山奥の隠れ家旅館

サークル「シロクマの嫁」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

こちらは山奥にあるとある旅館で、女の子が様々な癒しを与えてくれる作品です。
シロクマの嫁さんと言えばバイノーラルによる声の立体感やリアルな耳かき音で有名ですが
今回はそれに加えて夏にちなんだ効果音と環境音が登場し
この暑苦しい季節に打ってつけの清涼感をもたらします。



誰も来ない山奥にひっそりと建つ宿
女の子が経営する山奥の旅館で一泊するお話。

「あら お客様かしら?」
女の子は甘く可愛い声の女の子。
人里離れた土地で一人で旅館を切り盛りしている彼女は
たまたま近くに迷い込んできた主人公を優しく宿へと案内します。

本作品は自然あふれる山奥の雰囲気を音だけでしっかりと表現するために
音声開始直後から川の流れる音や鳥の鳴き声といった環境音が流れます。
実際に録ってきたのだろうと思えるくらいにとってもリアルな音ばかりで
それらが物語の進行に合わせて適度に変化しながら継続的に耳を楽しませてくれます。

今回は以前の作品に比べて細かい部分の効果音にも気を配っており
旅館に入って部屋に行って襖を開けたり、グラスに氷を入れてお茶を注いだりと
敢えてセリフを挟まず効果音のみで表現しているシーンがいくつもあります。
サービスの途中で時折鳴る風鈴の音にも風情を感じます。

「さて お風呂にも入ったことですし お庭で花火…なんてどうでしょう?」
最初のサービスは線香花火。
右に陣取った女の子と語らいながら穏やかに飛び散る火花を眺めます。
打ち上げじゃなく線香花火ってのがいいですね。

火をつけた後に鳴る花火の音はチリチリと控えめで
30秒程度の間鳴り響いてからひっそりと消えるのを数回繰り返します。
音自体もそうなのですが点灯している時間や次に移るまでの間がリアルで
聴いていると自然と心が落ち着いてくるのを感じます。

「やっぱり 一人でするより 誰かとする方がいいですね ここは滅多にお客様なんて来ませんし」
また女の子は久しぶりに誰かと時間を共有できたことがとても嬉しいらしく
上のようなセリフを言ってしんみりするシーンなどもあります。
といっても彼女の声は明るいままで、もの悲しさを思わせるようなものではありません。
今の瞬間に幸せを感じているのがしっかりと伝わってくるシーンと言えます。



飽きのこない変化に富んだ耳かき
メインのサービスとなる耳かきシーンは11分。
膝枕の状態で最初は耳かき棒で大きな汚れを、次に綿棒で小さな汚れを落とし
最後に梵天をかけながら息を吹きかける比較的シンプルなものです。

右耳での耳かき棒は「ショリ ポリ」と乾いた軽い音
綿棒は「ジョリ ショリ」と耳かきに比べて面積が広く重みを感じる音が使われており
どちらも上から下へと小さいストロークを描きながらやや大人しく動きます。
また最中は女の子が囁き声で語り掛けてくるようになります。

そして耳かきにおける最大の特徴は、左右の耳で別々の耳かき音が使われていることです。

「その日の体調で違う場合や 元々の体質 または汗をかいたりして 耳垢が湿ってしまうこともあるんですよ」
左耳では耳かき棒が「チリ クチ」とやや湿った音
綿棒も右耳に比べて湿り気を帯びた音に変化し
動かし方は右耳とほぼ同じですが、音ではまったく違った感覚を与えてくれます。
ちなみに左右で耳の質が違う人はリアルでもいるそうです。

もちろん背後で流れ続ける環境音も忘れてはいけません。
夜が更けたのか先ほどよりも川の音が緩やかになり、鳥ではなく蛙が鳴きはじめます。
時折鳴り響く風鈴の透き通った音も清涼感があります。
時間の経過とともに環境音が切り替わるのがきめ細かくていいですね。

「それにしても 本当によく寝てるわね 少しくらい悪戯しても起きないかも」
最後の耳舐めは次の日の朝のお話。
朝食を届けに来たのになかなか起きない主人公に女の子が悪戯をします。
全年齢向けの作品だけにエロさをかなり抑えたちゅぱ音なのですが
最中はほぼセリフを挟まず音だけを存分に楽しませてくれます。

1日経って十分に打ち解けた2人の様子も温かみが感じられ
その場に漂う雰囲気によっても癒しを感じることでしょう。

このように、お得意の効果音に環境音を加えた重みのあるサービスが楽しめます。



チャレンジ精神に溢れた作品
従来の長所を生かしつつ新しい事にも挑戦している作品です。

今回はボイスドラマとしてのレベルを上げるために説明的なセリフを極力排して
足りない分をリアルで立体的な効果音によって補っています。
その結果、物語により自然な流れとその場にいるかのような臨場感が生まれています。
こういった演出はシュミノサウンズさんや桃色CODEさんが得意とされているものなのですが
シロクマさんがこの2者に負けないレベルのものを見せてくれたことに非常に驚きました。

言葉にするのが難しいのですが、以前は効果音を中心に作品を組み立てていたのが
本作品ではストーリーに効果音を上手に染み込ませているように思えます。

そして最大の持ち味である耳かきについても
前作「耳かき研究部 入門編&文化祭」で好評だった複数種類の耳かき音を用意し
反対側の耳も新鮮な気持ちで聴けるようにとの配慮がされています。

耳かき音に比べて環境音のボリュームが大きいのがいささか残念ではありますが
雰囲気づくりがしっかりしており十分に癒しの効果が得られるでしょう。
(環境音のボリュームを下げたバージョンも入っています)
シロクマさんのことですから、このへんは次回作以降で必ず改善されるはずです。

「一人でいるのには慣れたつもりですが こうやってお別れをするときは やっぱり寂しいものですね」
個人的には女の子のしっかりとしたキャラ作りが印象的でした。
幼さの残る彼女がなぜ山奥で、それも一人で宿を経営しているのか。
聴いている最中ずっと疑問に思っていたことの真実が
本編ではなくおまけのフリートークで語られています。
この事実を知った後で改めて作品を聴くと、また違った感動が得られるかもしれません。

短時間ながらも様々な要素が盛り込まれている奥深い作品です。
夏の夜にぴったりな清涼感漂う諸々の演出が心に爽快感を
女の子の明るく優しい声が元気を与えてくれるでしょう。

おまけは耳かきをしながら行うフリートークです。

CV:伊ヶ崎綾香さん
総時間 本編…36:34 おまけ…7:37


オススメ度
■■■■■■■■□□ 8点


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