イヤートリートメントサロン・オレイユ ~早川編~

サークル「シュミノサウンズ」さんの同人音声作品(全年齢向け)。

前作「イヤートリートメントサロン・オレイユ ~柏木編~」から10か月ぶりの新作となるこちらは
専門店にしてはえらく軽いノリの女の子が頭部・耳・肩をケアします。
前作に比べて大幅にパワーアップした高品質でクリアな効果音と
彼女の気さくで丁寧なサービスが心と体を大いにリラックスさせてくれます。



新人店員はおしゃべりが大好き
イヤートリートメントサロン・オレイユで店員の早川さんにサービスを受けるお話。

「いらっしゃいませ イヤートリートメントサロン・オレイユへようこそ」
早川さんは挿し絵のイメージよりもやや大人びた、可愛い声の女の子。
お客を施術室へ案内した後、今回行うサービスの簡単な説明をします。

シュミノサウンズさんは効果音を扱った作品の老舗的な存在で
まだ効果音があまり注目されていなかった時期から
様々な音を使って私を含めた多くの聴き手に驚きと感動を与えてきたサークルさんです。

今作でもメインとなるマッサージや耳かきの効果音はもちろん
移動する際の足音や服の擦れる音といった細かい音までもがきちんと入っており
それらが作品の雰囲気を大いに感じさせてくれます。
序盤のリクライニングソファーに腰を下ろす時の音だけでも
そのリアルさに「おおっ」と軽く驚く方がきっといるでしょう。

「お客様は 本日が初めてのご来店…ではないと そうですか… でも 一応簡単な説明をさせていただきますね というか 練習がてら聞いちゃってください」
また今回登場する早川さんは店員としてはまだ新人で
おしゃべりな性格も手伝ってお客に対しても割と砕けた感じで接してきます。

専門店系の作品では「道草屋」シリーズのように一定の距離を保つものが多く
それだけにこういうざっくばらんな態度は逆に新鮮味を感じます。
18禁の作品だと色々と展開的にまずくなる場合がありますけど
この作品は全年齢ですから純粋に彼女に親しみを感じながら聴けるでしょう。

サービスの最初はヘッドマッサージ。
「ジジリ ジュリー」と乾いたざらつきのある音を鳴らしながら指の腹を使って全体を押し
しばらくすると先ほどよりもやや高い、尖った音でつまむように刺激し
さらに指の腹ででとんとんと叩いてくれたりと適度に変化しながら行われます。

音の質については実際に体験版を聴いていただくとして
音の位置が小まめに移動して頭全体に程よい心地よさを与えてくれます。
耳に近いこめかみあたりをマッサージされる時に特にそれが実感できるでしょう。
最近ヘッドスパ系の作品がちらほら登場していますが
その中でもトップクラスに位置するクオリティを持っていると言えます。



おしゃべりしながらしっかり耳かき
メインとなる耳かきは左右合わせて35分30秒ほど。
最初に耳マッサージをしてから浅い部分をティッシュで拭いて耳かき棒と綿棒でお掃除
続いて奥の方を同じ要領で掃除してから最後に梵天をかける丁寧なものです。

耳マッサージは「スイー ジー」と滑らかな音
耳拭きは「ジョジッ シュッ」と布っぽい音
耳かき棒は「ジョッ ジョッ ジョッ ズズッ」と軽くてやや尖った音
綿棒は耳かき棒をやや籠らせて平たくしたような音といったように
それぞれに専用に用意されたリアルな音が耳を大いに楽しませてくれます。

耳かき棒と綿棒は耳の手前と奥できちんと音質が変化するのがいいですね。
特に綿棒の音がとってもリアルで、耳かきをされている感じが非常に味わいやすいです。

もちろん音だけでなく音の鳴らし方もとてつもなくハイレベル。
耳マッサージは耳の形を考慮して縦方向に往復させていたり
耳かき棒はある程度小刻みに動かした後に
やや力を入れてゆっくり動かすことで耳垢をかき出す動作を演出していたり
対する綿棒ではそこまで大きく動かさずに汚れを絡ませるような動きをするなど
それぞれの器具に最適な動かし方を考えて、より実際の耳かきらしさを演出しています。

耳の奥を掃除する際は明らかに手前よりゆっくり、短く動かしていたりと
それぞれの部位に合わせた動きを音として出せているところが素晴らしいです。

そしてこのシーンにおけるもう一つの柱は早川さんのトークです。
耳かき音声では効果音を聴いてもらうために施術者が黙ることが多いのですが
この作品では敢えて多めに話しかけることで和気藹々とした雰囲気を醸し出しています。

「お耳には 色んなツボが集まってるらしいですよ 食欲を抑えて ダイエットできちゃうツボなんかも あるとか」
彼女は最初の段階では割とためになるお話をしてくれていたのですが…
「(黒い綿棒でお掃除すると)取った汚れが見やすくて 「やったったー」って感じがあるらしいんですけど お店のは 白いやつなんですよね」
エンジンがかかってきたのか、だんだんとテーマが脱線していき
「ウェットティッシュって だんだん乾いていきますよね? どの段階で ウェットティッシュではなくなるのか とか 考えたことありません?」
最後はとりとめのないお話へと落ち着きます。

早川さんは割と思ったことをそのまま口に出すような軽いキャラで
そういった天然っぽさが聴き手を和ませてくれます。
専門店での会話と言うとお客へのサービスとして行う要素が強いのですが
彼女の場合は話し好きの性格から自然とそうなっています。
「専門店なんだけど専門店っぽくない」ところも本作品の大きな魅力の一つです。

彼女のサービス自体は本当にしっかりしていますし
聴いていていい加減さを感じることはまずないでしょう。

このように、ハイレベルな耳かきとちょっと変わった部分を兼ね備えたサービスが楽しめます。



心も体もほぐれる作品
耳かき音声としてもボイスドラマとしても一流のものを持っている傑作です。

サークルさんの持ち味であるハイレベルで多彩な効果音が常に耳に驚きを与えてくれます。
去年から様々な耳かき音声が登場して、それらを頻繁に聴いてきたような玄人さんでも
この作品を聴けばきっと何らかの感銘を受けるだろう、と言えるくらいに素晴らしいです。

個々の音に関して言えばこれよりリアルなものを出せるサークルさんはいるかもしれません。
でも音の鳴らし方、動かし方といった演出面については
シュミノサウンズさんがやはり今でもナンバーワンだと思います。

特に耳かきシーンでの器具の動かし方がとてつもなく優れています。
早川さんの会話があるおかげでわかりにくくなっているのですが
ここまできめ細かい動きがされている作品はそうそうありません。

あとは耳かき中に小まめに椅子を移動させて、取った耳垢を捨てに行っていたりと
現在の耳かき音声において不自然に感じる要素をきちんと払拭しています。
総合力の高い耳かきと言えるでしょう。
今回は変則的ながら耳に息を吹きかけるシーンも登場します。

「耳かきはしすぎても良くない なんて言いますけど 世の中の大抵のことは そうですよねー ほどほどが一番ですよ やっぱり」
早川さんのトークについては会話量が多めな分
人によっては受け付けにくい部分もあるのですが
私個人はこれでよかったのだと考えています。

というのも、実は前作の柏木編を私が満点にしなかった一番の理由が
柏木さんがあまりに事務的すぎて心のケアに不足を感じたからなんです。
それが今回ちょっと変わった形ではありますが補完されたことで
心の癒しについてもまったく隙の無いパーフェクトな作品になりました。

しゃべりが苦手な人でも無理なく聴けるように
声のボリュームを下げたバージョンも用意されています。
だから少なくとも彼女のトークが弱点になるとは考えていません。
いい感じに作品に明るいイメージを与えてくれていると思います。

今まで私が聴いてきた耳かき音声の中で5本の指に入るレベルの名作です。
価格的にも時間に対して若干安いくらいで、クオリティを考えればとってもリーズナブル。
本作品を同人音声部門では3か月ぶりとなる満点とさせていただきました。

CV:沢野ぽぷらさん
総時間 52:55


オススメ度
■■■■■■■■■■ 10点


体験版はこちらにあります