アニマの素敵な下ごしらえ

サークル「ふしぎラボ -Mystiska Lab-」さんの催眠音声作品(全年齢向け)。
全年齢向けの癒し系作品を専門に作られているサークルさんです。

本作品は少女にお菓子の世界へと導かれて
そこで心と体をとろとろに溶かして気持ちよさを味わいます。
体をお菓子に変えられる作品は他だと「ちょこれーとになっちゃう催眠音声。」が挙げられますが
催眠状態にいる時の心地いい感覚にイメージが似ており
お菓子の持つ甘さや美味しさも手伝って幸福感が割と簡単に得られます。



不思議な音を聞きながらお菓子の世界へ
謎の少女「アニマ」と一緒にお菓子の世界へ行くお話。

「初めまして それとも またお会いしたのかしら?」
アニマは幼さを感じる可愛い声の女の子。
主人公を楽しくて素敵なお菓子の世界へと案内するやめにやってきた彼女は
そこに行くための準備として彼の体を声を使ってリラックスさせます。

本作品は作中でバイノーラルビートの有無を選択可能で
有りの場合は開始序盤から終了直前まで軽く振動するような音が聞こえます。
(バイノーラルビートの詳細については「妖怪娘催眠噺~座敷わらしの章~」をご覧ください)

これ単体で聴くと人によっては頭が痛くなりそうなタイプの音なのですが
今回は環境音の裏でこっそり流すような演出が施されており
事前に知らないと流していること自体に気づかないかもしれません。
あくまでリラックスの促進をサポートするような控えめな役割に留めています。

催眠はほぼ全編にあたる40分ほど。
最初はお馴染みの深呼吸と脱力で心身を程よくほぐします。

「ここは 落ち着ける環境 誰もあなたの心を邪魔する人はいないから ゆったりと 自由に心を開放して 寛ぐことができると思うわ」
催眠でよく使われる手法なだけに、これ自体にも十分なリラックス効果があるのですが
アニマがこれらにゆったりと取り組めるように意識してのんびりと話していたり
この段階から聞こえ始める滝の水が流れるような環境音も加わって
割と序盤から作品の世界に没入することができます。

神経質な人や周りがややうるさい地域に住んでいる人だと
声だけでは無音の時間に雑音が聞こえてなかなか集中できないケースもあります。
しかし本作品はほぼ常に何らかの環境音が流れている作りですから
それらが邪魔な音をシャットアウトして、作品をより楽しめるようにしてくれています。

「こねればこねるほど 芯まで柔らかくなって どんどん力が抜けていくわ」
お次は実際にお菓子の生地をこねるように彼女がパーツごとに全身を揉みます。
ここでも「ぽわん むをん」というやや立体的な不思議な効果音が流れ
お菓子作りの雰囲気を盛り上げてくれます。

誰かにマッサージを受けている場面をイメージし、その気持ちよさを思い浮かべながら
さらにリラックスして意識をぼんやりとさせていきましょう。
そうやって心と体の境目を取り除き、ただのお菓子へと自分を作り変えていくわけです。
私の場合はこのシーンで肩のあたりがかなり重くなるのを感じました。



あまーい世界でアニマとひとつに
ある程度お菓子の土台ができあがったら今度は味付け。
アニマはバニラとチョコレートを主人公に注いでかき混ぜながら
甘い味と香りを植え付けて幸せなひと時を味わわせます。

「バニラがあなたに混ざっていくと あなたの体が 優しいバニラの香りと味に ふわふわあまあまの バニラクリームに 変化していくの」
どちらもアイスでよく見かける味なだけに誰でもイメージが可能で
かつ甘いものが嫌いな人でもなければ好ましく思う素材です。
どちらかといえば女性の方が楽しみやすい内容でしょうね。

彼女が意識して話を止めて、聴き手にイメージを膨らませてもらう時間がここから多くなり
自分の無意識に眠っているそれらの感覚や印象を余裕をもって確かめることができます。

「2人の隙間はなくなり 合わさったところから混じりあい 同化して あなたの体は 私の中にゆっくりと 沈んでいくの」
そして最後に主人公が変化してできたお菓子を彼女が美味しくいただきます。
本作品では「食べる」だとイメージ的にマイナスに働くと考えたのか
実際は彼女と溶けあって同化するといった描写がされています。

液体の中にいるイメージにふさわしい水中で泡が弾ける音を背後に聴きながら
白い液体に染まってすべてを真っ白にし、体の芯からリフレッシュします。
おそらくこの段階で頭の中がとろとろになっている感覚を強烈に味わっているでしょうから
あとは彼女の声を聞きながらそれに浸るだけでも十分に気持ちよくなれます。
エッチな要素が一切ないおかげで癒しに専念できるのがいいですね。

このように、イメージを中心とした幻想的な催眠が繰り広げられます。



現実逃避できる作品
アニマの不思議なキャラ、わかりやすくファンシーなイメージ
そして諸々の効果音が合わさって仮想世界にいるような錯覚を見せてくれる作品です。

アニマは聴き手を不安がらせる表現をできるだけ避けながら
実際にお菓子を作る要領で気持ちよさや心地よさを味わわせようとします。
こねる際も「むにーん むにむにん むにゅーん」と可愛い声と擬音語を使っていて
そういったやや子供っぽい部分が和みや癒しを生み出しています。
甘いお菓子を作るイメージも彼女のキャラに合っており違和感なく聴けます。

効果音についてはちょっと鳴らしすぎかな?とも思うのですが
音自体はクオリティが高くイメージも適していると言えます。
アニマの声と環境音・効果音にほぼ同等のウェイトを置いて
別々の方向からリラックスやリフレッシュへと導いているように感じられました。

催眠は分割弛緩法、イメージ法、沈黙法といった古典系の技術が使われています。
しかし、それらを型どおりになぞることに力を入れるあまり肝心の暗示のボリュームが少なく
どちらかというと彼女の声に導かれるというよりは
彼女の与えたイメージを材料に、こちらがそれを料理して心地よさを感じる作りになっています。
具体的には体をこねている際にその様子をわかりやすく伝えてくれますが
「こねられた部分が温かくなり、気持ちよさを感じる」といった暗示はほとんど入れてきません。

正直なところ、一般的な催眠音声と比べると催眠的な効果はやや弱いです。
ですが世界観がしっかりしていて没入感を得やすく
その結果リフレッシュ効果は大いに見込めると思われます。
私自身が聴いている最中は来客があったのに気づかないほどのめり込んでいました。

総合的に見て、純粋な催眠音声と呼ぶには厳しい部分もあるのですが
作品の目的である癒しの効果は一定以上得られると判断しました。

サークルさんも作品説明文で「催眠の技法を用いています」とは書いていませんし
作中でも「催眠」と一切言わないなど催眠らしさを敢えて消している姿勢が見られます。
だから本気の催眠ではなく催眠の要素を取り入れて
より効率的に癒しを与えてくれる作品と考えるのが妥当でしょう。

CV:七凪るとろさん
総時間 48:36


オススメ度
■■■■■■□□□□ 6点


体験版はこちらにあります

追記
解除音声はもちろんあります。