立体音響娘2-先輩と図書館に行こう!-

サークル「シュミノサウンズ」さんの同人音声作品。
同サークルさんの作品は「立体音響娘1-彼女に耳かきしてもらおう!-
以来4か月ぶりと、かなり久々の登場となります。

全年齢向けである本作品は「効果音を聴かせること」をメインとしています。
そのため、効果音は非常に多種多様かつリアルで幾重にも重ねられており
舞台である図書館の雰囲気が十二分に演出されています。

また作中で登場する先輩のセリフには、あまり深い意味を持たせず
あくまで効果音で作られた図書館の引き立て役に留めるなど
一般的な音声作品とは、立場を完全に逆転させている点も魅力と言えるでしょう。



図書館の何気ない風景を音だけで表現
図書館で主人公が本を読み、その隣で恋人である先輩がレポートをこなすお話。

本作品は図書館の何気ない風景を、効果音だけで表現している
まさに効果音が主役の作品です。

最初の「ひとりで本を読む」パートはセリフが一切ありません。
ここではすべてが効果音のみで構成されており
その音を聴くことで、自然と作品の世界に引き込まれていきます。

効果音は非常に複雑で、まず一番後ろにガヤ音(環境音)があり
1段手前に近くを人が通る時に鳴る足音、バッグのジッパーを開ける音
鼻をすする音、図書館の近くを車が通る音などの動きにより発生する音
そして最前列には主人公が本のページをめくる音と
3重に重ねられた音が不規則に鳴ることで、自然な雰囲気を生み出しています。

音自体も非常にリアル、かつ音量もきちんと考えられており
近くを人が通り過ぎる際には
足音が遠→近→遠とリアルで聞こえる音にかなり近く作られています。

そして、これらの音を聴いているとなぜかえらく落ち着いてくる。
音が自然であることと、それ自体に意味がないおかげで
無心になってこの空間に浸ることができるからかもしれません。



先輩の声もあくまで「付け合わせ」
「おまたせー」
開始から5分程経過すると、恋人である先輩が登場し
ここからは今までの音に、彼女が生み出す音が追加され
より複合的な効果音を楽しむことができます。

「カツ カツ スー」
場所が場所な事もあって、挨拶もそこそこに先輩はレポートを書き始めるのですが
書く際の鉛筆がレポート用紙にぶつかり、その上を滑る音が実に心地よいです。

やや乾いた音が使われており、それが6~8パターンほど用意されています。
耳かき音のように直接耳に響くようなものではありませんが
その独特の軽さとスピード感には、新鮮な驚きを感じました。
気になった方は体験版で直接ご確認ください。

「ふー ほー んーん」
時折先輩が声を上げるシーンがあるものの
そのほとんどが吐息だったり、何気ない質問だったりと
セリフに重要な役目が与えられていない点も特徴的です。

確かに先輩はそれなりに話すのですが
それがたとえ無くなったとしても、作品として成立するほどに軽い位置づけです。
彼女のセリフは、図書館の様子をよりリアルに演出するためのパーツに過ぎず
メインである効果音を邪魔しない程度に挟まれているように感じられます。

このように、最後の最後まで音を楽しませてくれる作りになっています。



逆転の発想によって生み出された名作
「音声作品は声を楽しむもの」そんな考えを見事に打ち砕いてくれた作品です。
正直、度肝を抜かれました。

効果音の質については、今まで聴いてきた作品の中でも
間違いなくナンバーワンと言い切れるほどに、飛びぬけて優れています。

「実際に録って来たんだよね?」と思えるほどに、とにかくリアル。

その音をさらに重ねることで、まるで本当にその場にいるかのような
ごく自然な空間を見事に演出しています。

メインである先輩のパートも、2人がそこに「いる」ことを意識させる程度に留め
そこから生まれてくる効果音の方に焦点が当てられています。
登場人物がこのように扱われている作品は
なかなかお目にかかれるものではありません。

聴いている最中は本当に音だけに集中できたおかげで
時間があっという間に過ぎていく気がしました。
そして聴き終えた時、素直に感動していたことをよく覚えています。

私自身が日々色々な音声作品を聴いているだけに
こういう際立った違いを持つ作品に対して、余計そう感じただけなのかもしれません。
ただ、実際に聴いていただければその違いにきっと気が付くはずです。

一言で言えば満点の作品です。
こういうコンセプトの作品はもっともっと増えてほしいですね。

CV:花茎ラルナさん
総時間 23:50


オススメ度
■■■■■■■■■■ 10点


体験版はこちらにあります

追記
なんなんだこの作品は…次元が違いすぎる。
『立体音響!電車で、電話で、お部屋で♪おねぇさんにイタズラされる音声』」以来
非催眠では久々に衝撃を受けた作品です。
ここまでくると、もう同人の域を超えたクオリティだなぁと。
個人的に次回作がとても楽しみなサークルさんです。