむような作りですね。
耳かきを終える頃に彼女がおそらく手を使って耳を塞ぐシーンがあり
そこでは実際に塞がれたかのように急に音が聞こえにくくなる面白い感覚が味わえます。

「なんか眠くなってきちゃったなぁ ちょっとお昼寝しよ?」
そして耳かきが終わったところで2人一緒にお昼寝をします。
時間が約40分ありますからここがメインのパートと言えるでしょう。
過去作同様彼女のセリフはかなり少なく、主に寝息や環境音を楽しみます。

リアルタイムに変化する風の強さ、通り過ぎる人や車両、鳥・犬・虫の鳴き声など
本当にその場にいるかのような音の数々が耳に心地よさを与えてくれます。
ここまで多彩な環境音が登場する作品は他に聴いたことがありません。
音声の時間が進むにつれて物語の場面も本当に目まぐるしい変化を見せます。
住宅街らしいというより住宅街そのものです。

そんな中彼女だけはすぐ近くで動かずリズミカルに寝息を立てている。
この静と動の対比が非常に印象的でした。
周りがそれなりに騒がしいからこそ、部屋の中はより落ち着いて感じられるのだと思います。

諸々の音を使って作品の世界を見事に作り上げていると言えます。



多種多様な音を楽しめる作品
環境音や効果音の質や鳴らし方にとことんこだわり
その結果現実世界に近い雰囲気を出すのに成功している作品です。

環境音自体は元々癒しを与える要素として割と昔から使われていたのですが
それらは例えば風の音とか波の音といったように
単一の要素をループさせて使う場合がほとんどでした。
唯一の例外と言えば「立体音響娘2-先輩と図書館に行こう!-」くらいです。

今年に入って桃色CODEさんや藤和工場さんなど一部のサークルさんが
かなりリアルな音を取り入れた作品を出して好評を博していますが
それでもキャラやシーンを引き立てるための脇役に留まっています。
しかし本作品では主役に近いほどの存在感を持っています。
これが一番の驚きでした。

さらに音の位置や距離感までしっかりと表現されているのが素晴らしいです。
車や人の通り過ぎるシーンでそれを強く実感するでしょう。
10秒後にはまったく違った音が聞こえてくるから飽きが来ません。
むしろ「次はどんな音が来るのかな?」とちょっぴりワクワクしてきます。

それ以外の要素(彼女、耳かき、お昼寝)については
あまり過度な演出を行わず環境音に自然に溶け込めるようにしています。
普通は主役になる要素を脇役っぽくしているところもやや特殊です。

注意点は環境音の関係で主にバイクのエンジン音が結構流れることです。
この手の音が苦手な人にはあまりお薦めできません。
リアルさを追求するあまり、肝心の癒しから若干離れてしまっているようにも思えます。

著しく環境音に傾倒した個性的な作品です。
「バックが無音の耳かき音声だと逆に落ち着かない」とか
音声作品にちょっとした騒がしさを求めている人にお薦めします。

おまけは「休憩したら?」「15分仮眠」「目覚まし」の3つです。

CV:浅見ゆいさん
総時間 本編…58:29 おまけ…17:26


オススメ度
■■■■■■■□□□ 7点


体験版はこちらにあります