波の音と彼女に癒される安眠音声

サークル「添音亭」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

こちらは旅行中の彼女とのやり取りを描いた作品で
海辺のホテルの一室で彼女が耳かきと添い寝をしてくれます。
添音亭さんと言えば質の高い環境音を扱うサークルさんとして有名ですが
今回は静かな波の音に加えて細かい部分の効果音でも耳を楽しませてくれます。



仕事を忘れて2人でのんびり
恋人の有希とホテルの部屋で寛ぐお話。

「ねぇ こっちおいでよ 風涼しくて気持ちいいよ?」
有希は明るくて優しい声の女の子。
主人公と一緒に現在旅行中で、海に面した部屋のバルコニーで夜風に当たりながら
今日あった出来事をあれこれと話します。

本作品は耳マッサージ+耳かきが20分、その後の添い寝が36分と
サークルさんの過去作同様、聴き手を安眠させるのに特化した作りをしています。
前者は効果音、後者は環境音を中心にしており
有希もそれなりに話しますが基本的には諸々の音に最も癒しを感じることでしょう。

「せっかく羽伸ばしに来たんだし とことん癒してあげようと思って ちょっと用意してたんだ」
部屋に戻った後の最初のサービスである耳マッサージは
彼女の膝に仰向けに寝転んで初めは両耳、続いて片方ずつ丁寧に行います。

開始前に彼女がバッグから道具を漁って
流しの水で綺麗に洗う動作も効果音で表現されているのがいいですね。
本作品は準備や移動などの合間の部分にも効果音を入れているのが特徴の一つで
通常は無音で処理されるところもきちんと演出されている分、物語により臨場感が出ています。
桃色CODEさんの「道草屋」シリーズが得意とされている表現方法ですね。

もちろんメインとなるマッサージ音もオイルが微妙にべたついていてとってもリアル。
「スイー ジー」という滑らかな音が4段階くらいのスピードを小まめに変化させながら
耳のあたりを軽く円を描くように動き回ります。
マッサージは今回が初のはずですが完成度が高くてびっくりしました。

続く耳かきは右→左の順に耳かき棒のみを使用して行います。
仕上げの梵天や息吹きはありません。
「ズリッ ジョッ」と若干ざらつきのある乾いた音が使われており
下から上にかき上げるような短いストロークでリズミカルに動きます。
音質が前作「深層世界で癒される安眠音声」と非常に似ていることから
そちらの音をそのまま流用したのだと思います。

「もうヒント言わなーい あんまり言うと 見る楽しみ減っちゃうでしょ?」
また有希は最中に吐息を漏らすか軽く話しかけてくる程度で
効果音だけが流れ続ける時間が多い分、頭を空っぽにしてゆったりと寛げます。
会話の内容も恋人同士らしい他愛もないものばかり。
それらが作り上げる和やかな雰囲気も心を自然とほぐしてくれるでしょう。



寝息と羊数えを聞きながら
「あっ 窓開けといていい? 波の音が聞こえてくるから 気持ちよくって」
2つのサービスで程よくリラックスした後、有希に添い寝をされる形で眠りにつきます。
耳かきでは聞こえなかった波の音がここで再登場し
右の耳元から聞こえてくる彼女の寝息と合わさって穏やかな空間を演出しています。

添音亭さんはこの添い寝パートでセリフが極端に少ないのを作風とされています。
添い寝と言うと心温まるお話をある程度してから寝入るケースが多いだけに
初めて聴く人だとびっくりするかもしれません。
本作品においては環境音や寝息がそれらの役割を果たしていると思ってください。

「ん? まだ起きてるの? 私も なんか寝付けなくって」
さすがに何もしゃべらないのは味気ないだろうと思われたのか
中盤に差し掛かったあたりで彼女が羊を数えてくれます。
数が増えてくると彼女がとても眠そうな声に変化し
それにつられてこちらもあくびが出る、なんてことも十分にあり得ます。

まさに聴き手を眠らせることに特化した安眠誘導音声と言えます。



安定の安眠作品
有希のキャラ・効果音・物語の雰囲気、そのすべてが癒し一色で統一された作品です。

有希は恋人同士にふさわしい、やや砕けた親しげな態度で接してくれますし
波や耳かきの音についても聴いていて棘を感じる部分が一切ありません。
それらが合わさってとても穏やかな、安らげる雰囲気を作り出しています。

今回は元々の売りだった環境音だけでなく
人が動くことによって生み出される様々な音についても力を入れています。
環境音特化から環境音+効果音へとややシフトして
一般的な癒し系作品に若干歩み寄ったような印象を受けました。

しかしそれだと個性が薄れてしまいますから
耳マッサージなどの新要素を加えてきちんとサークルさんらしさも残しています。
何より添い寝シーンの極端な構成が活きている以上
添音亭さんの色は相変わらず強く残っています。

環境音については安定のリアルさで十分に癒しが得られます。
冒頭と添い寝シーンで合計40分ほどなら時間的にも十分でしょう。
強いて言うならバルコニーとベッドとの距離を考えて
添い寝パートは冒頭よりも波のボリュームを下げたほうがリアルだったかなと。
今の音量だとベッドよりは浜辺で寝ているような気がします。

やや特殊な部分を持った癒し系作品です。
寝る前に聴くのが一番ですが、嫌なことがあったとか心が傷ついたときに聴くと
多少なりともそれが和らぐのを感じるでしょう。

CV:浅見ゆいさん
総時間 59:53


オススメ度
■■■■■■■□□□ 7点


体験版はこちらにあります